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阪本ニュース

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2007.06.17
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カテゴリ:漢方

柴胡

陰陽會より

一、神農本草経解説

1、味苦平
 苦味は心に入って、陰気を補い熱を冷まします。苦温薬(麻黄など)は体表に働きます。苦寒薬(大黄など)は内(臓腑)に働きます。苦平は表と内の中間に行きます。

2、心腹、腸胃中の結気
  心腹の心は、心臓のことではなくて、訓読みすればムネ、胸部のことです。心腹、腸胃中の結気とは、胸部・腹部(胃腸)に入った邪気と、正気が争いもつれて、内部に結ぼれて、病気を起こすもととなったものです。
 

3、飲食
 飲食物がこなれないで、胃腸に滞って病気の原因となったものです。では飲食が滞った原因を考えると、もちろん飲み過ぎ・食べ過ぎが第一の原因ですが、いつもと同じ食事をしていても、上のように胃腸に「気滞」があると胃腸の動きが悪くなって、飲食が滞るようになります。飲食が滞るのと、気が滞るのとは、コインの裏表のような関係にあります。

4、積聚(シャクジュウ)
  積聚はこれまでも何度か出てきましたが、腹中のしこりです。積が陰性で、五臓にできて、按じて動かないもの。聚は陽性で六腑にでき、按じて移動するもの。もちろん予後は積が悪いものです。
  積聚の生因は、2のような外からの寒熱、また七情(精神的ストレス)、過 労、暴飲暴食などから、腹中の気の巡りが悪くなると、さらに寒熱やオ血や水・飲食がそこに停滞して、長い年月の間に大きなしこりを作ります。
 柴胡は腹中の陰気を補い、熱を冷まし、気の停滞を動かして、血や飲食の塊 をさばくように働きます。ただし大黄のように、気血・飲食の塊を、直接下し去 るような働きはありません。

5、寒熱の邪気を主(つかさ)どる
 寒熱は悪寒発熱のことで、体表に陽気の停滞ができて、陽気が通わないとき は悪寒がし、陽気が集まれば発熱します。今までの2~4は内(臓腑)の病気でしたが、ここだけは体表に病位があります。
  また寒熱は簡単とはいえ唯一、具体的な症状をあげています。それ以外の効能 は、抽象的な病理で症状ではありません。この悪寒発熱も、柴胡に特徴的なものがあるので、後でまた取りあげます。

6、陳(ふる)きを推して新しきを致す
 今風の言い方だと、新陳代謝を促進する、ということでしょうか。表と裏の間で滞った気の通りを良くすることで、動きの悪くなった血や水も排泄され、そこに新鮮な血・津液が流れてきます。
  この「推陳致新」という言葉は、神農本草経では大黄など他の生薬でも、時々見られます。

7、久服すれば身を軽くし、目を明らかにし、精を益す。
 とくに説明いらないと思うので省略します。

二、『新古方薬嚢』の柴胡の効能------<半表半裏とは、どこか?>

 柴胡は漢方の臨床では、無くてはならない重要な生薬ですが、上の神農本草経の解説では、具体的な症状が出てきませんし、どうも満足がいきません。そこで昭和の古方の大家、荒木 性次先生の『新古方薬嚢』を見てみます。た だし、この効能は、『傷寒論』の柴胡の使い方にポイントをおいているので、後世方の 、使い方はまた別に論じます。

「ボクいわく半表半裏の熱を去る。故に胸脇苦満、胸中痛、心煩、往来寒熱、 頚項強、脇下痞硬、心下満などを治す。」
*ボクとは荒木先生の号、朴庵のことです。)

  <半表半裏とは、どこか?> 

マル1は、表です。経脈でいえば太陽経と陽明経。外感病がここだけに在るときは、悪寒・発熱・頭痛・体痛・汗の異常などの症状が現れ、他症状はありません。この状態を、表証といいます。表証は発汗して治 します。

マル3は、裏。太陰・少陰・厥院の三陰経にあたり、マル4は、内で臓腑の場所です。三陰経は臓腑と一体のものなので、一緒に扱います。ここに外感病が入ると、裏証といって臓腑の病症が現れます。
 上焦なら 咳・喘息。動悸・息切れ・心痛など。中焦なら嘔吐・下痢・便秘・腹痛などの消化器症状。下焦なら泌尿器の症状と婦人科の症状です。
  内の熱実証は下して治します。傷寒論にはあまたの症状が出てきますが、整理すればつまる所、表証・裏証に分けられ、それで治療法も分かれてきます。

マル2の半表半裏は、表と裏の間。経脈でいえば少陽経になります。この経 脈は胆の腑とじかに接しています。もし少陽経に熱が入ると、すぐに胆の熱になり、更には厥陰経や、肝の臓にも移ります。またそこから、他の胃腸や肺・子宮などにも熱が及びます。 少陽経そのものの病症は往来寒熱ですが、同時に胸脇苦満や胸中痛・脇下痞硬など内の臓腑の症状が起ります。表の太陽・陽明経に熱が入っても 、その対応する膀胱や胃の腑に熱が入ったりすることはありません。ここ が少陽経=半表半裏の病症の特徴です。
  往来寒熱という症状の病理は、表よりすこし深い所に陽気が停滞するので、体表ではしばらく悪寒が続いて、陽気が表から発散するまで溜ってくると、発熱に代り、熱が抜けると寒に戻り、寒と熱が交互にきます。
  荒木先生は挙げていませんが、「口苦」というのも半表半裏の代表的な症です。これは胆嚢の熱盛の症です。問診で、口が苦い・口の中が粘る・味がおかしい・などを確かめることが大事です。
  柴胡はこの半表半裏の熱を冷まして、少陽経・胆嚢・厥陰経・肝臓の熱実の症状を治します。

