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カテゴリ:映画
今回、少しネタバレあり。
日本のアニメ『宇宙戦艦ヤマト』は、第二次世界大戦の頃の戦艦の形をしている。 そして、2012年に大ヒットしたアメリカ映画『アベンジャーズ』に出てくるヘリ・キャリアー(空飛ぶ秘密基地)は、どうみても原子力空母だ。 どれも、その国が一番強かったころの兵器のデザインを使っているわけだね。 しかも、どちらも、設計・用兵思想のカリカチュアといえるのである。 まず、『宇宙戦艦ヤマト』である。 これは、巨艦巨砲主義と個艦優越という思想に基づいている。 巨艦巨砲主義は、大きな軍艦に大きな大砲を積めば制海権がとれるという 発想である。だが、大きな船は図体がでかいので、操船が難しい。 ヤマトの主兵器「波動砲」がまさにそれである。威力はともかく、艦首前方にしか発射できない上に、発射のために、船の動力を全部使ってしまう。現実の戦艦では、主砲はどの方角も狙えるし、一つの都市の消費電力に匹敵する発電をしながら、全速力で動けたのにである。ヤマトは、現実の戦艦よりよほど使いにくいものだ。 また、個艦優越という思想は、一見当たり前のように見えるが、それは自明ではない。 海軍では、少数精鋭以外の選択肢はありえないが、これは個艦優越を意味しない。単純化すると、1隻の強力な戦艦と、その半分の戦闘力をもつ戦艦2隻は対等ではない。2隻あれば、同時に運用もできるし、それぞれ違う場所で使う(同時異方攻撃)も可能だからだ。 だが、お金がない日本が、米英の海軍に勝つには、それぞれの船が性能を上げるしかないと考えたのである。一方米英のほうは、そのような発想にはとらわれなかった。護衛駆逐艦など粗製乱造に近い。いくら性能を高めても巡洋艦にはかなわないのだから、それより大量生産することを優先したのである。 この個艦優越の思想を突き詰めると、1隻の超強力な戦艦があれば、戦争に勝つことができることになる。『宇宙戦艦ヤマト』はまさにその発想である。 一方、『アベンジャーズ』ででてくるヘリ・キャリアーはさらに噴飯ものである。(笑) 背景の空の色に紛れて見えなくなるというのだが、レーダーにはうつらなければ、航空機の発着ができないだろう。北朝鮮のミサイルでも簡単に撃墜できそうである。 そもそもステルス戦闘機といっても、全く見えないわけではない。自軍のレーダーに映らなければ、夜間の出撃ができなくなる。(笑) 攻撃力は、搭載しているF22(実在する戦闘機)から発射される核ミサイルである。これが敵の動力システムを止めてしまうのだが、戦場がニューヨークなら地上の基地から出撃すれば済む話ではないか。 空を飛ぶだけで、一方的に打たれ弱い。自分で自分の運命を切り開くことができない空母の弱点だけを拡大したような代物である。 現実の空母は、ダメージコントロールによって簡単には沈まない。それどころか、随伴する護衛艦・イージスシステム・艦隊を先導する原潜を処分しない限り、近づくことすら困難である。宇宙人が攻めてきても、現実の艦隊のほうが、まだ使える。(笑) まあ、映画であるので、それぞれの国民の夢を描いているのだろう。 『戦艦ヤマト』では、ヤマトは常にガミラスに行動を監視されている。普通に考えれば、いたるところで攻撃され、イスカンダルへたどり着く前に撃墜されるはずである。沖縄へ出撃した大和と同じ運命になるはずだが、勝ってしまうというのが物語のいいところなのだろう。 ヘリ・キャリアーも、わざと弱くして、ヒーロー達の出番を作っているのだろうね。(笑)
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最終更新日
2013年10月01日 15時28分08秒
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