吉雄の雑記帳・メモ

高校一年の頃、学習塾で数学を教えていました。
幼稚園の頃に絵描きになることを決めて、ずっと絵描きになるために
生きていたので、バイトもしたい・・・
でも大学に行くのに（美大に行く気だった）バイトで学力が下がるのもイヤ。

勉強する環境にいて、さらにバイト代もらえたらな～って思ったのでした。


その塾は対象は小1年生～中学3年まで。
総合学習塾だったので、テスト前などは全教科教えるのですが
基本的には塾でも点数の低い中学1年生クラスの数学を担当していました。

高校一年生で、中学三年生のクラスをもつときは
中学校が同じで一学年したの生徒もいたりして
「お前！一個しか上じゃないじゃないか！先生とは認めないぞ～！」などと言われ、
「先生と認められても嬉しくないぞ～」と受け答えしていた。

塾でテストを沢山して一ヶ月ごとに、クラス替えがあり
一番「できなかった子」が、私のクラスになるのでした。
出会うとまず、鉛筆を持つ練習から入るぐらい、塾に来ているのに
勉強する気なんか毛頭ないのでした。

「月謝はらってんだから、俺達の好きなようにさせろ！遊ばせろ！」と
言われたことがあったりして、笑っちゃいましたが。

学年が変わったばっかりの、（塾の）クラス替えの後は
決まって「小話」からはじめていました。
数学なのに、哲学の小話をするようにしていました。

同じ現象でも、見る方向によっていろんなものに見える。
そういうのが漠然と分かるお話。
当時11個ぐらい持ちネタがありましたね。
面白いもので、漢詩の話題が多かった。（まぁ、それはおいといて）

で、話を始めて続きが聞きたくなった頃に中断して、
その話に登場する物にしたり、人間関係をもって説明したりして授業を進め
小話の「オチ」は、授業の最後に必ずやる今日のテストで
8割が10点満点を取れば、話すし、取れなかったら話さないｗ

物でつっているようで、今ならもっと別の方法をとったかもしれないけれど
なんとなく、話で引き込んで、数学の楽しさに持ち込みたいと思っていました。

この塾は私も通った塾で、話が面白い先生が多かったんです。
で、ちょっとアレンジして、もっと楽しくしたかった。

授業の途中で、質問はいくらでもして良くて
質問がしたくなるような授業を目指していました。
私の講義がパーフェクトだとは思わないし、
皆それぞれの疑問に対処することが、授業を楽しくさせ
理解させ、また明日も来てくれるのでした。

丸暗記だとなぜか思われがちな公式も、難問のような面積も
どんなに難しそうな問題でも、和差積商で解けてしまう
（中学になると負が入ってくるのでさらに面白い）
数学のパズル的楽しさを、垣間見てくれたらいいなと
小学校低学年レベルの算数に分解したり
ひっくり返したり、問題自体を数学パズルみたいな言い方に
換えてみたりして、私自身もかなり楽しみました。

そしてクラス替えがあると全員・・・Aクラス（一番分かるクラスね）に
行ってしまうのでした。


塾で教えていて気がついたのは教科毎の楽しさと、どこが面白と
思われている学問なのかを伝えると、ぶっちゃけ教科書に載っていることを
追って教えなくても、できるようになる。ということでした。

興味がわけば、吸収は早い。

学校の授業で習っているので（習うので）、
余計に教科書通りにしなくてもいいんですね。

さすがに、地理のときは、歌で教えたり
今身近にある商品などの名前、ニュースの話題、駄洒落まで
かなり苦戦しました。
地理は、ひとつひとつの土地の地質、気候、言語、
どうしてこうなったのかの歴史など
短い期間で教えるには面白いことが多すぎるのです。

習う側の中学生も苦戦するのは必至。忘れるのも早い。
本当はもっと面白いんだぞ・・・と思いつつ
教えるものの広さと薄さを体感したのでした。

さらに、当時高校1年生の私は、中学生に教えているだけで
高校の成績は悪くなったりしなかったのでした。
大学も卒業してないのに（年齢的にもｗ）、
塾で教えるのは、親御さんからするとどう思うのだろうと
たまに思ったけれど、こないだまでやっていた問題、
クリアした問題、教えるにはもってこいだなって思っていたのでした。

こんな問題わかって、何の役に立つの！？って質問にも
すぐに答えられるしね。

他の長い先生には、生徒と仲良くしすぎると怒られたけど
中学の卒業式のすぐ後に、今まで通っていた塾に行って
ここで働いてみたい。というまだ春休みの私に「いいよ」と言ってくれた
塾長には感謝してもしたりない。
学ぶところの多い塾だったなって思います。

色々エピソードがあるので、時折書こうかな。