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哲さんのページで思い出したのだが、今月2日、アメリカ人のレナード・シュレーダーという脚本家が亡くなった。
この方は日本との関わりが深く、なんとあの山田洋次の「寅次郎・春の夢」という寅さん映画まで共同執筆していた方。 とはいえ自分にとってこの方がどうかというと、それは映画「MISHIMA」の脚本家だったということ。 映画「MISHIMA」はタイトル通り三島由紀夫を描いた映画で、もう軽く20年ほど前の作品。確かコッポラが監督したのではないかと記憶しているが、詳細は忘れてしまった。 この映画、実は日本では公開されなかった。出来上がりに不満を持った三島夫人が上映を拒否、公開前の高い期待も叶わずお蔵入りとなり、その後も全く上映されていない「幻の作品」となっている。 だが幸運にも私はこの作品を見ることが出来た。駅前の小さなレンタル店だったが、なぜか直輸入の「MISHIMA」が一本だけ置いてあり、「なんじゃこれは、日本未公開なのにラッキー!」と踊るような気持ちで見たのだ。 そうは言っても20年以上前、たった一回なので、もう詳細は殆ど記憶がない。冒頭は緒形拳扮する三島由紀夫(!)が市ヶ谷駐屯地に突入する直前から始まっていた。そこから三島の回想という形をとり、三島の人生と彼の作品が交叉し、劇中劇が幾つも挿入される。 ようするに三島の人生そのものが夢幻であるという映像メッセージになっており、現実と作品がないまぜになってちょっと分かりにくかった記憶がある。なによりもやはり三島作品の読み込みが足りない私には、その作品表現そのものが分からないというハンデがあった。 映像的には、三島には似ても似つかぬ緒形拳の坊主頭くらいしか思い出せないのだが、たった一回見ただけなのにその音楽が頭にこびりついて離れなかった。少しもの悲しくてどこか夢の中を彷徨っているような静かな旋律と、市ヶ谷に向かう途中の高鳴る動悸が音になったような、たたみ掛けるようなフレーズが耳に焼き付き、長い間頭から離れない。年月が経つにつれ、これはどうしてもまた聴いてみたいとその音源を探し回った。 日本では未公開だったからサントラ盤も出ていない。後に作曲者は現代音楽家の巨匠フィリップ・グラスだと分かったが、依然として音源を手にすることは出来なかった。 それが突然成就したのは何かの記事で、クロノス弦楽四重奏団の録音の中に「MISHIMA」がある、というのを読んだからだった。HMVで検索し、ようやく手に入れられた。購入したのはフィリップ・グラス作品集だが、どうやら「MISHIMA」のサントラも彼らが録音したものが存在しているらしい。こちらも是非聴いてみたいものだ。 このCDに収録されているのは映画音楽を「弦楽四重奏曲第3番」として編曲したもの。 全体は6つに分かれており、演奏時間は15分程度。 内容は、 1.1957年ー美徳のよろめき 2.11月25日ー市ヶ谷 3.1934年ー祖母と公威(きみたけ・三島由紀夫の本名) 4.1962年ーボディ・ビル 5.血の誓い 6.三島ー終曲 とタイトルされている。 正直シュレーダー氏のことは全く意識していなかったが、訃報記事に接して「MISHIMA」の音楽を久しぶりに聴いてみた。何度聴いても実に不思議な旋律だ。 氏の冥福をお祈りしたい。 ご興味のある方は以下で見つけられるとお思います。 ○クロノス弦楽四重奏団 NONESUCHレーベル 7559ー79356ー2 楽天にはこんなのがありましたが・・・ ちょっと高いな~ この商品は送料無料です。 クロノス・クァルテット/25イヤーズ~クロノス・クァル お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年11月11日 12時57分25秒
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