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カテゴリ:高齢者医療・介護を考えるつぶやき
当法人では機関誌を年に二回、春、秋に出しています。
その巻頭言を私が書いていますが、実は1月25日が締め切りでしたが ようやく昨日の夕に文を完成、そして今日ブログにアップ・・ という話し。顔文字的には(^_^;)・・ 道草原稿 平成28年4月 医療法人和恵会 理事長 猿原孝行 日頃は医療法人社団和恵会の各種サービスをご利用頂き有り難うございます。法人職員を代表しこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。 当法人には認知症に罹患された方々が沢山入院、入所されておられます。 その方々へのサービス提供として「歌を歌う」事を奨励しています。 切っ掛けは十数年前にオーストラリアのタスマニア島にある高齢者施設を見学し「音楽療法」を知ったことでした。 その当時、日本では「音楽療法」という言葉には馴染みがありませんでした。しかし、2001年4月に日本音楽療法学会ができました。確か聖路加名誉院長の日野原重明先生が学会長になり普及し始めたと思います。 この音楽療法学会は今では6000名を超える会員数を誇っていて高齢者施設などで活躍していると書かれています。私個人は会員ではありませんが、当法人では音楽療法士を採用し活動しています。 学会のホームページにアクセスするとそこには「音楽療法とは音楽が持つ生理的・心理的・社会的働きを、心身の障害の回復、機能の維持、生活の質向上に向けて、意図的、計画的に行われる治療的、教育的技法である」という定義が書かれています。認知症の治療の第一選択肢は非薬物療法です。この考えは世界共通です。 非薬物療法には園芸療法、ペット療法、芸術療法等があり「音楽療法」もその一つです。 その後三年間ほどタスマニアの認知症高齢者施設へ当法人職員に短期間でしたが訪問して貰い「非薬物療法」としての音楽の力を勉強してもらいました。 私個人で言えば私は最悪の音痴で音楽には縁がない存在ですが、それでも若い頃流行った音楽が流れてくると若かったあの頃を想い出す、ということを経験的に知っています。 つまり音楽の持つ力の一つがこの「想い出す効果」ということです。昔を想い出し懐かしむということです。 空襲に遭い何もかも焼かれた浜松で戦後苦労して会社を興し子らを育ててきました、というお話は本当によく聞く話で、そんな思い出を語っていただけるときのご本人のお顔に中に充足感を読み取ることができます。そして何気なく歌う歌には戦前の流行歌や戦後の美空ひばりさんの歌の一節が含まれています。 これは「回想法」という手法ですが、思い起こすという精神活動を続ける事により忘れるということを減らす役割を担っています。 人は誰もが楽しい出来事のみを記憶しているわけではありません。それよりも辛かった時代の事や徹夜して頑張った若い頃の思い出を子供の成長と共に憶えています。その辛かった時代、頑張った時代に聞いた歌を知らず知らず聞いて憶えているのでしょう。 無理して憶えた事は全て忘れ去るのに不思議な精神の現象です。物忘れが激しい認知症でも懐かしい歌を歌っている時には穏やかな顔つきをされます。私どもは非薬物療法としてこの音楽療法を実践しています。 ご面会の折、歌を歌うところに来合わせた時にはご参加いただければ幸いです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.01.28 08:16:48
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