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2011年11月27日
カテゴリ：邦画
 未知の分野で単騎世界へ乗り出す邦画の快挙 SPACE BATTLESHIP ヤマト Space Battleship YAMATO 日本（2010年）138分 ■ 監督 山崎貴 ■ 出演 木村拓哉/ 黒木メイサ /柳葉敏郎/ 緒形直人 ほとんど取り上げられる事の無い邦画のSF分野で、 昭和のノスタルジーを描いた監督による 未来の戦艦が 単騎、世界へ乗り出す快挙を成し得る事となり 話題となった作品で 本作は年明けからのメディア展開によって 国内の期待と不安が高まる中で公開された 国民的アニメ作品にして、2000年に入って邦画が初めて取り組んだ 本格的なSFスペースオペラ作品でもあります という訳で、初代アニメ世代で 特撮マンだった経緯を持つ 『ALWAYS三丁目の夕日』 『BALLAD名もなき恋のうた』 の 山崎貴 監督による 初代アニメ世代を唸らせるには 十分な仕上がりとなり 同時に 『宇宙戦艦ヤマト』の実写化に対して ファンによる物議の的となった 『スペース･バトルシップ･ヤマト』をご紹介します ...................................................................................................................... -STORY- 時は2194年、謎の異性人ガミラスによる遊星爆弾の攻撃は地球に壊滅的な打撃を与え 人類は滅亡の危機に瀕していた。そこへ惑星イスカンダルからのメッセージが届き 偶然居合わせた古代進(木村拓也)は地球最後の希望宇宙戦艦ヤマト乗組員に志望する。 ...................................................................................................................... -解説- ■ 本作はダイナミックなVFX映像をバックに 明日をも知れない運命の中に命がけで身を投じる 勇敢な若者達の活躍を中心に描いており ハリウッドに引けを取らない 渾身のVFX映像と 主演俳優達の体当たりな演技を取り上げるだけでも 歴史的大ヒットアニメ作品である 『宇宙戦艦ヤマト』の実写化に相応しい 観る価値は十分ある作品に仕上がっております 物語は アニメ版で描かれた様な形での ガミラス 側の描写は一切排して イスカンダルへ向かうヤマト側の描写を中心に描き 一時は誰が演じるのか話題となった デスラー の配役も あの様な物議の的となる事覚悟の形で再現し 現実問題 日本人俳優のみによる映画化としては 下手に海外の俳優をキャスティングするよりも ベストな采配と言えたのかもしれません アニメ版でのクライマックスとなる 七色星団の戦いや 松本零士作品に見られる マニアックなミリタリー系アクションとしての側面や イスカンダルのスターシアと古代の兄とのロマンスと言った 「宇宙戦艦ヤマト」を語る上で 重要なイメージとなる要素は 本作には見られず あくまで「さらば宇宙戦艦ヤマト」を含めた ヤマトクルーの戦いに焦点を当てた作品で 近年のハリウッド大ヒット作となった「スター・トレック」や SFTVシリーズ「バトルスター・ギャラクティカ」の影響が 随所に見られる画面などの ご愛嬌や 初期のアニメ作品に多かった、「敵皆殺し」展開など テーマやプロットに考慮が必要な作品ではありますが ハリウッド作品に肉迫したSFスペースオペラとし 愉しめる内容になっております しかし一方で、本作をを支える脚色と演出は 邦画作品全般の傾向である 特徴的な共通の脆弱さを持つという 問題を抱えた作品でもありました ■ 漫画が原作ゆえに、合理的に無理がある設定を指摘する意味は無いとしても 映画では 絶対押さえて置かなければならないポイント があり 本作の場合は 内容がSFとは言え 戦争 を描いている以上 最低でも乗組員は 軍人 に見えなければならないという 映画のセオリーを 満たしてはおりません 集団的自衛権が問題になっているご時世ではありますが それを考慮した論理で 映画作品を語る事は些か主旨がずれているので あくまで映画の演出効果の是非を指摘する視点に留め 解説している点をご考慮頂きたいのですが 劇中の特殊部隊の隊員は仮にも選び抜かれた先鋭のはずが 動作が混沌として若いマフィアの集まりの様であったり 艦橋の士官達のやり取りは訓練を受けた 軍隊の士官 の動きと言うよりは まるで 会社の社員 の様であったり と 近年国内でもイラク戦争が大きく報じられ 実際の戦闘の苛烈さを日々眼にしているこのご時世に 世界を目指す以上、この様なチグハグな演出で占められた作品を 自国に軍を持つ国の観客が鑑賞した時の反応は 絵面を世界レベルへ持ち上げる事に躍起になるよりも 制作側は真っ先に考慮すべき懸案事項だったはずです ■ 又、冒険アクション物には欠かせない要素の 主人公とヒロインのロマンスは極めてアニメ的で ヒロインが歯を出せば愛らしいという 短絡的思考の演出は まだしも 人類存続を賭ける戦いに 明日をも知れない命で挑む主人公達であれば それに相応しい 魂が震えるようなロマンス を描くのが 脚本の腕の見せ所 という事なのですが 非現実な世界が舞台の物語に日常性を与える為に 砕けた人物設定を短絡的に施し キャラクターが全般的に 稚拙な人間的骨格を持った人物達で構成されると言う 漫画が原作の月9ドラマの典型の様な脚本からは 地球を救う様な気骨ある骨太な人物達による 未曾有のドラマ展開は全く見られませんでした 又、 絶滅の危機に貧した地球の場面も スター･トレックのボーグ艦内部の様な 既視感ある 衝撃度の足りない 難民キャンプの描写は まだ良いとしても 災害の時の 整然とした日本人の行動が世界の絶賛を得た 国民性があるからと言って 古代から配給品をせしめようとする様な 信頼出来ない人物達と同室を共にしていながら 古代に腕力があるからという理由だけで排除出来てしまったり もはや整然さを保っていられる段階では無いという状況下で 何の略奪も起こらない不自然さなど プロットの掘り下げ方に大きな問題があり 設定そのものにも 違和感を感じる部分でもありました ■ アクション映画という点においても 国民的アニメ作品の実写化という事で 製作者はアニメと実写の境界を揺れ動きながら熟考する余り アクション映画に必要なテンポある流れを見失ったという 失敗作の典型で 『リターナ』でもアクションのテンポの悪さが目立った 山崎監督の作品に限らず 邦画のアクション映画の テンポの問題の原因が 映画のセオリーに則っていないという 熱血漢 と ヒーローが実は違う様に、 演歌 と R＆B が異なる様に 邦画全体を物語った ある意味国民性と言っても良い様な 日本が制作する映画作品 独特の傾向の様に感じ 今後の課題が多い 作品になった様に思いました しかしながら 邦画のSF作品で世界を狙った事は 快挙であり 製作陣が未知の分野で、単身世界の大海原へ乗り出す姿は 映画さながらであり 前例の無い事からも それだけで評価すべき作品だと思います ■ この作品においては 近年増えつつある傾向にあるも 邦画ではさして開拓されていない未知の分野であるSFに 企画当初からの様々な困難と問題を乗り越え、 企画達成まで果敢に挑んだ関係者諸氏に最大の敬意を表したいと思います ★★★ 楽天エンタメナビ ★★★ 「未知の分野で単騎世界へ乗り出す邦画の快挙」 ※リンク先 参考になった ボタンは ランキングクリックボタンです ★★★ 楽天市場 ★★★
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最終更新日
2015年01月21日 20時42分58秒
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