映画レビュー
夕陽のガンマン
巨匠 セルジオ・レオーネが描く対決シーンの 悲壮感漂う様式美
出演:クリント・イーストウッド / ジャン・マリア・ヴォロンテ /クラウス・キンスキー
監督:セルジオ・レオーネ
1965年/132分
今や巨匠と呼ばれるクリント・イーストウッドですが 『夕陽のガンマン』は
TV俳優を経てハリウッド・スターとして返り咲く橋頭堡として
イタリア映画で主演した大ヒット作で
いわゆる マカロニ・ウエスタン と呼ばれる イタリア製西部劇の
映画の面白さをふんだんに含んだ 様式美溢れる 歴史的名作です
アメリカが衰退している時 老練が注目されると言われる通り
イラク戦争で疲弊したアメリカで、クリント・イーストウッド監督は
72歳の最高齢のアカデミー作品賞を受賞しました
その 監督クリント・イーストウッドが誕生するきっかけを作った人物が
イタリアの巨匠 セルジオ・レオーネ監督だったのです
イーストウッドはレオーネ監督を師と仰いで
その交友はレオーネ監督が亡くなるまで続いたと言います
さて、TVシリーズの『ローハイド』の成功で順風満帆に思われた
若きイーストウッドの俳優人生でしたが
それでハリウッドでの主演の話が決まる訳ではありません
イーストウッドはレオーネに招かれ イタリアに渡って主演作で実績を作り
それが認められて逆輸入でハリウッド・デビューを飾る 異色な人物となりました
最初の作品は 黒澤明監督の『用心棒』 を元にした 『荒野の用心棒』で
2作目の主演作がこの 『夕陽のガンマン』 でした
遠く砂漠を横切る何者かが 画面に映らない鼻歌交じりの人物に撃たれる
人を喰った様な演出で始まり
一人の凶悪犯を追う二人のガンマンの付かず離れずの出し抜き合戦が見ものの
悪漢のキャラクターを 薄っぺらでは無い複雑な情感を持つ人物に描き
主役のキャラクターも正義の味方ではない 損得で動く計算高い人物に描くなど
勧善懲悪な従来のハリウッド・ウエスタンとは違う 人間臭い魅力が満載の
痛快娯楽西部劇に仕上がっております
途中助長とも取れるクライマックスの対決シーンでは
引き金を引くその瞬間まで 対決する人物達の人生すら交差する様に感じる程の
ゆったりとした足取りで 定位置に付くキャラクターをじっくりと描き
映画音楽の巨匠 エンニオ・モリコーネによる オルゴールがキーとなる
映画史に残る 悲壮感溢れる壮大なスコアが ドラマチックに盛り上げて行きます
この泥臭さ満載の対決シーンでの様式が
この後 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』 での
目眩く映像美へと繋がって行くのです
さて、イーストウッドの日本語吹き替えと言えば 故:山田康雄 さんですが
今回のBlu-ray化では、当時のTV放送でカットされた 未日本語吹替え部分を
呼べるだけのオリジナル声優で新録し
声優の多田野曜平 氏が 生前の山田康雄さんの声を再現した
スペシャルな内容になっております
クールでユニークすらあるイーストウッドの魅力が溢れる マカロニ・ウエスタンの傑作を
涼し気な秋の夜長に一度 ご覧になるのはいかかでしょうか
『クライマックスの対決シーン』
結末を知りたくない方は スルーを・・・
事情を知らずに見ると
髭面の男達がオルゴールを聴かせ合ってギョッとしている様にしか見えない(笑)
『エンタメナビ』 投稿レビュー
「巨匠:セルジオ・レオーネの、対決の様式美」
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『ウ~ン、マンダム・・・』
とか言っても
子供には意味が分からんぞっ! |
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