「紫式部の和歌を屍に添えて汚す者は許せん。下手人を突き止める!」『小倉百人一首』に選出された和歌が事件解決の手掛かりに……。若き藤原定家が、名歌の絡んだ五つの謎を解く!
一一八六年。平家一門の生き残りである、亡き平頼盛の長男・保盛はある日、都の松木立で女のバラバラ死体が発見された現場に遭遇する。生首には紫式部の和歌「めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに 雲隠れにし 夜半の月かな」が書かれた札が針で留められ、野次馬達はその惨状から鬼の仕業だと恐れていた。そこに現れた、保盛の友人で和歌を愛してやまない青年歌人・藤原定家は「屍に添えて和歌を汚す者は許せん」と噴慨。死体を検分する能力のある保盛を巻きこみ、事件解決に乗り出す!後に『小倉百人一首』に選出された和歌の絡む五つの謎を、異色のバディが解く連作ミステリ。
本書は、1186年を舞台に、藤原定家が平保盛とタッグを組んで和歌に絡んだ5つの事件を解き明かす連作短編ミステリ。和歌をこよなく愛するがゆえに黙っちゃいられない性分の定家と、亡き父の平頼盛の想いを継いでひたすら目立たず生きようとする保盛のバディがしっかりした謎解きをし、時代風習を上手くミステリに活かした作品でした。
【満足度】 ★★★★