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分類すれば、うちの夫も昨日の友人のご主人も別の世界に属すると思う。ちと感覚の違う、世間からかなり切り離されている世界である。特に夫は別の世界の一番遠いはしっこにいるようである。
家で本を読んでいる時、時たま宙に指を動かして考え込む。どうやら空間に数式を書いて計算しているらしい。そしてその瞬間はそれ以外のことは何一つ頭にないらしい。だから私が俗世間部門担当となって、雑務をこなす。 夫一人がおかしいのか。いやそうではない。彼の周りは、皆一様に変わっているように思う。夫は連邦職員、日本で言う所の国家公務員である。日本では堅い職種であるが、こっちのそれはかなり柔らかいように思う。職場にTシャツ・短パン・ビーサンで出勤する人。スケボーやローラースケート&ヘルメットで出勤。雨の日に傘もささず、濡れたまま出勤(基本的にアメリカ人は傘をささない)。これ全部ホント。 今は少しまともになったが、知り合った当初は、Tシャツ・ジーンズ・スニーカーとなぜかアタッシュケースを持って出勤していた。カギ付きのアタッシュケースの中には弁当一個。帰りは空っぽのアタッシュケース。今はスポーツバッグに変えて、少しだけまともになって来た。夫の同僚はカバンを持たず、スーパーのガサガサ袋に何もかも詰めて出勤。 ある日、友人とお茶をした後、私を家まで送ってくれることに。冬の寒い日であった。車を運転する友人が一言「見て、あそこに変な人が歩いてる。寒いのに下は短パンよ。ちょっとヤバイよね」それはジム帰りの夫だった。 なぜ結婚したか。それは次に何をしでかすか目が離せなくなったからである。元々結婚にロマンチックな物など求めてなかったし、残りの人生をいかに退屈せず過ごせるかだけを考えていた結果がこれである。それと決して卑屈な性格でなかったこと。これは最重要ポイント。が、もしかしたら天真爛漫すぎたかもしれない... 確かに目は離せない、退屈しない。が疲れる。 日本の友人のご主人がこれまた研究職で、別の世界の人である。数年前、里帰りした時にお泊りさせてもらった。その家から成田に向かう時、ご主人が「僕からのささやかなプレゼントを、スーツケースの中に入れておきました。ふふっ」 なんて優しい素敵な人なんだ! 当時、テロ直後のため北米路線は全てスーツケースを開けてチェックを受けなければならなかった。長い列を並んで、やっと私の番。係員に見せるため、スーツケースを開ける。そこにはご主人のささやかなプレゼント“黄金のマネキネコ”が!! 「私じゃありません!私じゃないんです!」急に大きな声で叫ぶ私。振り向く人々。 係員:「何がですか?」 私:「このマネキネコ、私が入れたんじゃないんです!」訳のわからん事を叫ぶ私。 係員:「そうですか」 私:「そうなんです。私じゃないんです!!!」 係員:「マネキネコは問題ありませんよ。没収にはなりませんから。はい、行っていいですよ。」 きっと係員は私を別の世界の人と思ったに違いない。 アメリカにたどり着いた私は、例のマネキネコを捨てようとスーツケースから取り出す。目ざとく見つける夫。喜んでかざる。それ以来、そのマネキネコはピアノの上にいる。ヤツらは別の世界の者同士趣味が同じであった。 未だにピアノの上で手を振るマネキネコ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/07/27 03:42:32 PM
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