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漫画家として「商業的に成功するため」には、おそらく効率よく仕事をしないといけない。
一方で、少数ながら確実に『商業的に成功できないタイプ』の漫画家も存在すると思っている。 それが、こうの史代さんという方である。 ただし・・・商業的に成功できるから素晴らしいとも言えないし、売れてないから清貧だ、とか、そういう甘いものでもない。 じゃあなにがどう関係しているかと言うと・・・その人がどういう姿勢で漫画を描いているかは、本の裏表紙を見れば一目瞭然。 ふつう、本はカバーがかかっているので、買わないにしても最低限、実際に手に取らないと中身は見えない。 さらにカバーの裏側など、買ってすら開かない・気づかない人すらいる場所なのだ。 こうの史代さんが商業的な漫画家として向いていないと思うのは、そういう『過剰なまでに丁寧』で『ありがたすぎるほどに細部まで作りこむ』姿勢にあると思う。 でも、100人に1人くらいはそういう『業界で生き残るには明らかに効率が悪いやり方』をする方がいなければ、それはそれでアンバランスになってしまう。 こうの史代さんの漫画はおそろしくよくできている。 (おそらく)アシスタントなし、エッセイは手書き文字、風景は細部までペン入れ。 たぶん、普通の漫画家の数倍の時間と労力をかけて、一つの作品をつくるんだろう・・・というのが、作品を読むだけで明らかにわかる。 けなすような文章になってしまったけど、僕の心はその真逆です。 不器用にしか生きられない、見てくれる方を思うと手を抜けない、利益度外視の完成度。 もっと手を抜けば楽にできるのに。 もっとトーンを貼ればペン入れしなくていいのに。 そんな細部まで書かなくていいのに。 そんなに・・・ そんなに・・・ 誰に見向きもされなくても花が美しく咲くように、縁の下で決して目立たず支える石のように。 忙しい日常に置き忘れてきた感情を、忘れかけた喜怒哀楽を、そっと持ってきてくれる方。 それが、こうの史代さんという方です。 【送料無料】平凡倶楽部 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年06月01日 21時40分02秒
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