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テーマ:Jazz(1977)
カテゴリ:カテゴリ未分類
●『Chega De Saudade』(シェガ・ジ・サウダージ)ブラジル・ポルトガル語の意味
『シェガ・ジ・サウダージ』という曲をもう一度考えてみます。 この「シェガ・ジ・サウダージ(Chega De Saudade)」という曲はブラジル音楽の上でも 今までのものと違う新しいボサノヴァと呼ばれる音楽の誕生という点で重要な曲ですが、 この題名自体も、ブラジル人にとっては深く、そして重く、大きな意味を持つものでしょう。 そして、ボサノヴァを語る上でも、非常に意味深いものです。 ポルトガル語には2種類あって、ポルトガル語を公用語とする国の中でも、 ポルトガルで使われるポルトガル語と南米であるブラジルで使われるポルトガル語では違いがあります。 ブラジルで使われているものは、「ブラジル・ポルトガル語」と呼ばれ、発音を含め微妙に違うということです。 本屋に行っても、それぞれ別のものとして売られているのです。 「saudade」という言葉は、日本語にすると普通「郷愁」というように訳されます。 ポルトガルで使われるポルトガル語では「サウダーデ」と発音し、 確かに「懐かしさ」や「やるせない想い」をさす言葉ですが、 ブラジル・ポルトガル語では「サウダージ」と発音し、もっと切ない思慕感情をさし、 この感情には悲しみの涙が伴うほどのものだそうです。 それは、アフリカから無理やりつれてこられた黒人や、白人に支配されることになった先住民が感じる、 切ない心情がこのブラジルの「サウダージ」の根底にあるということです。 単語のつづりは同じでも、ブラジルの「サウダージ」は、 一般的なポルトガル語とは質が違うものだと言えます。 心の中ではすぐ近いところにあり、片時も忘れることのできないのに、 実際の距離は遠くてどうにもならないという対象への想い、というのが「サウダージ」ということです。 それが現代では、なんらかの理由ではなればなれになっている 夫婦、恋人、愛する人への切ない想いにもサウダージが使われ、歌にもひんぱんに出てくる言葉で、 サンバやサンバ・カンサゥン(怨演{えんか})というブラジル音楽の根底にある やるせなく悲しい感情もサウダージということで、 ブラジル音楽を理解する上では、きわめて重要な情感を表す言葉であると言えます。 「シェガ・ジ・サウダージ」を直訳すると「サウダージなんてもうたくさんだ!!」という意味で、 「想い出なんてもうたくさん!!」とでも言えばよいのでしょうか? 要するに、今までの「サウダージ」との決別をも意味するものではないでしょうか。 「過去のセンチメンタルな想いは捨てて、新しく素晴らしい未来を見ようよ」とも言っているように聞こえます。 「想いあふれて」という邦題からだけでは、ちょっと飛躍しすぎてしまっているため、 「サウダージ」の意味が本当にわからないと理解しにくい題名と言えます。 そう考えると、この「サウダージ」は、アメリカ黒人の「ブルース」の意味合いに非常に近い と言えるのではないでしょうか。 ですから、英題では「ノー・モア・ブルース」となっていて、「ブルースはもうたくさんだ!!」 という意味になるのでしょう。 歌詞の内容は、ポルトガル語オリジナルのものと英語版のものとは違いがあります。 ところで、日本では「サウダージ」や「ブルース」に当たるものは何なんでしょうかね? ある人は津軽三味線にそれを感じるとか言っていましたが、「民謡」、「演歌」・・・?。 日本人の心の歌って何なんでしょうかね? 日本人は、奴隷のような経験はないので、そういった感情というものは 本当には理解しがたい部分があるのではないでしょうか。 ***** 【オリジナル】 ●シェガ・ジ・サウダージ Chega De Saudade 作詞:ヴィニシウス・ジ・モライス 作曲:アントニオ・カルロス・ジョビン 1958年 【ポルトガル語オリジナル歌詞の訳】 悲しみよ 僕は彼女に訴える おまえなしではダメなんだと お願いだから戻ってきておくれ さもないと僕はもうこれ以上生きてはいけない 想い出なんてもうたくさんだ!(シェガ・ジ・サウダージ) 彼女なしの世界なんて考えられない この世のどんな美もありえない 僕の中に終わりがなく、あるものは 悲しみと憂うつだけ 彼女が戻ってくれたのなら なんて素晴らしいことだろう 海に泳ぐ魚の数よりも たくさんのキスをあげるよ この両腕に、しっかりと彼女を抱きしめて なにも言わずにその身体のぬくもりを 深く深く感じるだろうに 飽きるほど抱擁し、キスをして 愛撫の雨を降らしてあげられるのに そんな生き方はさせないよ 僕と離れて生きるなんて 独りになどさせはしない そんな生き方はやめるんだ 僕と離れて生きるなんて --------- 【アメリカ版】 ●ノー・モア・ブルース No More Blues 英語版作詞:ジョン・ヘンドリックス ジェシー・キャヴァノー 作曲:アントニオ・カルロス・ジョビン 1962年 【英語版歌詞の訳】 もう、悲しむことはない、家に帰るんだ もう悩みもおわりだ、さまよったりしないと約束するよ 我が家こそ心の住家だ おかしなことに僕の心はずっとそこにあったんだ もう、涙もため息もおわりさ そして怖くもない、もう、さよならも言わない 旅が僕を呼んでも 今度は誓って断るさ 故郷に落ち着けば もう、悲しむことはない 家から遠く離れているときは いつでも 僕の心は家に向かっている どんなときも 故郷に向かっている しあわせを求めて世界中を旅してまわったけれど 僕がみつけたしあわせは故郷にあった もう悲しみはいらない、故郷に帰るから なんの借りもない、もう放浪は卒業したのだから さあ、故郷に落ち着こう そして、自分の生活をし、家を建て、妻となる人を見つけよう 故郷に落ち着いたらもう悲しみはない、しあわせ以外に何もない 故郷に落ち着けば もう、悩むことはない お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
July 3, 2005 10:49:32 AM
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