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テーマ:お勧めの本(7219)
カテゴリ:読書
総力戦の発想が必要
本書は、太平洋戦争戦前のアメリカの対日戦略(経済制裁)について 書かれた本である。 それも、 失敗した戦略でについてある。 つまり、戦わずにして日本を屈服させる。ないし日本に開戦を思いとどまらせようとしたのに、戦争になってしまったからだ。
日本の中国侵略を押しとどめようとしたアメリカの経済制裁、特に 石油の禁輸が、日本が開戦を決断した要因であるというのが歴史家 の多くが指摘するところである。 だが、著者はむしろ、全ての貿易を途絶させ、日本を経済的に破綻させた 金融制裁に注目している。 日本は石油や鉄くずをはじめとする重要な戦略物資をアメリカから輸入していた。1941年7月25日に、在米の日本資産が凍結されたため、決済不能になり、事実上の破綻をきたしたのである。 日本の当事者には、日本経済を成り立たせている基盤についての 認識が甘かったとしかいいようがない。
本書からわかることは、米国側は、金融制裁に先立ち、日本の経済とその脆弱性についての徹底的な分析を行っている。それらは、正しかったものもあり、間違っているものもあった。 例えば、戦略物資についても脆弱性の徹底的な検討が行われた。 それは、米国からの輸入について鉄、銅、研磨剤、カーボンブラック、マニラ麻、蛍石(アルミニウムの精製に必要)、有機溶剤など。また米国以外の国からの輸入品(これも、米国によって全て止められた)では、ボーキサイト、 マンガン、クロム、タングステン、モリブデン、ニッケル、アスベスト、 さらには、水晶結晶板(クォーツ)黒雲母板、ダイヤモンド、天然グラファイト にいたるまで。 そして、禁輸、阻止購入(相手に買われないように買い占める)によって 日本側が手に入らないようにしたのである。 また、本書では政治力学についても書かれている。 著者によれば、日本を絞め殺すおそるべき恐るべき経済制裁は、省庁の縄張り争いをする若手官僚たちによって計画され、行動に移された。 経済制裁について、国家の上層部は日本を破滅させるのでなくて、正気に戻すために行おうとしたというのだ。実行後に実態が判ってから追認したというのである。 これは、日本でも青年将校らの暴走によって戦争が始まったというのを あわせて興味深い。 *************************************************************** ☆私のブログ 【自己啓発】とどろきから伝説を発信する~地球の未来を探す者~ 【趣味道楽】とどろき伝説(楽天版) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年09月26日 12時10分34秒
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