学歴・年収が低く、日本語はろくに喋れず専門知識もない、非熟練労働に従事している「低度」外国人材。3年に亘り、中国、ベトナム、日本各地を回り、絶対的な弱者でも敵でもない、彼らの生身の姿に迫ったディープルポ。
日本政府をはじめ、公的機関が使用している言葉、「高度外国人材」。「高度」な人材がいるということは、国の定義とは真逆の属性を持つ人材も存在するはずだ。それは、「(年齢だけは若いかもしれないが)学歴・年収が低く、日本語はろくに喋れず専門知識もない、非熟練労働に従事している」人たちといえる。しかし、日本社会は彼らにこそ強く依存しており、必要としているではないか。生身の「“低度“外国人材」は、紋切り型の報道のなかで語られるような、絶対的な弱者や被害者たちの群れではない。ましてや、陰謀をたくらむ存在でもない。そもそも中国は経済成長をとげ、稼げない日本に見切りをつける中国人は多く、在日外国人問題の主役はベトナム人に移行している。……われわれは記号としての弱者や敵を想定していたのに、いたのは人間だった。3年にわたって中国、ベトナム、日本各地を回り、生身の姿に迫ったディープルポ!
本書は、日本語はろくに喋れず専門知識もなく非熟練労働に従事する人材「低度外国人材」と位置付けられてしまうような人々の実像に迫ったルポルタージュ。その本書では、綺麗事では説明も解決もできない『留学生・技能実習生』の現実に迫り、技能実習生の姿や暮らしを淡々と追っています。多くの日本企業は、劣悪な環境で彼らを酷使し、使い捨てる様子が本書で複数描かれていますが、現実をルポとして淡々と書いているところに、よりリアルな現実問題が浮かび上がっており、非常に読み応えのあるルポルタージュでした。
【満足度】 ★★★★☆