こちら葛飾区亀有公園前派出所（164）

5月1日に出ていたのに忘れてました。昨日買ってきました。2カ月に一冊のペースで出るんだから覚えていそうなものですがそれはさておき、今回はかなりの爆笑物でした。もう声あげてゲラゲラ笑っちゃうくらい(笑)

こんな大不況の世の中でもたくましく生きていこうと思わされた一本目。出版物も不況の今、「分冊本」を題材にしてしまう『分冊本大ブームの巻』。
「つまり漫画家は競走馬か！」という両さんの一言に「いい作品だから売れるんだよね！」「でも売れなくてもいい作品がいっぱい！いっぱい！あるわ！」と慌てて取り繕う中川と麗子は完全に目が泳いでる。
「分冊本」のカラクリが分かってしまって可笑しいですよ。
何にでも便乗して商売にしてしまう両さんの破天荒ぶりが再燃です。「『こち亀』に勢いが戻ってきた」と感じました。読んでいて前向きになれる、元気をくれる、そんな『こち亀』が私は大好きです。『変顔大将の巻』なんてもう「理屈抜き」でひたすら笑えたし。単純なギャグのみで19ページ引っ張ってるんですが、ギャグのレベルが高い。内容が全くないにも等しく、純粋に「可笑しさ」だけをとことんまで追求するとこうなるのか。「漫画家」という職業を尊敬できてしまう一作です。
『両津の決断の巻』はもてない日々があまりにも長く続いた両さんは今では女性に興味がなく、ハニートラップにもかからない。警察官のイメージアップになるだろうとテレビ出演を許されたら、急遽企画が「金」になってしまう。麻酔銃を構えた狙撃犯に狙われる中、10万円の札束よりも車に轢かれそうな犬を助けたという「いい話」かと思いきや…「0.5秒」の決断で15万円の賞金のかかっていた犬を取ったという。

『飛行艇時代の巻』はマニアが喜びそうなネタ。「飛行艇」という着眼点は流石です。メカ好きにはたまらない内容。『スクーターボスの巻』もマニア受けしそうな内容でありながら、どこかホッとする微笑ましいものがあります。

今回むちゃくちゃ笑ったのが『スピンオフの巻』ですよ。

こんなネタが許されるのも、33年間続いている『こち亀』ならではです。まだ10巻程度しか出てない作品だったら私は許さない。しかし毎回読んでいて、『こち亀』に両さんが「居る」ことを当たり前に思いすぎていたということは再認識させられました。いてもいなくても変わらないと思っていた存在が、本当は見えないところで作品世界を支えていたんだと。「『こち亀』ってどんな漫画なの？」と訊かれると確かに一言では表せません。
読者の支持を得ようと楽な「おいろけ」にはしる周囲の登場人物ですが、「チラリズム」という観点から見ると、今の『こち亀』の絵は見方によっては充分「ヌける」と思います(笑)

『キャラに一文字の巻』は偽装なしで、本当に読者アンケートの結果を基に、登場人物一人一人に「一文字」の漢字をあててます。
スピンオフ再び？かと思いきや、

本当に身勝手だ(笑)
1550回記念の『キャラを一文字で表して下さい』の募集で予想以上に面白い結果が出たのでそれで一本描いてしまいましたよ。
両さんを表す一文字で1位だったのが「金」、ところが中川の一文字も「金」。

苦しいね(笑)　しかも集計27位に「欲」も入ってるし。最終20位まで「金」の文字がない麗子とは対照的。
大原部長は1位の「怒」から始まり「厳」「固」「堅」「頑」「鬼」「雷」「叱」「恐」という文字ばかり。両さんを見放さない優しい上司なのにね。私は大原部長好きです。石頭でありながらも最終的には温かい目で自分を信じてくれる、そういう上司というのが最近減っている気がするので、両さんは上司に恵まれてると思います。
寺井の一文字が「家」というのが哀愁満載ですよ。
両さんの1位以下に「毛」とか「鮪」とかあるのも随分だな。よりによって「マグロ」！

『夏の冒険島の巻』は両さんが町会の子供会のキャンプの付き添いをする話。お約束のまいったなぁ、スケジュールギッシリだ→「やるよ　けっきょく金が欲しいんだろ！」があって、守銭奴ぶりを見せてくれておきながら、「子供想いの頼りになる両さん」というのを描いてくれて良かったですね。


お薦め度：★★★★☆
堪能できました。「『こち亀』読者で良かった！」と思わされた一冊です。

巻末の寄稿文は江口寿史、コミックスプレビューは第154巻、第146巻と第91巻です。第146巻持ってないから買おうかな。『極めろ！謝り道!!の巻』が気になります。



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