エラリー・クイーン「アメリカ銃の謎」
国名シリーズ第六弾。
ロデオショーの最中、衆人環視の下で行われた殺人。
現場に居合わせたクイーン父子は直ちに出入口を封鎖し、二万人の容疑者に相対する。
凶器は二十五口径の銃。
しかし調べども調べども件の銃は発見されない。
凶器は何処に隠されたのか。
犯人設定は古典的なトリックを充分捻ったものであり、意外性抜群だった。
しかし一番の謎である銃の隠し場所に至っては、それはもう輪をかけて意外なもので、本書をバカミスと呼んでも差し支え無いのではないか。
それでも何時もながらエラリーの語る論理はしっかりしたもので、J・Jと同じく口を閉ざすしかない読者である。
本書はこれまでの作品とは違い、ユーモアがふんだんに盛り込まれている。
西部の荒くれ者達を取り巻く物語故に下品で皮肉に満ちた言葉が散りばめられ、ロデオショーという動きの派手な場面も楽しかった。
著者が物語にも力を入れだした事が解る一作だ。
ジューナの出番が多かったのも嬉しい。