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言葉を“面白狩る”

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2006/11/22
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「俵数納候節ハ掛改、其内ニて軽俵斗セ、欠米有之候時ハ惣俵へ込可申事」(『千代田町史』)
俵を納めるときは量を調べ、そのうち軽い俵を計らせて、欠米があるときは総ての俵に込米をすること。

これは、給主(松村)に年貢米を納入するときの欠米の処理の決りです。

「旧芸藩の米俵は三斗入り十三貫目の制定にして、農人より之を納租するに当り、秤目、桝目に於て些少にても(カン)あらば、其不足を他の米を以て補充し、……納租の俵には三斗の外に(イリ)といへることありて、一俵に就き釆地即ち知行所を領する侍士分の家に納むるは、弐升壱合を加へありしことを慥に記憶あれども、官に納むるものは三升の入なりと覚ゆれども是は再調を要す。又云ふ、納米を検査するの一例を示せば、十俵輸納し来るときは毎俵之を秤り、其最重と最軽との俵より米を藁蓆の上に振ひ出し、農人をして一升ますを以て量らしめ、不足あらば其欠に当る若干を十俵の俵毎に平均に他の米を以て継ぎ足さしむ、尚家々にて方法に多少異別ありたらん」(小鷹狩元凱「広島雑多集」)

年貢米の俵の規定量に対し不足する量を「欠(カン)」と言うと説明しています。すると、欠米は「かんまい」と読むのかも知れませんが、『地方凡例録』は「カケマイ」のルビを付けています。納入米俵の規定に不足する米を意味すると理解できます。

ところが、広辞苑は、

欠米】かんまい。(『広辞苑』)
近世、租税米の運搬中に生ずる腐化・濡米などによる不足米を補う名目で賦課された付加税。


と解説しています。この説明では、「込米」の解説になってしまい、本来の「不足する米」とは違うことになります。

込米】こみまい。(『岩波歴史辞典』)
江戸時代、年貢米の俵詰めに際して定量に上乗せして詰める余分米。合米(ごうまい・あわせまい)とも。定量不足俵があった場合には全俵数に対して追徴米が賦課されたため、その防止のために込米を加えた。3斗7升詰め俵にも4斗2升詰め俵にも、各1升程度の増量が行われている。


欠米】かんまい。(『世界大百科』)
〈かけまい〉ともいう。年貢米のうち、不足したり損耗した米やもみのこと。転じて、江戸時代には年貢米を輸送する途中で湿気や虫害によって生じた減損分を弁済し補充するために、あらかじめ徴収した付加米のことを指した。


この説明が、最も適当なようです。

込米は入米とも言いました。給知(高野蔵人)では、

入米は石ニ付七升ニ相究メ候之間、壱俵計り切三斗弐升壱合ニて相納メ可申事」(宝暦十二年(1762)『広島県史』)
入米は壱石につき七升と決っているので、壱俵(三斗)ではその10分の3、弐升壱合を加えて、三斗弐升壱合を納めなさい。

蔵入地(藩の直轄地)では、

「御年貢米上納之定
壱俵ニ付三斗入 但込米一升宛 前々ハ三斗入一俵ニ付込米弐升宛ニて候得共、享保三年より一升宛ニ被成下」(「広島藩御覚書帖」貼紙)


上記「広島雑多集」の「官(藩)に納むるものは三升の入なりと覚ゆれども……」は壱升の間違です。






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最終更新日  2006/11/22 10:47:02 PM



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