カテゴリ:カテゴリ未分類
むかしむかし、京の都にちかい山寺に、それはそれは学問のある、えらい和尚さんがおりました。
そしてふしぎなことに、このお寺には、とてもありがたいことがおこるのです。 「さよう、普賢菩薩ともうされて、いつもお釈迦さまのおそば近くにつかえて、わたくしどもにおじひをおさずけくださる、ありがたい仏さまが、ゾウにおのりになって、まい晩まい晩、この寺にお見えになるのでございます」 この話は都にもつたわって、おおぜいの人たちが寺をたずねてきては、普賢菩薩さまをおがんでかえるのでした。 和尚さんはいつもうれしそうに、お寺まいりの人たちに、 「わしは何十年もながいあいだ、ただの一日も、お経をかかしたことがござりませぬ。それできっと、このようなありがたい仏さまが、おがめるようになったのでござりましょう」 と、話しをするのでした。 ある日のこと。 ひとりの猟師が、この山寺へやってきました。 和尚さんは、猟師に、 「あんたは、まい日、生きものを殺してばかりおられるが。これからは心を入れかえて、仏につかえてはどうじゃな。ありがたい普賢菩薩さまのおすがたをおがんで、今夜はゆっくりここにおとまりなされ」 「へえ、よろこんでとめていただきましょう」 猟師は今夜もあらわれるという、ふしぎな仏さまをひとめでもおがんでおこうと考えて、おすがたのあらわれるのをまつことにしました。 さて、真夜中になると和尚さんは、 「もうそろそろ、おでましになりますから、どうぞ、こちらへ」 と、猟師を本堂へあんないしました。 本堂のとびらをあけると、和尚さんは入り口のしきいのところに両手をついて頭をさげました。 おともの小僧さんも、頭をさげます。 三人はながいあいだ、普賢菩薩のおでましをまちました。 すると、ポツンと一つ、白い光が東の空にあらわれたのです。 そしてその光はこちらへくるにつれて、だんだん大きくなり、寺のまわりの山やまを明るくてらしだしました。 光はやがて、雪のような白いゾウになると、背中に普賢菩薩さまをのせて、しずかに寺の前にたちました。 仏さまのおからだからは、まぶしいほどの後光がさしています。 和尚さんと小僧さんは、頭をさげたまま、 「なむあみだぶつ、なむあみだぶつ」 と、いっしんにお経をとなえはじめました。 ところが、猟師はふたりのうしろに立って弓に矢をつがえると、菩薩さまをにらみつけています。 そして、菩薩さまめがけて矢を放ちました。 ビューン! 矢は菩薩さまの胸の中心に、ふかくつきささりました。 ゴロゴロゴロー! 突然、雷がはげしく鳴りひびいて、寺は大ゆれにゆれました。 白いゾウのすがたも、菩薩さまのすがたも消えて、あとはただ、ヒューヒューと、やみの中を吹きまくる風の音ばかりです。 和尚さんは猟師を見ると、かみつくようにわめきました。 「なっ、なんと! なんということを、しでかしたのじゃ!」 すると猟師は、おだやかにこういいました。 「和尚さま。どうか気をおしずめなされて、わしのもうすことをお聞きくだされ。あの菩薩さまからは、けもののにおいがしました。ほかの人は気づ かなくとも、わしの鼻はごまかされません。あのにおいはタヌキです。それも人の肉を食らう、年老いた古ダヌキにまちがいありません。お怒りはわかります が、どうか夜のあけるまで、おまちください」 そして朝になりました。 猟師と坊さんは、白いゾウが立っていたところへいって、辺りをしらべてみました。 すると、そこには血のあとと、数本のけものの毛がのこっていました。 二人が血のあとをたどって、ひと山こえていくと、ほら穴の前に猟師の矢に心臓をいぬかれた、大ダヌキが死んでいたのです。 そのまわりには、この大ダヌキが食べちらかした人間の骨がたくさんころがっていました ナニ「大あほ」が維新を成し遂げたのさ。 この世に「大あほ」に勝る「利口」などあるものか。 あったらお目にかかりたいものだ。 人さまを、肩書きや権威なんぞで見ちゃいけねぇよ。心眼てぇもので観るのさ。 そうそう、俺の弟子の坂本は、「天下の大あほ」だったよ。 それにしても「天下の大逆臣」の俺が、正二位 伯爵さまってんだから、 世の中変わったもんだよ。 まあ、俺の話は話半分で、聞いといてくれ(笑) 勝海舟
☆ 今日のブログは下に書いています。↓↓↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Apr 15, 2023 06:35:10 AM
コメント(0) | コメントを書く |
|