173791 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

悠久のムンバイ

悠久のムンバイ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
Jun 12, 2005
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
 “映画とテロの国インド”から一発ごつんと洗礼を受けてしまいました。前回の「悠久のムンバイ」で取り上げたボリウッド映画「デブダス」をインドの映画館で初めて見たのに続いて、最近人気の映画「シャクティ(Shakti)」を映画館で見ていると、グジャラート州でヒンドゥー寺院の襲撃テロ事件が発生して、映画の途中で泣く泣く事務所に帰る羽目になってしまったのです。

 その映画「シャクティ(Shakti)」を見るために、CDを買って音楽を覚え、せりふがヒンドゥー語でわからないので、ストーリーをインターネットでチェックして頭に入れ、観客の波にもまれながら映画館の入口を通り抜けて、やっとのことで座席に座って映画を見ていると、映画が始まってから30分もしないうちに、携帯電話が鳴り(バイブ機能が震え)始めたのです。
 “incoming”という携帯電話の表示に、少し嫌な予感を感じながら電話に出ると、やっぱり、「グジャラート州のヒンドゥー寺院でテロリストが銃を乱射していて、多数の観光客が死亡しているので調査願う」との事務所からの連絡。何でこんな時に限って起こるんだ、と頭にくるのですが、だいたいに物事って得てしてこんなタイミングで起こるものです。
 
 しかし、今度のテロも“パキスタンとインドの進歩のない泥仕合”から一歩も出ない生産性のないテロでした。ゴドラ列車放火事件の2匹目のドジョウを狙っただけの、短絡的なテロです。
 敵(テロリスト)は、グジャラート暴動でのイスラム教徒がヒンドゥー教徒から受けた残虐行為へ対する報復を兼ねて、直接にはカシミール選挙への妨害を目的に、インド国内の混乱を起こそうとしたのかもしれませんが、ヒンドゥーの寺院をテロリストに襲われて数十人が殺害されたにしては、今回は、インド政府と国民の反応は冷静でした。軍隊も非常にすばやく配備されました。

 それにだいたいこれだけテロが続くと、馬鹿馬鹿しくて、“いちいちかまっていられるか”というのもインド国民の感情かもしれません。
 
 さてテロの話題はさておき、映画の話題に戻りましょう。話題の映画「デブダス」は、前評判のおかげで最初の勢いはすばらしく、しばらくはチケットが取れない異常な人気が続いていたのですが、その後は見る影もないほど映画館は閑古鳥が鳴いているようです。インドの人は映画をよく見るので、映画を観る目が肥えています。あまり面白くない映画は、いくら前評判が高くても、いくら出演俳優や女優が有名でも、すぐに淘汰されます。
 インドは映画の制作本数が多いので、興行は非常にシビアです。映画館で上映されたものの人気が芳しくなくて打ち切られる映画はまだいい方で、映画館から相手にもされずに、上映の当てもないまま何ヶ月も何年も待ち続ける映画も少なくありません。

 そして、最近話題になっている映画の一つがこの「シャクティ(Shakti)」という映画です。カナダで暮らしている女性が、彼女の夫と小さな男の子と一緒にインドに帰ってきて、「インドの喧噪にモミくちゃ」にされながらも、息子のために闘って精神的にたくましい女性へとなっていくという映画です。
 しかし、私はこの映画を観ていて、途中で吐きそうになってきました。映画を観ていて吐きそうになったのは、さすがに初めてです。あまりにも映画の中の描写がグロテスクなのです。

 インドでは、新聞や雑誌でよく死体の写真が掲載されます。何か、あのあたりの感覚は、日本人とは決定的に異なります。これでもか、と徹底的に描写してきます。でも、そんな映画でありながらも、映画館に行ってビックリ、観客が集まっていて映画館が満員なのです。
 そこは、場末の柄の良くない通りにある映画館なのですが、一般的に言ってインドの映画館の造りは立派で、日本よりも大きなホールに高い天井、二階席もあり、ざっと2000人くらいの収容が可能なのですが、いやはや満員です。
 まあ、そんな映画館が至るところにあり、映画館が数個入った映画館コンプレックスもすごく豪華なものが存在しますので、この点はさすが映画先進国です。

 ヒンドゥー映画と言えば「愛」がテーマですが、映画だけではなく、現実でも映画俳優や女優たちの愛のゴシップが盛んなようです。
 例えば、この映画「シャクティ(Shakti)」に出演している女優カプール姉妹の姉カリスマ・カプールは、超スーパー俳優アミタ・バッチャン(若大将加山雄三よりもすごい偉大な俳優)の息子俳優との婚約を最近発表しました。このカップルは、正統派同士の由緒正しき結婚という趣でしょうか。良家の子女的雰囲気です。

