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カテゴリ:怒
それは、一本の電話から始まった…
仕事が一段落着いた昼下がり 職場の電話が鳴った 受話器をとるまえは習慣的に、相手は誰だろう?と、電話のディスプレイ画面に目を向ける しかし、掛けてきた相手側は非通知にしているようで、電話番号が表示されていない “どうせセールスか何かだろう” と、応対に出ると、中年と思しき男性の声で、「そちらの花屋さんに、○○さんはいますか?」と訊ねられた その名前は、自分だったので、どんな用件かと尋ねると、相手は突然語気を強めてこう言った 『2ヶ月ほど前に封書を送ったのに、まだその返事が来ていません』 何のことか見に覚えのない話だったので、自分は「知りません」としか言いようがないのだが、 『なぜ返事をくれないんですか?』の一点張り 一体何の封書なのか訊ねると、相手は、予想だにもしなかった事を自分に向かって告げた 『今回、国の特例により、あなたが司法書士として特別に認定されることになりました』 はっ? 何? 司法書士? 自分が? なんで!? あまりにも突拍子もない事が受話器から言葉となって、自分の耳に伝わってきたので、しばし頭の中は整理がつかない状態になっていた そんな自分にお構い無しに、相手は喋り続ける 『司法書士に認定されると、月に3~4万円の収入が見込めます。ただ司法書士になったからといって、特別に勉強が必要なわけではありませんが、登録などの諸費用として48万円が必要となります。金額が高額ゆえに一括に支払うことは無理かと思われます。そこで支払いの分割申請を希望される方の期限が今日までだったのです。期限が今日までで、いますぐ申請を行いたいと思いますので、色々と教えていただけますでしょうか?』 その時点で、自分の中で何かがおかしいな?とは思いながらも、今日までに返事をしなかったという自分に後ろめたさを感じていたし、わざわざ職場に自分を名指しで電話を掛けてきたこと、それに相手に捲くし立てられ、国が…だの、期限が…だのと、言われると、ついつい相手の言葉に乗せられてしまい、氏名、住所、自宅と個人の携帯の電話番号、勤務時間、勤続年数と…聞かれることを素直に答えていってしまった 一通り回答を終えると、 『間違いがないか、これから審査をします』 と言って、受話器からメロディーが流れた すると、10秒も経たないうちに、「審査課です」と、別の男性に代わった そんな早くに審査が完了するんかいッ! と思いながらも、相手が言うことを聞き漏らすまいと、全神経を耳に集中させる 『今日が締め切りなので、分割を申請する用紙を送る時間がないので、白紙で結構ですので、住所、氏名、電話番号、“分割申請”と書いて、今から申し上げます番号にFAXを送信してください。期限は本日の24時までです』 そこで相手は電話を切ろうとしたので、自分は質問を投げかけた 『あの、宛先はどちら様宛にすれば宜しいのでしょうか?』 FAX番号は今聞いたが、誰に送ったらいいのか相手の名前は聞いていないのである すると、相手は一瞬声を詰まらせてから、 『そのままで結構です』 と、言葉少なに言った それが決め手となって、これはおかしい!とようやく自分の中で確信が持てた だって、そうでしょ? 仮にも、国が自分のことを行政書士として特別に認定するというのに、ただのメモ書きをFAXで流すという、そんなおざなりな対応でいいわけ? それに、よくよく考えてみたら、花しか売ったことのない自分が、どう考えたって、畑違いの行政書士に認定されるわけがないッちゅうの! 結局は、「わかりました」と言って、電話を切ったのだが、これ間違いなく詐欺だよね? そうは思っても、後の祭り 住まいや携帯番号など、自分のことペラペラと喋っちゃったけど大丈夫かな? いや、大丈夫じゃないでしょ もう、それからは頭のなかで色々なことが渦巻いて、全然仕事が手につかない ちょっとしたミスも繰り返すし… ハァ~!(←溜め息) まんまと罠に引っかかった自分に対しての不甲斐なさと、何か悪いことが起きなければいいけど…という、怒りと不安との感情が入り混じって、自分の身体はカッカと熱くなっていた タイムリミットは24時… 自分は行政書士というものが何をする人物なのかも知らないほど、まったくの知識が無いので、調べてみた “行政書士になるには、行政書士試験に合格するか、弁護士、税理士、公認会計士、弁理士のいずれかの資格を取るか、公務員として20年(高卒以上であれば17年)以上行政事務を担当することが必要” (行政書士法2条参照) まったくもって、どの条件にもかすりもしない自分が、行政書士になれるわけがないということが、これで決定的となった 「毎月3~4万の収入が見込める」というのをエサにして、48万円を詐取しようとした詐欺の疑いが非常に濃い そうと判ったら、無性に腹が立ってきた だってさ、自分は真面目に働いているというのに、そんな全うな人間を騙そうとするだなんて、こんな不条理なことがあっていいわけ? 何の恨みがあって、そんな事するかな!? それとも、自分に何か恨みでもあるのか? まぁ、誰にも恨まれていない…っていったら嘘になるけどさ とにかく、こんなこと許されるわけがないよ!! 自分の周りの人たちも「それは詐欺だから放っていけばいいよ」と言ってくれたこともあり、無視することにした この一本の電話だけで、話は終わるのだろうか… 話の続きが無いことを祈るばかりである ※これは、自分の身に起きたノンフィクションです お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年10月26日 17時17分49秒
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