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薔薇の花たち 敗北を認めてしまふ 陽の下にただくれなゐの薔薇の咲(ひら)けば 四季咲きの薔薇の絡まる隣家には何も語らぬ若者がゐる セピア色の暮しのなかの華としてコンソメスープに浮かぶ絹さや 地球儀に捜すこの街はろばろし空のこころで人を思へば サイレンで始る九月 東京は寒天のうへの暮しのやうだ どのやうに歩いてみてもゼロとなる運命なのか 風に向き合ふ 平等にひとつの心臓もちながら空を飛ぶ鳥、地を歩むわれ 鷺草もヲリヅルランも花時はあるかなきかの風にあかるし 明日ひとに逢ふと約しぬ二番目に咲く薔薇のやや小さき蕾 ジョセフィーヌ 蕾の薔薇を編みながら次の庭師の生誕を待つ 『眩』第六十号 2004.9 *題詠マラソン2004 こころに残った歌 088:句 篠田 美也 2004年08月14日 (土) 22時51分 迷はずに蕪村の句集を選びたるその過不足のなき指のかたちを 065:水色 多喜エリ 2004年08月16日 (月) 01時17分 水色の範囲内には収まっているはず君に吐いた嘘、嘘 012:裸足 藤原龍一郎 2004年08月16日 (月) 11時15分 国のためなる官能の絶頂の記憶の底のアベベの裸足 065:水色 落合和男 2004年08月17日 (火) 00時05分 正しさはつね明朗なひとのもの水色の空よいまに見ておれ 095:油 萩原留衣 2004年08月19日 (木) 08時56分 揺れることで丈夫に育つ植物のその逞しさを油絵にする 098:溺 原田 町 2004年08月20日 (金) 11時16分 八重洲ブックセンター万巻の書の海にカナヅチのわれは溺れてしまう 020:遊 コズエ 2004年08月20日 (金) 19時44分 水槽の回遊魚たちいつまでも同じ場所とは知らずに死んだ 083:皮 遊木 2004年08月21日 (土) 11時07分 この星はどこへ行くのか薄皮の上を走ってランナー一人 073:廊 高澤志帆 2004年08月21日 (土) 18時17分 恋人に会ふやう退社後かよひたりまだ売れてない画廊の裸婦に お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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