|
カテゴリ:カテゴリ未分類
「わぁ、いいにおい!」と喜ぶ声が嬉しくて、幼稚園バスの着く時間に合わせてお菓子やパンを焼いていた頃がありました。
実家や妹のところへも出来不出来関係なく押しつけて、ついには飽きられてしみましたが、どうしても思う通りに行かなかったのがバナナケーキ。沖縄で焼きバナナを食べてから、加熱したバナナの美味しさに夢中になり、ある理想のバナナケーキを思い描いていました。食いしん坊なもので。 アンナミラーズの生クリームたっぷりも好きなのですが、違うタイプの素朴なもの。 生地がバナナの甘さと風味をじゃましないで、サクサクほろほろとしてて、もちろんエッセンスは無しで・・ 沢山のレシピを試したり、お店のものを食べまくったりしましたが、なかなかないものです。 そしてとうとう出会えたのが、「忘れん坊のバナナケーキ」 森村桂さんの本にあったお菓子でした。 軽井沢のアリスの丘で本物を食べた時の感動は忘れられません。 小さかった息子がもっともっとと沢山食べて、売り切れにしてしまい、たいそう恥ずかしかったです。 ある時、帰り際にご本人を見かけたことがあります。 主人に「サインもらったら?」と言われましたが、真綿のようなオーラに包まれていて、私は車から降りることが出来ませんでした。今思うと残念ですが、でもそれでよかったとも思います。 先日、亡くなる少し前の映像でしょうか、ケーキを作っていらっしゃる姿を偶然目にし、あ!っと驚きました。 粉をボールに入れるとき、自分の頭よりもずっと高い所から雪のように降らせています。 森村さんのお菓子は、粉振るいや特殊な機械は使いません。でもこうすることによって、自然に粉をふんわりとさせていたのですね。 悲しいことを忘れてしまうようにと名付けられた「忘れん坊のバナナケーキ」 ご冥福を祈りながら、久しぶりに焼いて見ようと思います。 雪のように粉を降らせて、子供達の小さい頃の声を思い出して。 気がつけばもう十月で閉じられた頁のように私がいる/風間 祥「Gの裏庭」 *題詠マラソン2004 こころに残ったうた 067:ビデオ ももか 2004年09月22日 (水) 11時08分 人の世のひと日をビデオいく度も塔を崩せりふたつの塔を 068:傘 渡辺百絵 2004年09月22日 (水) 17時32分 ビニールの傘越しに見るローソンの雨に滲んだ青の淋しさ 019:沸 藤原龍一郎 2004年09月22日 (水) 22時19分 或る夜の底に吉増剛造は詩の沸点を高め尽くして 074:キリン 池 まさよ 2004年09月23日 (木) 23時49分 ほんとうの空はなにいろ東京のキリンは稀になくことがある 070:にせもの 遠山那由 2004年09月24日 (金) 15時21分 上品なほんものよりも欲望でぎらぎら光るにせものが好き 082:軟 ベティ 2004年09月25日 (土) 17時26分 白ばかり干す庭先の嘘っぽさ柔軟剤の広告に似た 086:チョーク 井上佳香 2004年09月27日 (月) 17時13分 細胞の死をまきちらし助教授がチョークだらけの白衣をはらう 071:追 竹田正史 2004年09月27日 (月) 20時49分 どこまでも長き僕らの影のさき 追いつかぬ間に闇に紛れぬ 051:痛 佐藤りえ 2004年09月27日 (月) 22時22分 痛むほどその存在を主張する傷のある実は甘さを増して 074:キリン 川田一路 2004年09月28日 (火) 11時55分 過去をみるカバと未来をみるキリン檻に並んで背を向け合って 023:望 田中槐 2004年09月28日 (火) 12時28分 次に逢う約束のないやさしさよこの望月を眺めて飽かず 038:連 日向寺みづほ 2004年09月28日 (火) 23時57分 連弾という響きだけすきだった 月がたったひとつでよかった 092:家族 飛永京 2004年09月30日 (木) 05時50分 残されて最後の家族として老いる迷いの森に小夜鳴(さよなき)鳥は お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|