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カテゴリ:読書の力
![]() 当分の間、あまり本が読めなくなりそうなので、その前に気になる本を一冊買いに出かける。 ところがところが数日前に出てるはずの新刊なのに、まずもって見つからない。 場所は近所の大型書店。 検索をかけると五冊入荷していることになっている・・・おかしい。 角田コーナーには一冊もない。こんな時間(昨日の夜のこと)に仕入れ担当者がいるわけもないから自分で探すほかない。 絶対に売れているはずがない(すみません)。前の本屋で実物を見た私の勘がそう告げている。 結局あちこち探し回って、読書評コーナーの上から三段目に五冊まるまる発見。 こんな場所に置いて売れるのだろうか??? それはいいとして、共著者の岡崎さんというのが誰かわからない。 ようするにジョイントコンサートの見たくないほうのアーティストというか、あまり好きになれないノリをしている。しかもおもしろくない。それでも全部読むのが流儀。 ところが読み進めるうちに池田弥三郎さんについての記述を発見。 池田弥三郎さんといえば、元慶応大学の名物教授で晩年を洗足学園魚津短大で過ごされたかた。洗足学園魚津短大といえば『森のゆめ市民大学』の入っている建物の前身・・・・・・よって、この共著者無罪とする。(-。-)y-゜゜゜ さて肝心の角田さんの『古本道場』ポプラ社。 ○○道場というタイトルで思い出すのは、中島梓(栗本薫)の『小説道場』。 倒錯小説の指南本だったけど、あれなんかおもしろかったなと思い出しつつページをめくると おやっと思う短い文章。 こんなブツブツ細切れの文章を書く人でしたっけかと思う。なぜだろうと思って後ろのほうを見ると、これはウェブマガジンに載ったものを加筆訂正したものなのだとか。 なるほどなるほどと納得。 しかし、さすがに読ませる人。読んでいるうちにこれが気にならなくなるところがすごい。 文章もこの人らしくところどころ冴えている。 例えば、古本屋で絵本を見て回るシーン 「次々に開いていって、ある一冊で手を止めた。」 ・・・情景が目に浮かぶ(-.-) こういうのは書けそうでなかなか書けない。やるなという文章。 読み進むにつれ、私は、角田さんとは、時代感覚がわりと合うようだとわかる。 「代官山へ・・・年前はなんにもなかった。 ヒルサイドテラスとハリウッドランチマーケットくらいしかなかった・・・時間とともに町は変わるのだ。」 私の時間も近いところで止まっている。 しかし、どんどん読み進めていってちょっと汗。渋谷109の前を横切るのが二十年ぶり、スペイン坂を十八年ぶりにあがったというに至っては、浦島太郎のよう。この人ほんとうは幾つなんだ(笑) 浦島光代で一冊、本が出せるに違いない。 それにしても角田さん、神奈川出身で大学も東京で神田神保町をよく知らない作家というあたりにすごさを感じてしまう。 こんな記述もある 「・・・ブックスでは、カウンターでお茶が飲める。好きな本を、ここでゆっくり読んでかまわないそうだ。そんな。今度弁当持参できていいですか。思わずそう言いそうになる。」 だなんて、いきなり弁当に飛躍するところが常人ではない。 引用したい所はたくさんあるのだけれど長くなるので、p.69,p.74,p.123,etc… それにしても、私とは読書の接点がほとんどないにもかかわらず、こんなに楽しめるというのは一体なんなんだろう思う。 どうやら私はこの著者に完全にハマってしまったようだ。 角田さんの本は、私の住む地方ではあまり売れている気配がない。 いい本なのにもったいないと思う。 音楽の場合売れている曲は、それなりに聴けるものが多いけど、残念ながら本は売れ行きと内容は相関しない。 【この本をおすすめしたい人】・・・角田ファン、東京に上京して間もない本好きの人、浦島系の人 ------------------------------------------------------------------ 当分時間がなくなりそうなので、その前に今回だけ思いっきり読書日記にさせていただきました。 ポプラ社のホームページ ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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