ガザを思う(その4)
それは、核兵器禁止条約を巡る各国の対応を見ればよくわかる。2017年に国連で行われた禁止条約交渉会議の際、日本は不参加で、賛成票も反対票も投じなかった。米・英・仏・露などの核保有国が、積極的に反対票を投じるわけにもいかず、不参加の態度を取るのはわからないでもない。だが、日本が賛成票を投じないのは極めて恥ずかしいことである。2発も原爆を落とされ、瞬間的に20万の命を失った日本が、なぜ核兵器禁止条約に賛成しないのか。他の国から見たら日本の態度は理解不能だろう。しかも当時外務大臣だった岸田文雄総理の父親は広島の出身であり、一族の中には被爆して死んだ人間もいるのである。「核保有国が参加しない条約には意味が無い」と彼は言うが、それなら、保有国を参加させるべく努力をしているのだろうか。いや、そんな話は全く聞こえてこない。まるで他人事のような、呆れるほどの無責任さである。「他の全てにおいてアメリカに追従するとしても、この条約だけは批准すべき」と思う日本人は、決して私だけではないはずだ。日本はアメリカに逆らえない。死んでも逆らえない。もしも米国が議会でイスラエルに停戦を求める提案を決議できたなら、日本は手のひらを返したように従うだろうが、それも今のところは極めて可能性が低い。前述の通り、アメリカはアメリカで、ユダヤロビーが存在する限りイスラエルの意向を無視しては何事も決められないのである。中・露やインドを除けば「世界はアメリカを中心に回っている」と感じる人間が多いかもしれない。だが、そのアメリカがイスラエルに対して停戦を求めることすらできないのだ。本当に情けないことだが、「世界は正義ではなく、金(かね)を中心に回っている」という表現が正しいと言わざるを得ない。それほど人間は未熟で、悲しい存在なのである。人質の交換が始まっているが、思うようには進まない。イスラエル側の犠牲者は1200人と言われている。歴年の争いを顧みると、ハマスを根絶するか否かにかかわらず、10倍~20倍の犠牲を相手に強いるまでイスラエルは攻撃を止めないのではないかと思えてくる。パレスチナの命の、なんと軽いことか。このような状況の中、子供達に「なんでイスラエルは人殺しを止めないの?」と聞かれたら、我々大人はどう答えればいいのだろうか。