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うずらの小部屋

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2007.06.20
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カテゴリ:TS小説
ぼーっと、カコちゃんの奮戦を見ていると、男子側から歓声が聞こえてきた。
なんだろう?
そちらを向こうと思ったけど、カコちゃんの怒声に気を取られた。
「姫、あぶないっ!!」
「は?」
後ろから、本気で頭を殴られた。
そんな衝撃。
くらくらする。
気持ち悪い。
世界がかたむき、横転した。
襲ってきた吐き気とともに、視界がぼやけてくる。
スイッチが切れるように、オレの頭はそれ以上の思考をやめた。


冷たい何かが額に当てられている。
目を開けると、空といくつかの丸い物があった。
徐々に視力が戻って、くっきりと映し出した。
カコちゃんと女の子が何人か、オレの顔を覗き込んでいた。
手をおでこに持って行くと、塗らしたタオルがのせてあった。
どういう状況だ、これ。
「あ、気がついた!」
「大丈夫、姫?」
「ほら、幸田君」
そっか。
オレは今姉貴になってんだよな。
ろくに回らない頭で必死に考える。
それで、今、幸田って言ったか?
つまり真人?
「あ、ああ。大丈夫か?」
ショートカットの娘にひっぱられて、真人が現れた。
オレは寝転がったままだから、あっちから見ると頭の横に立ったってことになる。
やっぱりでかいなー。
下から見てるから尚更……って、ハーフパンツの隙間から見えてるのも、なかなか立派なモノをお持ちで。
見て気持ちの良いものじゃないけど、なんか、気になる。
ああ、くそっ、なんだってオレがドキドキしなきゃいけないんだよ!
「姫井?」
オレの葛藤を知ってか知らずか。
方膝をついた真人が、心配そうに尋ねてきた。
「そもそも何があったのか……わからない、よ」
あ、危ねぇ。
素が出るところだった。
姉貴がそんなシャキシャキしゃべるかっての。
ん、少し思考がしっかりしてきたかも。
「俺が打った球が飛びすぎちゃってさ。それで、姫井の頭に当たったんだけど……」
「コイツってば、面白すぎ。姫が気を失ってる間、泣きそうになってんのよ」
「お、おま、バカコ! あ、あんまり本気にするなよ!?」
「あっはっはっ、青春ねぇ」
見るからにうろたえる真人。
カコちゃんはケタケタと、楽しげに笑っている。
ふーむ。
この反応とか見てると、マジで脈ありっぽいな。
しかし呼び出そうと思うと、カコちゃんが案外邪魔かもしれない。
ここまで絡んでこられると二人きりになるのも難しいだろう。
明日、姉貴に手紙を書かせて、机にでも入れておくのが一番だろうか。
「って、そんなことより、頭は? なんともないか?」
どうしたものか、と考えていたのを悪い意味に取ったらしい。
真人が心配そうに目を見てくる。
「う、うん。だいじょう、ぶ」
これ以上、事を大きくするのだけは避けたい。
病院連れて行かれて精密検査、なんて事態は勘弁だ。
ぐっと腕に力を入れて、ゆっくりと上体を起こす。
お、おお?
また視界が揺れた。
立ちくらみに近い感じで、大したことはない。
でも、意外にダメージが残っているみたいだ。
倒れ掛かったところを支えられる。
カコちゃんかとも思ったけど、この太さ、硬さは……。
落ち着いてから目をあける。
「あ……」
やっぱり真人だ。
って、近い。顔が近い。
目が離せない。
「はぁ……オアイツことで」
すっかり忘れてた。
カコちゃんをはじめ、女子がオレたち二人を取り囲んで生暖かく見守っている。
そんな状況に焦ったせいだろう。
バッと半ば突き放すように、真人がオレの身体を放り出す。
「うわ!?」
「わ、きゃっ!?」
とっさにきゃっ、て言っちゃったよ、きゃって……。
よろめいた身体を、また真人に抱きかかえられる。
で、また見詰め合って。
今回はさっさと顔をそらした。
血液の流れる音が聞こえて、頭に血が上っていくのがわかる。
横目で見ると、真人の顔も赤くなっていた。
ああ、もう、何やってんだ、オレら。
逃げよう。
うん。
「こう、だ君。保険、室……連れて、って?」
「え? あ、おお」
ちょっと甘えるように、袖を引いて頼んでみる。
ここから逃げたい、って意思が伝わったのか同意なのか。
明らかにほっとした顔で真人は大きく頷いた。
気になるのは、カコちゃんが『姫にしてはやるじゃん』って笑顔だ。
オレ、というか姉貴が真人と二人きりになろうとしてる、と勘違いしてるっぽい。
後から根掘り葉掘り聞かれそうだ。
ただ単に、逃げたいだけなんだけどな。





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Last updated  2007.06.20 22:29:30
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下から二番目@ ふにゅ・・・(ちょっとぷれっしゃ~) To うずらさま まったりとおまちくだ…
=うずら=@ 下から二番目さん わ、ほんとですかー? 期待していいんで…
下から二番目@ (*^-^*) ふに~。 はぐ~♪ うずらさんのために…
=うずら=@ 下から二番目さん いえいえー。 来ていただけてることが分…

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