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カテゴリ:景
富士山の裾野の16km四方にわたり広がる青木ヶ原樹海
一度迷い込んでしまうと、なかなか出ることは容易ではないことから自殺の名所として知られるそこは、木々が生い茂り、昼間だというのに、なんとも底知れない不気味さを漂わせている そんな富士山麓の樹海には大小さまざまな洞窟があり、そのなかで代表的なものが、国の天然記念物に指定されている富岳風穴と鳴沢氷穴 今からおよそ1140年前の貞観6年(864年)、富士山の側火山・長尾山の爆発の際、古い寄生火山の間を灼熱に焼けた溶岩流が流れ下って出来たのが、二つのトンネル式洞窟は、真夏でも氷柱が見られることから訪れる人が絶えないという まず始めは、富岳風穴へ 今日は日曜というだけあってか、結構な人で賑わっていた 入場料の280円を払い、しばし樹海の中を散策する わずかな溶岩の切れ目に広がる木の根は剥き出しになっている 互いに抱き合い、絡み合うようにして密生する木々たち なんだか、根が地を這い、今にもこちらに向かって襲い掛かってきそうな雰囲気さえ漂わせている しばらく歩くと、風穴の入口があった 入口の脇には、お客様へ御案内と題して、こんな看板がある “洞内を観覧中、突然停電する時がありますが、送電線の故障か、落雷による一時的な停電ですので、みだりに動揺することなく、その場所に留まり、手すりにつかまって静かにお待ちください。係が御案内にまわります” そんな事書かれると、なんだか動揺しちゃうんですけれどォ 自分のなかで、好奇心より恐怖心が大きな比重を占めていくのが、わかった 急な階段を降りていくと、明らかに空気が違い、ひんやりとした冷気が身体をすっぽりと包んだ まるでポッカリと口を開けて待っているかのように、闇の世界の風穴へと進んでいく 自然のままなので、ところどころは屈まないといけないような低さのところがある 痛ッ!! 気をつけているつもりだったが、岩に頭をぶつけた 岩肌が剥き出しになった窟内は、なんとも厳つい これが火山の溶岩流によってできたものだと考えると、その自然の猛威に恐れ慄いてしまう 途中、氷の池と呼ばれる氷の塊や珍しい溶岩を目にしつつ、入口から進むこと130メートル ついに一番奥に到着 かつて蚕の卵を、遥々秩父のほうから運んで、ここに保存していたそう 年間を通して3℃に保たれているというから、天然の冷蔵庫というわけである 風穴の終着点はというと、大きな岩がゴロゴロとして行く手を阻んでいた その岩の中に、緑色に光る物体が! その岩壁に青白く光るものは珪酸華(通称・光り苔)と言われ、洞窟に住む目のない微生物の餌になる物だそう テレビなどでは見たことがあるが、光り苔をこの目で実際に見るのは始めて そのやさしいなんともいえない光に、しばし見惚れてしまった 来た道を折り返すような形で、風穴を出る 外に出ると、ムッとした嫌な空気を感じた 山梨の国道のところどころにある温度を示す掲示板は、18℃と表示されていたので暑くはない筈 とはいえ、3℃の窟内から出てきたのだから、その温度差は15℃ 嫌な空気を感じるのも無理はない 続いては、車で2~3分のところにある鳴沢氷穴へ 大正初期から氷穴の見学が始められたという鳴沢氷穴は、戦争中は観光客が途絶え、洞内は入口付近まで氷で埋まってしまったそう しかし戦後進駐軍の命により氷を切り出し、年月を経た今では設備が整い、観光客も多いため天然氷は昔ほどはなく、特に秋口には氷は少なくなってしまうそう こちらは切符売場のところに注意書きが書かれてあった “天井が非常に低いところがあるので、無理だと思う方は御遠慮ください”というもの 溶岩樹形内を通過する狭い場所で、一番低いところでその天井の高さは91cm 自分の身長の約2分の1の高さ わざわざ注意書きをされると、なんだか尻込みしてしまいそうだが、まぁ屈んでいけばいいだろうと、入場料の280円を支払い、軽い気持ちで行った 風穴に比べると、階段はかなり急勾配 しかも足元は底がツルッツルのブーツなので、滑らないように竹製の手摺を持ちながら進んでいく とにかく階段の傾斜がキツイ 頼りになる筈の手摺も、老朽化?のせいかグラグラしていて、心許ない ようやく階段を降りたと思ったら、今度はなめらかな勾配の岩肌を登る すると今度は天井が低くなった ここか?一番低いというところは… 文字で91cmと見ると余裕かも?なんて思ってみたが、実際にその高さの中を歩くとなると、かなりしんどい 身体を丸めて進んでいく ほかの一般客の人たちもワーキャー言いながら進んでいく なんだかね、川口浩探検隊みたい (古すぎて分からないか) 窟内は、すごく起伏が激しくて、探検しているみたいで面白い ようやく起伏が激しいなかを抜け、ちょっとした踊り場に出ると、そこにあったのは地獄穴と呼ばれるところ “この穴は竪穴で、一歩足場を失うものなら二度と帰ることのできない危険な穴です。伝説によると、江ノ島の洞穴まで続いているといわれておりますが、どこまで穴が続いているかは確かめれません” (説明板より) 説明書き、ものすごく怖いんですけれどォ 柵の向こうにある真っ暗な先を見つめていると、なんだか吸い込まれそうな勢い ほんと地獄に続いているかも そんな風に感じてしまうほど、底知れぬ恐怖感を抱き、その闇に向けてカメラを握る手も心ばかし力んでいた 天然の氷柱は冬にでき、初夏ぐらいまで見られるとのことで、もしかして拝めないかも?と思っていたが、半分以上は岩肌が剥き出しになってはいたものの、氷柱の片鱗を垣間見ることはできた この氷柱は冬の間に天井からしみ出した水滴が氷柱となり、床までつながったもの どれだけの時を経て出来たのかと想像するだけで、ただの氷の塊とはいえ、神秘的なものを感じた そうそう、お客さんが口走っていたのだが、氷の壁と呼ばれる氷が、どうも自然なものではないのでは?というもの 確かに不自然な感じがしないわけでもないが、まぁそこら辺はあまり深く追求せず、氷の世界を楽しみたい 富岳風穴を見ていた際のこと 鳴沢氷穴に先にいっていた見物客の一人が、 「氷穴より、風穴の方が寒い」 なんて言っていた 氷穴のほうが寒いでしょ!と思っていたが、実際に比べてみると、やはり風穴の方が寒く感じられた どういうわけなんだろう!? 噴火という偶然の産物によってでき富岳風穴と鳴沢氷穴 およそ1140年経った今も、そしてこれからも、自然の猛威と神秘を伝えていく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年09月04日 07時30分07秒
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