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カテゴリ:読書
これは、「詩人警視」ダルグリッシュの11作目。
神学校の死 <あらすじ> 「サフォーク州バラーズ・ミアにある聖アンセルムズ神学校は、存続の危機を迎えていた。ある日、同校の生徒ロナルド・アルフレッドが、海岸の崖下で砂にうずもれた死体となって発見された。義理の息子の死因に納得しないアルレッド卿は、ロンドン警視庁に再捜査を依頼し、少年時代にアンセルムズで過ごした経験を持つダルグリッシュ警視長が、その任に当たる事となった。懐かしい思いを胸に神学校に向かうダルグリッシュ。しかし、閉校を主張するクランプトン大執事の到着で、校内には一触即発の重苦しい空気が漂い始める。その最中、大執事が何者かに惨殺されてしまう。ロナルドの不審死とのつながりはあるのだろうか?ダルグリッシュが、この難事件に挑む!」 これは、文句なく面白かったです!さすが、P・D・ジェイムズ。前作の「正義」発表から四年後、81歳の時にこの作品が書かれています。正に、満を持しての登場!と言ったところでしょうか。上下二段組のポケミスで482ページと、相変わらずの長編なのですが、一気に読めること請け合いです。 物語は、アンセルムズ神学校の住み込み看護婦マーガレットの日記から始まります。ロナルドの死体を発見した彼女は、マーティン神父の勧めにしたがって手記を書くのですが、そのわずか一週間後に、何者かに殺害されてしまいます。どうやら、ロナルドの事件にからんで、ある事を思い出したために殺されてしまったようなのです。この、「ある事」というのが、後々のクランプトン大執事殺害犯を特定する重要なポイントとなってきます。 神学校という閉鎖された空間での犯人探しになるのですが、相変わらず、主な登場人物のキャラクター設定が秀逸です。そして、どの人物もクランプトン大執事に対して、好ましくない感情を持っているのが、何気ない描写のなかで明らかにされていくのは見事ですね。 ダルグリッシュがアンセルムで過ごした少年時代の回想シーンも出てくるように、今回のテーマは、「過去」ということになるのでしょう。登場人物たちが抱えるそれぞれの「過去」が詳しく語られていきます。そして、過去に起きた「ある事」が殺害の動機となっているのですが、犯人が特定されてから、改めて考えると、う~ん、どうだろう。殺害の動機にしては、ちょっと?って思うのですが..........。 さて、ストーリーの最後の方で、珍しくダルグリッシュが命を張って、犯人と対峙する場面が出てきます。ハラハラする緊迫感の中、犯人を追い詰めたダルグリッシュが、意外な行動をとります。 なかなかやるじゃん、ダルグリッシュ!! でも、このシーン、ちょっと唐突かな?っていう感じがしないでもないですがね。 今回のストーリーでは、ダルグリッシュ・ファンにとってはうれしい?エピソードが登場します。アンセルムズに講師として招かれたエマ・ラヴェンナムと運命的な出会いをするのです。ラストシーンでは、マーティン神父の粋な計らいで、次回につながる余韻をもった終わり方をしています。エマとのロマンスは、成就するのでしょうか?これは、次回作に期待が持てそうですね♪ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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