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山本浩司の雑談室2

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2009.08.23
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カテゴリ:その他
今日は、「単純な対立構造」の原理をお話ししましょう。
法律の世界は、対立する当事者のケンカを裁くわけです。
したがって、AとBは敵同士という単純な対立構造が存在することが常であり、この原理を用いると国語の問題として問題を解くことができます。



割賦払の金銭債権について,「債務者が割試金の支払を怠たった場合には,『期限の利益を喪失させる』旨の債権者の意思表示により期限の利益が失われ,債権者は,残債務金部の履行を請求することができる」という特約が付されている場合に債務者が割賦金の支払を1回怠たったときの残債務の消滅時効の起算点に関して,割試金の不履行があった時から時効が進行するとの考え方(甲説)と,債権者の請求があった時から進行するとの考え方(乙説)とがある。
それぞれの考え方について述べた次のアからオまでの記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。(H21-6)

ア 甲説は,残債務についての履行遅滞の要件と消滅時効の要件とを区別していないと批判される。
イ 甲説は,特約の利益を主張せずに当初の約定どおりの割賦払を受けようとする債権者の債権が当初の約定弁済期に達しないうちに時効によって消滅することがあるのは著しく不合理であると批判される。
ウ 甲説は,事実上,債権者に残債務全部の履行の請求をすることを強制することになると批判される。
エ 乙説は,割試金の不払があっても債権者が引き続き割賦払を認める場合,割試金の支払を怠たったことのある債務者が支払をかったことのない債務者に比べより多くの消滅時効の利益を受けることになると批判される。
オ 乙説は,債権者の意思によって除き得る事情をもって債権の行使を妨げている事情とみるべきではないと批判される。

1 アエ     2 アオ     3 イウ     4 イエ     5 ウオ

本問は、割賦金払いの債権者と債務者の対立構造が題材です。
問題を解く上でのポイントは、甲説と乙説は、どちらが債権者の味方であるかを見抜くことです。

甲説 割賦金の不履行のときから消滅時効が進行する。
乙説 債権者の請求があったときから消滅時効が進行する。

上記を見比べると、債務不履行があっても、債権者が請求しなければ消滅時効が進行しない(したがって債権が消えにくい)とする乙説が、債権者の味方です。

甲説 債権者の敵
乙説 債権者の味方

以上が、本問の「対立構造」です。

では、アからオの肢について正誤を判断しましょう。

ア 法律知識がなければ判断できない→無視

イ 要約すると「甲説(債権者の敵)は、債権が消滅することが不合理だと批判される」となります。
「債権が消滅する」というのは債権者に不利です。
したがって、この肢は、「甲説(債権者の敵)は債権者に不利だから不合理だと批判される」という文脈となり、論理が通ります。
→○

ウ 要約すると「甲説(債権者の敵)は、債権者に強制することになると批判される」となります。
「債権者に強制する」というのは債権者に不利です。
したがって、この肢は、「甲説(債権者の敵)は債権者に不利になるじゃないかと批判される」という文脈となり、論理が通ります。
→○

エ 要約すると「乙説(債権者の味方)は、債務者がより多くの利益を受けると批判される」となります。
債務者がより多くの利益を受けるのは、債務者に有利です。
したがって、この肢は、「乙説(債権者の味方)は債務者に有利だと批判される」という文脈となり、論理が通りません。
→×

オ 要約すると、「乙説(債権者の味方)は、債権者の意思を考慮すべきではないと批判される」となります。
債権者の意思を考慮するのは、債権者に有利です。
したがって、この肢は、「乙説(債権者の味方)は債権者に有利だからけしからんと批判される」という文脈となり、論理が通ります。
→○

答 1 

以上、単純な対立構造の原理から、論理だけの問題として解答することができます。
本問を解答するまでに、法律知識が少しは必要だったかも、と思えるのは、甲説と乙説のどちらが債権者に有利であるかの判定のみです。
というわけで、本問も、典型的な「国語の問題」です。






 






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最終更新日  2009.08.23 19:26:18
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