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カテゴリ:舞
渋谷駅から程近くにある、渋谷セルリアンタワー
そのビルの地下二階に“セルリアンタワー能楽堂”がある 今回初めて訪れるのだが、建物のなかは、おおよそ能楽堂などあるような雰囲気はまったくない けれども、たしかに、そこに能楽堂は存在した 天井の高い、ホテルの宴会場のような一室に、スッポリと収まっている なんだか変な感じではあるが、普段居慣れない場所にいるせいか、それとも独特なものなのか、なにか張り詰めたような凛とした空気を全身で感じていた なぜ能楽堂に来たのか? 能を観にきたわけではない 今日一日だけ行われる作品の為だ 名作語り『高野聖』 山中の秘境で、若き修行僧が出会った妖しくも美しい女 その女の正体とは? 魔界と現実が交錯する旅僧の不思議な経験を描いた泉鏡花の代表作 その作品の構成・演出を務めたのは、歌舞伎役者の中村翫雀氏 主演は佳那晃子氏 最近ブラウン管で姿を見ないな?と思っていたら、それもその筈 佳那氏は“ネフローゼ症候群”という病にかかり、近年、病気療養のため女優業をしばらく休んでいたのだそう その病も無事全快して、今回の作品が女優復帰第一作となる 名作語りということで、椅子に腰掛けたままの朗読劇をイメージしていたのだが、身振り手振りや動きが入るので、シーンの情景が浮かびやすい 泉鏡花独特の妖しげな世界、小鼓と笛の優雅な音色も手伝って、非日常の空間に引き摺りこまれる とはいえ、やはり物語の全部を理解するのは難しい 聴き慣れない言葉の数々… 手元には用語解説があるのだが、頭に入れるのは難しい それと、自分の想像力が足りないこともあって、言葉を受け止めることができず、右から左へと流れていく やはり、作品のことを知らないと、置いてけぼりを喰らう けれども、この作品が持つ世界観だけは肌で感じることができた 久しぶりの女優業となった佳那氏 お姿を拝見する限りは、なんらブランクを感じさせない いくつかの役どころを、巧みに演じ分けていた 若き修行僧を演じた山口馬木也氏は、着物姿もキマッていて、口跡もよく、素晴らしかった すごく静かで、あまり変化が見られないこの作品 日頃の睡眠不足も祟ってか、睡魔が襲ってくる けれども、なんせ能楽堂は明るいまま ましてや自分は前の方の列 “寝ちゃダメ…” というプレッシャーから、集中して観るんだけれど、かえってそれが自分を追い詰めていく 白状します 何度か睡魔に屈してしまいました ごめんなさい でも言い訳するわけじゃないけど、他のお客様も結構眠りの世界へ誘われている人多かった きっと心地良い世界観なのだろう 名作語り 『高野聖』 セルリアンタワー能楽堂 12月19日(土) 出演/佳那晃子/山口馬木也/小西良太郎 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年01月24日 19時06分03秒
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