安全な卵が食べたい!
卵は物価の優等生といわれています。私が子供の頃はあまり食べられませんでしたが、当時とあまり価格が変わっていません。鳥インフルエンザ、ひどく古い卵を京都府の養鶏組合が出荷したとか、卵にまつわるニュースが多く、気になり調べてみました。加熱して食べることが安全です。***********************************************************************■実は各業者がつけている近所のスーパーで卵を買ってみた。パックの中にラベルが入っている。産地、サイズ、包装者、賞味期限、保存方法、使用方法が記されている。この賞味期限は食品衛生法で表示が義務づけられている。産地やサイズもJAS(日本農林規格)法で表示が決めらている。◇あくまで「生」で食べられる期間では、表示する賞味期限はどうやって決められているのだろうか。首都圏六つの生協で作るコープネット事業連合(さいたま市)で卵を担当する関文樹さんに聞くと「コープ卵の賞味期限はパックする日を含めて14日です。賞味期限以外に採卵日も表示しています」との説明。実は賞味期限は各業者の責任で行われているのだ。卵業界は賞味期限をつける時の目安を作っている(別表参照)。この目安は、保存温度と保存期間ごとにサルモネラ菌が発生する危険性を予測し、設定したものだ。「28度なら16日間」など平均気温で設定しているため、季節によって変わる。ただ、この賞味期限はあくまで“生”で食べられる期間だ。実は卵の賞味期限表示の義務づけは99年に始まったばかり。それまでは、自主的にパック日や採卵日を表示していた。魚や野菜と同じ農産物扱いだったからだ。サルモネラ菌中毒の危険性が指摘され、「決まった方法で保存して、より安全に食べられる期間」を示すようになった。■流通~家庭、「低温」が大切関さんは「日付は重要だが、カギは保存温度。10度以下で保存すれば菌はほとんど繁殖しない。期限を過ぎた卵は中身を確認して、十分加熱して食べてほしい」と話す。卵白にはリゾチームという抗菌物質が含まれている。卵黄には卵黄膜というバリアがある。高い温度にさらされたり時間がたったりすると卵白は変質して軟らかくなり、リゾチームの働きが弱まる。同時に卵黄膜も薄くなり、卵黄成分が卵白部分に染み出して細菌繁殖を助けるというのだ。暖かい場所に置いてあった卵を割ると白身や黄身がぺたっと平たくなっていることがある。「白身と黄身が盛り上がった卵が新鮮」と言われるのはこのためだ。卵の輸送中に車内が高温になったり、店舗への搬入中に高温にさらされたりすることもある。村上さんは「卵の鮮度は温度と時間経過の二つの関係で決まる。日付だけでは分からない。冷蔵庫で保存するのはもちろん、割った状態で室温で放置しないことも大切です」。賞味期限の設定も消費者が買った卵を冷蔵庫で保存することが前提になっている。■第三者認証制度、そろそろ家庭での保存は低温でということは理解できた。しかし、購入までの温度管理や衛生管理はどうなっているのだろう。首都圏だけで毎日1000万個以上が消費されている。全国各地の鶏舎から、出荷拠点であるGPセンター(選別・包装施設)を経てさまざまなルートに出荷される。1日20万個を扱う「昭和鶏卵小川GPセンター」(茨城県小川町)を訪ねた。工場長の坂井吉治さんは「鶏舎で採卵してからパックまで最大2日です。生協向けの卵は採卵日も表示し、保冷トラックで低温輸送しています」と流通環境に気を配っている。卵が原因の食中毒は00年42件、01年35件、02年22件と減っている。卵の生産履歴を追跡する実験も始まった。卵の生産・流通事情に詳しい鹿児島大農学部教授の岡本嘉六さん(獣医公衆衛生学)は「米国では卵を7度以下で輸送するよう義務づけるなど、安全管理体制を整備している」と話す。◇コスト負担する覚悟、消費者も日本にはその体制がなく、事業者任せになっている。「そろそろ第三者機関が安全性を認証するシステムを作る時期ではないか。そのためのコストを消費者が負担する覚悟も必要だ」と岡本さん。安全な卵を食べたい。表示も信じたい。そのためなら少しぐらい高くてもいいか。卵焼きを食べながら悩もう。■賞味期限設定の目安■(日本卵業協会)・夏 ( 7~9月) 採卵日から最大17日以内・春秋( 4~6月、10、11月) 〃 最大27日以内・冬 (12~3月) 〃 最大50日以内 ※購入後、冷蔵庫で保存する7日間を含んでの設定(出典:毎日健康ひろば)