 一方、やけのやんぱちに陥ってしまったカップルもいます。「デブダス」の主演女優アイシュワイヤ・ライと俳優サルマン・カンです。

 有名俳優サルマン・カンは、先日飲酒運転による死亡事故を起こして逮捕され、ここ数日映画界の話題をさらっています。事故というのは、トヨタのランドクルーザーを運転していて路肩の店に車を突っ込っんでしまい、店で働いていた38歳になる男性一人を死亡させ、数人に怪我を負わせたというものです。

 彼は、常々、インド映画界のNO.1女優アイシュワイヤ・ライと交際していることでも有名で、“インドのゴールデンカップル”として将来は結婚するという国民の期待を背負っていたのですが、事故と同時に発表された彼女のインタビュー記事で、彼女から、「彼とは今年3月に別れたの。だのに、彼はそれが納得できないらしくて、未だに未練がましく連絡してくるの。最低」と暴露され、おまけに「彼は私によく暴力も振るったわ」とも暴露されたので、“映画一作につきギャラ1億円”と言われた彼の一時の名声は、ここ数年の彼の映画作品の成績不振も加わって、“地に落ち果てた”ような様相になってしまいました。

 また、私の友人のインド人曰く、「彼はムスリムだから逮捕されたんだ。ヒンドゥーならわからなかったよ。それに、彼の逮捕は、お金持ちの彼からお金を搾り取るための手段じゃないだろうか。政治家、官僚、警察、いろいろな人がそれで儲かるようになっているからね」とのこと。少し極端な考えかもしれませんが、遠からず納得してしまいます。

 しかし、映画界の人気のバロメーターは、“健全だけど目立たない”よりは“不謹慎だけど目立つ”ほうが、いいということもあるのかもしれません。

 例の、イスラム系暴力団「ダウド・イブラヒム」のNO.2チョタ・シャキールとの繋がりを公開テープで暴露された映画俳優サンジャイ・ダットは、どうしたことか、最近出演した映画が流行っていて、最近よく映画特集のテレビで彼を目にします。ムンバイ市内のイスラム街では、彼の巨大看板も交差点のビルに掛かってますし、良くも悪くもインドの映画界では“目立つ”ということは大切ことなのかもしれません。

 そして、イスラム系暴力団といえば、10年前にムンバイ連続爆破事件を引き起こして500人以上の死者を出した主犯のうちの一人イスラム系暴力団首魁のアブ・サレムが、かつてのボリウッド映画女優モニカと一緒にいるところを、インターポールによりポルトガルで逮捕されました。

 そして、またいつものように、インド政府は「犯人の身柄引き渡し」をポルトガル政府に対して要求しているようですが、これもまた駄目でしょう。いつものことです。
 アブ・サレムは昨年にもドバイで別件で逮捕されたのですが、(ただし、その時彼は別人名義のパスポートを所持していたので、インド当局は彼がアブ・サレムであることを特定する証拠を提示する必要があった)、その時もインド政府が十分な証拠をアラブ首長国連邦当局に提供できなかったので、インドは身柄の引き渡しを受けることなく、アブ・サレムを釈放されてしまうという憂き目に遭っています。

 また、ポルトガルの憲法上の規程では、身柄の引き渡しは「政府の権限」ではなく「裁判所の権限」となっているらしいのです。“政府同士の寝技”ならまだなんとか得意なインドでしょうが、“ポルトガルの司法判断に見合うだけの証拠の提示”はインドの捜査機関の証拠収集能力では致命的です。
 それに、EU諸国というのは、“死刑”が存在する国への身柄引き渡しは原則として「しない」らしいのです。そうなると、折角、待望のアブ・サレムが逮捕されたのに、インドはもう「絶望」のレッドカードを付きつけられたも同然です。いっそのこと、このレッドカードで、インド自身がこの地球から“退場”したほうがいいかもしれません。地球上に、北朝鮮やパキスタン、イラン、インド・・・・・こんな国々が存在すること自体がミラクルなのです。

 それでも、ここで暮らしているとなんとなくインドに同情的になってしまい、インド応援団の一員としてインドを応援しているなあと感じてしまうことが多々あります。なんとなく不器用なインドへの愛着が湧いてしまうのです。自分で退場を付きつけながらも応援する、いわゆる“馬鹿親”のようです。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Jun 12, 2005 10:16:25 PM
コメント(0) | コメントを書く


PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

yasyas4300

yasyas4300

Favorite Blog

まだ登録されていません

Comments

 通りすがり@ シンディー たまたま、インドを調べていてこちらのブ…
 それは言えないです@ Re:文化 (イスラム教徒とヒンドゥー教徒:今日の日記)(05/17) 私も同じ経験があります、正直な気持ちイ…

Freepage List


© Rakuten Group, Inc.