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「右町内大塚屋喜三郎儀、去月廿日夜婚儀相整候処、大勢相集石打及狼藉、剰蔀戸打破、家内へ致乱入、屋根瓦迄はね落し、諸道具等も及破損候旨、言語道断之事ニ候、……全躰婚儀等之儀は銘々祝儀之事ニ候得は、役人并五人組之者共ハ素よりの儀、同町之者迄も吉凶相互ニ助ヶ合致相睦相親ミ可申筈之処、却て祝儀妨ヶ、……全躰他町より踏込、右躰之狼藉見逃ニいたし置候ては、其町内之者共一分ニも難立事ニ候、畢竟ハ同町之者より致手始候と相見候、……此以後は役人共并同町之者共早速罷出、狼藉者打伏、搦捕、其趣可申出候、其儀無之ニおゐてハ、同町之者狼藉致し候相決、急度可遂糺明候、万一頭取之者難相知候ハヽ、同町之者共鬮取せ可申候間」(安永四年(1775)「堀川町覚書) 右町内の大塚屋喜三郎の婚儀が先月廿日夜行われ、そのとき大勢の者が集まって石打の狼藉に及び、その上蔀戸(しとみど)まで打ち破り、家内へ乱入して屋根瓦まではね落し、諸道具も壊したというが、言語道断のことである。……だいたい婚儀は銘々の祝儀だから、役人や五人組の者は勿論、同町の者までも吉凶には互いに助け合って仲良くするはずなのに、かえって婚礼を妨げている。……もし他町より踏み込んできて、この狼藉を見逃してはその町内の者共の面目も立たないはず、とすれば同町の者が始めたものと思われる。今後役人や同町の者はすぐ駆付け、狼藉者を打ち伏せて搦め捕り、報告しなさい。それが無いようなら、同町の者が狼藉をしたものと決めて、必ず犯人を糺明する。もし頭取の者が誰か分らなければ、同町の者共に鬮をひかせて、当った者を頭取とする。 【石打ち】いしうち。(『広辞苑』) (1)小石を互いに投げ合う遊戯。 (2)婚礼の夜、近所の者などがその家の中に小石を投げ込む習俗。いしのいわい。 五月五日、端午の印地打ちの行事も、石打ちの一つですが、広島町奉行が出したこの禁令の石打ちは婚礼の祝いです。だだし、その度が過ぎて、まるで打壊しのような有様です。 【印地】いんじ。(『広辞苑』) 五月五日、端午の日に、海浜や川原で多くの子供が二手に分れて小石を投げあい、勝負する遊び。もと正月に大人が参加して争い、豊凶を占ったという。印地打ち。石合戦。 死傷者が予想される行事や祝儀があったのも驚きですが、犯人を鬮引で決めるという乱暴な決りも、脅しだけかも知れませんが、仰天するところです。 資料中に面白い言葉がありました。 「町内之者共一分ニも難立」 【一分】いちぶん。(『広辞苑』) 一人の分際。一身の面目、または職責。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006/11/14 07:12:25 AM
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