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2006年12月19日
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腹の立つ話というのは、ずいぶん時間が経った後でも急に思い出して、また腹が立つので困る。

今回も2、3日前から、しばらく前に読んだ本の一節を思い出して、腹を立てていた。

東京を散歩して見聞きしたことを書き記すというエッセイであり、本自体も文庫になっているものだし、作者はおれでも知っている有名な人である。

浅草を歩いて、通りかかった桜餅の有名な和菓子屋で、桜餅を買うだけにしておけばいいものを、実に余計なことをしているのだ。



「ついでに前から訊きたいと思っていた質問で、『桜もちを葉ごと食べるのは通人か』と問うたら『葉ごと食べたってうまかないでしょう』と教えられぼくは大いに安心した」(本文引用)



読んで、おれは直ちに激怒した。


桜餅の葉を、おれはたいてい餅と一緒に食べるのであるが、腹が立つのはその食べ方を「うまかない」と言われたからではない。


そもそも「桜餅の葉を食べるか残すか」というテーマは、雑談の場面でもわりとよく行き当たるテーマであるのだが、モチロンその場には、食べてしまう人もいれば残す人もいる。

お互い、一歩も譲らず、「どうして食べるのか(あるいは残すのか)」を理由までつけて主張するのは、実にいいヒマつぶしになる。

ちなみに、おれが葉を食べるのは、甘い餅の間に塩味の効いた葉を食べることで、餅の甘味がさらに深くなるように感じられるからであるが、残す派には残すなりの理由があって、自分と違う考え方と触れるのは、なかなか刺激的で面白いものだ。

で、ここが重要なのであるが、この議論は決して結論を求めてはならないのである。


この議論の面白いところは、お互いの考え方を述べ、お互いの意見を聞くという過程の部分なのであり、最終的には自分と考え方の違う他人がいるということを尊重し、認めて終わらなければならない。


なぜかというと、食べ物に「正しい食べ方」など、結局は存在しないからである。

「正しい食べ方」、「間違った食べ方」などは存在しない。

あるのはただ「美味しい食べ方」「まずい食べ方」だけである。


そして美味しいかまずいかを判断するのは、結局自分なのであるから、その「美味しい食べ方」もただ自分にとって「美味しい食べ方」というだけなのであって、所詮は他人に強制できるものではないのだ。


モチロン、例えば「処女の生き血をすするのが美味しい」などと言い出して実行すれば、これはもはや食べ方うんぬんの問題ではなく犯罪として罰せられることになるし、そこまで極端でなくとも、お行儀の面で問題となる食べ方というのはあるだろうが、それはまぁ、問題が別として。

桜餅の葉を食べるか残すかというレベルであれば、法律にもお行儀にも引っかかることはないだろうから、食べるかどうかは全く各個人が責任を持って考え、実行すればいいだけで、早い話が勝手にすればいい。


ところが、ここに


「自分の食べ方こそが正しいので、全員私に従うように」


などという馬鹿者が現れるのだが、それこそが「食通」という人々ではないのか。


やれ、「寿司はこの順番で食べるのが正しい」だの、「焼き鳥をタレで食べるのは田舎者。通なら塩で」だの、「桜餅の葉を食べるかどうかについては・・・」だの、知ったことか。

大きなお世話だと言うのだ。

お前は、このおれがどういう味覚の持ち主で、何をどう食べれば一番美味いと感じるか、すべて解ってでもいるつもりか。

思い上がりも大概にしやがれ。


で、さらに悪質なのは「食通」の人のそうした意見に影響され、自分は食通でもなんでもないくせに食通の人のお先棒を担ぐ奴だ。

「美味しんぼ」か何かを読んで、


「なるほど! 焼き鳥は塩で食べるのが通なんだな!」


と素直に信じ込んだ人々が大量発生したせいで、焼き鳥は塩が本物、タレはゴミ、みたいな風潮になって久しい。


「おれはタレが好きなんだ」


などと言おうもんなら、タップリと憐れみを含んだ視線で見つめてくださる。

おれは本当にタレが好きなだけなんだが。


だいたい食べ物を味わうのは、結局は自分の舌という道具を使って行わざるを得ないわけであって、例えば食通の人の舌がF-1で走るようなレーシングカーだとすれば、おれの舌はオート三輪か、もしかしたらリヤカーくらいのものかもしれないじゃないか。

