すべては島の未来のために…。山口県の通称・萩大島で漁師たちと幾多の衝突を超え、漁獲した魚を直接消費者に届ける自家出荷をスタートさせた若きシングルマザー社長の自伝。日本テレビ系の同名ドラマの原作。
日本テレビ系ドラマ『ファーストペンギン』主人公のモデルになったシングルマザー社長の自伝。気の荒い漁師たちと幾多の衝突を超えて夢を叶える! 田舎の漁村ゆえの排他性、「女のくせに」という偏見、漁協のいやがらせ、仲間であるはずの漁師たちの反乱……。ひょんなことから、漁師たちをまとめる船団の社長に就任したシングルマザー。魚や漁業のことはずぶの素人。それでも先細る一方の萩大島の漁業を守ろうと改革に立ち上がる。口より先に手が出る漁師と、時に殴り合い、時に宥めすかしながら、島の漁業を新しいビジネスにすべく奮闘する。ドラマでは女優・奈緒が演じる主人公本人が綴ったヒューマン・ストーリー。
本書は、2022年10月期の日本テレビ系ドラマ『ファーストペンギン!』の主人公のモデルとなったシングルマザーの著者が、縁もゆかりもない漁業の世界に飛び込んで、漁師たちとの奮闘と夢を叶えるまでの軌跡を綴った自伝です。シングルマザーとして萩の地で暮らし始めた著者が、漁師から先細る萩大島の漁業を立て直せないかと相談を受け、著者の作成した事業計画書が国の認定事業者に選ばれ、市場に出しても値段がつかないような混獲魚を漁師たち自身で処理し、消費者や飲食店などに直接送るという「粋粋ボックス」という新ビジネスを展開するも、慣習を重んじる漁協からの嫌がらせ、小集団によく見られる排他性、仲間である漁師たちとのぶつかり合いなど、乗り越えなければならない壁がいくつも立ちはだかります。困難に遭っても最後まで諦めず、仲間たちとともに抜け出す道を探し続ける著者の姿は、地域活性化への取り組みは勿論ですが、既存の仕組みからの脱却など地域課題の解決への道も示されています。事業を軌道に乗せたその行動力には感銘を受けました!
【満足度】 ★★★★☆