三、柴胡のはいった処方

    『傷寒・金匱』の中から柴胡のはいった処方を挙げて、証を分類します。

A

脾虚肝実証

小柴胡湯・柴胡桂枝湯・大柴胡湯・柴胡加芒硝湯・四逆散・四時加減柴胡飲子

B

腎虚肝実証

柴胡桂枝乾姜湯・柴胡加龍骨牡蠣湯

C

肝虚陰虚証

別甲煎丸・薯蕷丸

 

  • この中で重要なのは、A・B 組の四逆散・柴胡飲子以外の6処方で、生薬の構成のなかに柴胡+黄ゴンの組合わせが共通です。この組合わせが半表半裏 の実熱を強力に冷ます働きをします。また実際の漢方の臨床でも、この6処方はもっとも使用頻度の高いものに入るでしょう。
  • A組の脾虚肝実証の中でも、大柴胡湯・柴胡加芒硝湯は、胃の実熱もありま す。それ以外は胃の虚熱はあります。
  • B組の柴胡桂枝乾姜湯は、同じ腎虚肝実証でも胃は陽虚で冷えています。逆に柴胡加龍骨牡蠣湯は胃熱になります。
  • 同じ肝実証でも四逆散は、すこし毛色が違っていて、半表半裏の熱実はさほど強く去らない代わりに、柴胡+枳実+芍薬の組合わせで、肝・胆・少陽経の気が鬱滞した、「気鬱」「気滞」をさばきます。後世方・中医学的な言い方だと「疎肝解鬱」の作用といいます。後世には、この組合わせを拡張していって、柴胡疎肝湯など多くの処方に発展していきました。
  • C は肝虚陰虚証となっていますが、どちらも構成生薬が多くて、本当はよく分りません。ただ後世には、柴胡+当帰の組合わせの、当帰(四物湯)で肝虚=血虚を補い、生じた肝胆経の虚熱を柴胡で冷ます、という処方がたくさん作られました。代表は加味逍遥散・抑肝散です。『傷寒・金匱』の処方では、ここらの肝虚陰虚証が手薄になります。
  • 肝の血虚から虚熱が生じ、それが長引くと血を固まらせて、オ血を作ります。今の多くの慢性病の患者さんは、気鬱+血虚+オ血が合わさった状態になっています。それに合わせて、四逆散+四物湯+オ血剤という組合わせの処方も、後世にはたくさん作られました。代表は<医林改錯>の血府逐オ湯、<一貫堂>の柴胡疎肝湯などです。

1)身体の側面
 
  身体の側面=太陽と陽明に挟まれた「間」が少陽です。胴体なら脇腹。首なら側頚部。頭なら側頭部。そこに付いている「耳」も少陽の場所です。
  また顔全体は陽明の場所ですが、目尻からほお骨、耳の前あたりは少陽の部 です。中年女性のその辺りのシミを、少し前まで「肝斑」といいましたが、実はこれは古い漢方的な病名だったのです。
  足なら外側面が少陽胆経の巡る所。それに対応する厥陰肝経が足の内側を通 ります。以上の場所の関節痛・筋肉痛はもとより、皮膚病などを含め、熱症なら柴胡が使えないか、検討してみましょう。 

2)少陽胆経・厥陰肝経のルート
 鍼灸師にとっては、経脈がどこを通っているかというのは、そこが診断と治療に直接結びつくから、重要なことですが、湯液治療にとっても病気が起っている場所が、何経に属すのか、というのは大事な情報になります。胆経と肝経の流れを、大まかに示します。臨床の時に、そのルート上の病気に、柴胡が使えないか考えてみます。
 

  1. 肩甲骨内縁)肝実証・肝虚陰虚証ともここに強い凝りを作ります。ひどい肩凝 りはここに大本があるようです。
  2. 仙骨)腰骨の外端から後ろに仙骨・尾てい骨まで、胆経の枝が出て骨盤内に入 っています。肝虚証・肝実証の時に、このルートに痛みが出ることが多いで す。
  3. 肛門・外陰部)ここは胆経・肝経が司る器官です。痔疾全般、外性器・尿道 ・前立腺などの痛み・痒み・出血などの熱症状に、関係します 。
  4. 膝の内側)膝痛も長引くと、血虚やオ血が絡んで、肝経上に痛みが移ってきます。
  1. 子宮・卵巣)肝経の骨盤内に入る枝が絡みます。女性の生理時の発熱を、傷寒論では「熱入血室」といって柴胡剤の適用にしています。この血室 とは子宮のことでしょう。生理に絡んだ、発熱・痛み・月経異常・不 眠・咳など、熱症は必ず柴胡の証がないか検討してみましょう。
  2. 目)肝経は目に血を送って、視覚を司ります。目の痛み・痒み・目やに・発赤 など熱症は柴胡が関わります。
  3. 頭頂)陰経のうちで唯一、肝経が首より上に来て、頭のてっぺんに出ています 。 だから肝虚陰虚・肝実証などのときの頭痛・頭冒・目眩などに柴胡が使 えます。 柴胡の頭痛は側頭部、あるいは頭の芯が痛みます。           





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最終更新日  2007.06.17 08:21:10
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