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週刊ダイヤモンドの1月28日号で野口悠紀雄さんが「税率引き上げの前に
インボイスの導入が必要」と主張している。何年も前からインボイス方式については 語られてきたようだが、商学部卒でありながら税制には全くの無知である自分は、 その言葉を初めて聞いた。恥ずかしいのを通り越して、もはや情けないレベルである。 仕方なく、消費税の仕組みを一から調べ直すことになった。 まず、消費税は当然ながら間接税である。最終消費者は現行の5%の場合、1万円の 商品に対して500円の消費税を販売者に支払い、販売者がその500円のうち400円を国に、 100円を地方に納める。 だが、その販売者は、原材料から自分の会社で発掘・採集し、部品を作り上げ、 最終的な商品に仕上げているわけではない。実際に最後に販売する多くの企業は 部品を別の様々な会社から仕入れ、それを組み立てて商品にしている。ということは、 その部品を買い入れる際、いろんな会社に対して消費税を支払っていることになる。 例えば、1万円の商品を作り上げるのに3000円分の部品代が必要であったとすれば、 仕入れた相手が「免税業者」でない限り150円分の消費税をそこで支払っているわけだ。 この場合、最後の販売者は500円-150円=350円の消費税を国や地方に納めればよい ことになっている。つまり、自分の会社の儲け分である7000円に対する消費税額を 納めればよいわけである。これが、消費税が「付加価値税」と呼ばれる所以である。 当塾でも、月謝の中に含まれる消費税相当分を毎年国や地方に納めているが、 市貝教室ができた際、その翌年にはこの消費税が「還付」されたことがあった。 「払い過ぎた」として戻ってきたのである。市貝教室を建てるためにかなりの額の 消費税を建築会社に納めた。塾にとって教室の建築は明らかに「仕入れ費用」に 含まれるので、その際に納めた消費税が月謝売り上げの中の消費税分を上回っていた ということである。 ところが、現在の日本では、この消費税はおおかた内税方式になっている。 したがって、仕入れの際の下請け会社の請求書には「消費税分が○○円」と記入されて いないことも多い。野口氏はこの点を心配している。消費税が10%になっても、 「なんとか大企業に付き合ってもらっている」零細企業は、その分を仕入れ価格に 上乗せできない可能性があるというのだ。言い換えれば、「増税額ぶん高くするんなら、 お前の所からは買わないよ」と大企業に言われてしまうだろうというのである。 また、年間の売上高が1000万円以下である会社が、消費税を納めなくてもよい前述の 「免税業者」なのだが、大企業はこの免税業者からの仕入れに対しても、消費税額分を 支払ったことにしてしまう例もあるらしい。不思議なことに、今の日本では その悪だくみが判明しない仕組みになっているという。 こういう不都合や不正を無くすため、インボイス(仕入れにかかった消費税額を 記録した票)が必要であると野口氏は言う。これにより、どんなに小口の仕入れに 対しても、すべて消費税額が記され、証拠が残るわけだ。したがって不正行為も 行われにくくなる。 ただ、現実にヨーロッパではなどでは起こっているらしいが、悲しいことに インボイス方式が導入されると大企業が小規模な免税業者を相手にする意味が 無くなるので、免税業者は「つまはじき」にされる可能性もあるという。 国税庁などはインボイス方式導入時の不安材料として、この点を強調している。 しかしながら、今後は食料品などの生活必需品の税率を下げるという「複数税率」 となる可能性も全く無くはないだろう。こうなると、お弁当屋さんの場合、 米や野菜は5%の税率で仕入れるが、容器のパックは10%などということになるかも しれない。つまり、大企業にとっては中間の消費税率の計算がどんどん煩雑になる。 全体的に見れば、やはりインボイス方式は必要なのではないかという気がしてくる。 実は、野口氏は「今回の消費税増税にどの程度の効力があるか」や「日本の国債依存が どの程度危険な状態か」についても書いているのだが、長くなるのでそれらについては 明日以降に触れようと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012年01月23日 14時57分44秒
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