阪本ニュース

  私は稲盛和夫の本をよく読みます。出張に出るときも一冊いれていくようにしています。

その中から、自分で切り開く　をどうぞ

 時として、不運と思われるような出来事が結果的には幸運であった、という事があります。

 私が京都の小さな企業に就職した時の状況は、大変酷いものでした。給料は遅配され、ボーナスは出ず、この会社での将来に私は希望を失いかけていました。

 私は会社を止めようと真剣に考えました。しかし、兄は私を叱り付け、新しい就職先が簡単に見つかる筈はなく家族は私の仕送りを必要としている事等を説明し、思い止まらせてくれました。私には選択の余地はありませんでした。

 会社に留まるほかはなく、私は自分でコントロール可能なもの、即ち自分自身を変えることにしたのです。仕事に対する態度を改め、仕事に喜びを見つけ出すように努力することにより、この悲惨な状況から抜け出そうと決心したのです。

 そして、研究に没頭し始めると、素晴らしい成果が出てくるようになったのです。会社には際立って優秀な人材はいませんでしたので、私は目立つようになりました。上司から褒められ、より一層頑張って働くようになりました。そしてその努力が経営陣からも認められるようになったのです。

 もし最初からもっと良い仕事や環境に恵まれていたならば、今の私はなかったでしょう。

 自分の置かれた状況に不平不満の声をあげるばかりで、その可能性に対して心を閉じていると、人生の本当の恵みを見極める事は出来ないのです。

次元の高い目標を持つ

  何を事業の目的にするかという事は、非常に大切な事です。私はその目的は、人間として最も崇高な願望でなければならないと信じています。

 何故次元の高い目的が必要なのでしょうか。事業を運営する為には、情熱を持ちエネルギーのレベルを高く維持しなくてはなりません。しかし金銭欲や名誉欲は、罪悪感を伴い、大変なエネルギーを消費します。そのような罪悪感は、今しなければならない仕事に対してのエネルギーを下げてしまうのです。

 人間というのは弱い生き物なので、自分の意欲を高めてくれるような動機が必要なのです。自分どけではなく、他の人達にも最上だと思ってもらえるよう目的を持たなくてはなりません。誰にでも誇りを持って話せるような素晴らしい目的を持っていれば、恐れや罪悪感を抱くことなく、エネルギーのレベルをあげる事が出来るのです。これが、事業の目的は、最高の道徳水準に従うべきだ、という理由のひとつです。

 事業の目的は、まさに経営者の哲学の反映です。殆どの場合、必死に努力をすれば一時的に成功する事は出来ますが、もし経営者の思想が歪んでいれば、結局は事業を失敗させる事になるのです。

 人生についての見方.考え方を鈍化し、高める事が出来てはじめて、同じ過ちを繰り返したり、手にした成功を失ったりする事がなくなるのです。