カテゴリ:建築
今年も暑い夏がやってきました。日本は、先進国の中でも夏の暑さが厳しい気候帯に属しています。太平洋高気圧の影響から、暑い上に湿度が高いのでより暑く感じます。一般的に暑さを表す指標は、気温ですが、実は人の快適感には、気温、湿度、気流、平均輻射温度、代謝量、着衣料の6つの要素が影響するといわれています。今回はその中の湿度についてつづってみます。
例えば、同じ30℃でも、湿度が80%の場合と、湿度が50%の場合では、湿度が低い方が快適に感じます。体感温度で言うと3℃違うと言われています(30℃を超えると、湿度が10%上がると体感温度でが1℃上がると言われています)。これは、気温が顕熱[けんねつ]と言われる一方、顕熱[けんねつ]という目に見えない熱の影響によるものです。顕熱とは、例えば水が蒸発する時に 周りの空気から吸熱する熱のことで、吸熱すると周りの空気の温度は下がります。汗をかくと汗が蒸発して涼しく感じるのは顕熱の効果なのです。ですから、湿度が低いと汗が蒸発しやすいので涼しく感じるのです。涼しくしようとして温度ばかり下げても効果的ではありません。湿度も下げることで効果的に冷房できます。日本の夏は、湿度が高いためにより暑く感じてしまうのです。夏でも、室内は、炊事をしたり、洗濯ものを室内に干したり、シャワーを浴びたりと水蒸気が出まくりです。しかも、最近の建築は、高気密になっているので湿度が室内にこもってしまいます。北欧で始まり北海道経由で入ってきた高断熱高気密の建築を、太平洋高気圧にさらされる日本で使いこなすには湿度の管理が大切なのです。 吉田兼好は徒然草の中で「家のつくりようは夏をむねとすべし」とつづっています。これは、平安時代の建築技術の中で快適な生活を送る知恵だったのだと思います。建築の中の湿度を外部に出すために思いっきり開放的な家の作りを薦めていたのです。 吉田兼好から700年余り経過した現代のわが国の場合は「いえのつくりようは湿度管理をむねとすべし」でしょうか? 現代風水建築家?金谷直政 かなや設計 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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