そうだとすると、同じ道を快適に走ろうってのが、どだい無理な話なのである。

モチロン、だからと言って卑下する必要はなく、リヤカーはリヤカーなりに走りやすい道を探せばいいだけの話なのであって、要するに


「自分にしかできないことは、責任持って自分でやれ!!」


と言いたいだけのことにここまでかかった。



桜餅の葉を、食べた方が美味いか、残した方が美味いか。

そんなに気になるのであれば、自分で桜餅をいくつも買って来て、心行くまで食べ比べてみればいいだけの話なのである。

その結果、自分で食べるか残すか決めることができれば、これはもう、どんな食通が逆を勧めても、自信を持って突っぱねることができるだろう。

逆に言えば、その程度のことができないような態度なら「桜餅の葉を食べるか残すか」なんてテーマに興味を持つ資格はないのだ。


だいたい、もういい歳の作者氏、これまでの人生でだって、桜餅を食べる機会くらいは何度もあったろう。

そのいちいちでちゃんと考えながら食べていれば、葉を食べるかどうかなんて問題は、子供の段階で結論が出ているはずじゃないのか。

これまでの桜餅を漫然と食って来たくせに、ここまで来て急にそんな問題に関心を持つ(と言うか、多分、自分が通人と違うのではないかと不安になっただけかと思うが)からそんなザマを晒す羽目になるのだ。


これが一般人ならまだしも、この作者氏の場合、卑しくも本を書いてみなさまに自分の意見を述べようという人なのである。

それなのにこの程度のことで、自分の選択を「通人」だかなんだかのお考えに丸投げなんて、恥ずかしいとは思わないのか。

作者氏はもともと桜餅の葉を残していたようだが、それがたまたま「通人」の意見と一致しただけで簡単に「安心した」などと言うに至っては、読んでいるこちらが恥ずかしい気分にさせられる。


常にものごとに好奇心を持ち、知識を得ることに貪欲だというのは、物書きとして最低限必要な資質だと思うのだが、作者氏、もはやそんな気持ちが完全に死んでしまってはいないか。




お店の人だって、


「葉ごと食べたってうまかないでしょう」


なんて言ってくれちゃっているが、これだって考え物である。

先程も言ったように、「桜餅の葉を食べるか残すか」は、わりとポピュラーな話題なのだ。

桜餅を売るのが仕事なら、当然そのくらいのことは解っているべきだろうし、そうだとすれば尋ねた人がどちらの側の人間でもいいように答えるのが商売人ってものだろう。



ま、そこはそれほど責めるべき点でもないかもしれないが、またしても作者氏に矛先を戻して。


作者氏、このお店の人の意見を「通人」のそれとして有難がっているが、この人はただ桜餅を売ることのプロなだけ。

もしかしたら桜餅は嫌いかもしれないし、それどころか食べたことなくたって仕事は成立する立場の人なのである。

桜餅の食べ方の通としてこの人を選ぶこと自体、作者氏の何も考えていない態度が見えてくるのだ。



そんなことは絶対ないとは思うが、もしも万一、この作者氏とおれが一緒に桜餅を食うことがあったなら、作者氏はきっとタップリと憐れみを含んだ視線でおれを見つめてくださることだろう。


「あなたの桜餅の食べ方は正しくない。『通人』は・・・」


と得意げに教えてくださることだろう。

そうしたら、言ってやろう。


「『通人』がどうやって桜餅を食べるかには、おれは興味がない。

  おれにとっては、この食べ方が美味い食べ方なのであって、誰にも文句は言わせない。

         ところで、あなたは、どういう理由からその食べ方が正しいと思うのか?」


と言ってやろう。

自信を持って言えるはずだ。

作者氏よりは、おれの方が百万倍も桜餅のことを好きなのだから。




ああー!! 桜餅、食いてえ!!






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最終更新日  2006年12月20日 01時29分13秒
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