3/24 新国立劇場「ウェルテル」
新国立劇場 14:00〜 4階正面 マスネ:ウェルテル ウェルテル:サイミール・ピルグ シャルロット:藤村実穂子 アルベール:黒田博 ソフィー:幸田浩子 新国立劇場合唱団 多摩ファミリーシンガーズ 東京交響楽団 指揮:ポール・ダニエル 演出:ニコラ・ジョエル 第三幕の拍手が、ちぐはぐなんだよねぇ....この辺の反応が、というか、テノールのアリア「何故私を目覚めさせるのか」が2番まであることが分からずに拍手が入ってしまうあたりがね....... 何がこう凄く悪い、という感じではないんだと思うんですよ。多分。でも、正直言うと、全然集中力を保持出来ない。なんだろうな?と思っていたんだけれど、結局、須らく何かずれてるんですよ。全体に。 藤村実穂子。シャルロットだそうです。この人、日本では何故か人気があって、凄い人みたいに言われているんだけれど、正直、いいにはいいけれど、要は「いい」ただのメゾ。それはいけない訳ではないんですよ。ただ、単に「いい」と言うだけで、何やらせても実にうまい、みたいな訳ではない。正直、シャルロットには合わないと思うんですね。だから、第3幕が物凄い愁嘆場になってしまう。それはちょっと合わないと思うのよ。これは歌手が悪いんではなくて、いわゆるミスキャストの部類。でも、まぁ、全否定される種類のことではないんだけれど.... 問題は、全体が、ワーグナーみたいになっちゃうことなんですね。もうみんなで大音声で名乗りを挙げるが如きで繊細さの欠片もない。いや、確かに、マスネは、時期的にも、いわゆるグランドオペラの系譜を継いだ面はある。でもそれはそれ、これはこれ。少なくともウェルテルは、もっと繊細な音楽の筈なんだけど。 で、それでも、ちゃんと大切にやってくれればいいんだけれど、第三幕なんて歌が全然保たないんですよね。ぶつ切りになってしまうというか。 でも、それ以上にガッカリなのは、全体のデザインというか、音楽の構成、何故ここでこうなるのかという統一感が感じられないんですね。「ウェルテル」というオペラをどういうストーリーで構築して、どういう風に聞かせたいのか。これは演出の問題ではなくて、演奏する側一人一人に共有されていて然るべき、まぁ、大層な言い方をするなら、ビジョンだと思うんですが、それがよくわからない。 正直、それほどつまらないオペラではない筈なんだけれど、しかも、それほど難しいオペラでもない筈なんだけれど、なんだかつまらなく聞こえてしまったような気がします。 最近、こういうの、多いよねぇ.....