映画ミニレビュー
踊る大捜査線
THE FINAL 新たなる希望
９０年代的リアル志向と荒唐無稽とのバランス
出演: 織田裕二 /柳葉敏郎 /深津絵里 /ユースケ・サンタマリア /伊藤淳史
監督： 本広克行 / 脚本： 君塚良一
2012年/126分
踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望
スタンダード・エディション
【Blu-ray】
価格：4,291円（税込、送料込）
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当レビューは最新作はレビューしない方針でしたが
ブログ主は 『踊る大捜査線』 のファンなので 特別掲載致しましたwww
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ご存知の通り、９０年台に一斉を風靡した
大ヒットクライム・アクションTVドラマの映画化第４弾です
超話題作のファイナルとして始まったプロジェクトは
CMスポットや TVスペシャル モバイル展開と
メディア展開を得意とする フジTVらしい仕掛けで 見事なお祭り騒ぎとなり
ファンには嬉しいTVスペシャル放送の後
満を持して公開された映画は ラストに相応しい 盛り沢山な内容となりました
前作『踊る大捜査線3 ヤツらを解放せよ』から始まった
係長 青島俊作を描いた新展開によるシリーズの
最終作でもある本作は
その時代時代に巣食う社会問題を取り上げた 「踊る」シリーズらしい題材を取り上げた
内容になっており
ネットを柱とした情報化社会の中で
誰もが犯罪者と化す可能性を示唆しながら
いつの時代にも変わらない価値観を持ち
体当たりで行動する主人公の活躍をドラマチックに描いた
クライムアクション作品に仕上がっております
一方で、
TVドラマから映画へとシフトした作品に良く見られる
独立した映画としては難点を抱えた仕上がりになっている点も
否めないのも事実でした。
■
ドラマ 『踊る大捜査線』 は
リアル志向に 荒唐無稽さが同居する見事なバランスで成り立っている良さが 魅力でしたが
映画第4作となった本作では 『あの』クライマックスが象徴する様に
21世紀も12年を過ぎた「現在」で、当初のコンセプトに立ち返っての映画化は
理解できる所はあるとしても
「枠組みのリアルさで内容の荒唐無稽を引き立てる」という演出が華だった
90年代の時と同様な取り組みが
「21世紀の現在」に於いては
違和感を感じる様な展開だった様にも捉えられた点が気になる
仕上がりではありました。
或いは、
TVシリーズを11本のみで終了して 映画化に移行するのではなく
何年もTVシリーズを通して描いて行く中で
90年代当時に本エピソードが登場したなら
違和感無く見る事が出来たのかもしれません。
又、
映画の鍵となる犯人の動機については
これはシリーズ全体の「弱点」でもある事なのですが
リアルな枠組みとしての あくまで 設定としての「闇」を感じるだけで
『あの動機』 で犯行に至る理由としての描き方が弱く
感情に訴えるには力技が足りず、
「踊る」らしく描けば描くほど、ともすれば「喜劇」となる様な
製作者が感傷的になり過ぎたゆえの脚色となった、という印象は否めませんでした
「踊る」の特徴でもあるコメディーシーンも本作では有機的に機能しておらず
『あの』 クライマックスをチープにさせた一因となったとも
言えなくもない出来とも言えました。
これまで「踊る」で描いてきた
『上層部の思い上がりや傲慢さの壁を突き破る』 青島刑事の魅力も本作では半減し
映画全体も 40を幾つも超えたちょいワルオヤジに
若作りのコートを着せて息を切らせて走り回らせた
イタイ画面と化しただけだったのかもしれませんし
人によっては、
柳葉敏郎演じる 室井のキャラクターが 主人公を食った 内容に
見えたかもしれません
■
ひるがえって、
ファンならこれらの仕上がりも 想定の範囲内 として
問題なく楽しめる 映画となっており
脚本の君塚良一の特徴でもある「根強い社会問題の根本的な解決は不用意に描かない」
社会派ならではの現実的切り口で描かれたこれまでの内容から
映画シリーズからの新たな布石となった「思い上がった上層部」に対して
鉄槌を下した内容となった点に於いても
15年の歴史を持つ TV界の歴史的ドラマの最後を飾る内容と
言えると思いました☆
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