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カテゴリ:鏡の法則
鏡の法則 1 野口嘉則 著 (上から読んでいけるように並べ替えてみました)
息子は、「いじめられてるわけじゃない」と言い張っているが、息子を見ていると、寂しそうなので胸が痛むのだ。息子は野球が好きなのだが、友達から野球に誘ってもらえないので、学校 2年くらい前には、息子が友達といっしょに野球をしていた時期もある。 チームメイト達は、容赦なく大きな声で息子を責めた。 A子は思った。 その後まもなく、息子は野球に誘われなくなった。「お前はチームの足を引っぱるから誘わん」と言われたらしい。息子にとって、野球に誘ってもらえないことが、一番つらいようだ。A子へのやつ当たりが目立って増えたことからも、それがわかる。しかし息子は、辛さや寂しさを決して話してはくれなかった。A子にとって一番辛いのは、息子が心を開いてくれないことだった。 A子が、「友達との上手な関わり方」を教えようと試みても、「うるさいな!ほっといてよ。」と言ってくる。「転校しようか?」と持ちかけた時は、「そんなことをしたら、一生うらむよ!」と言い返してきた。 息子の状況に対して、自分が何もしてやれないことが情けなく、A子は無力感に陥っていた そしてある日、学校から帰宅して公園に行ったばかりの息子が、不機嫌な顔で帰ってきた。 「A子さん、○○○君(A子の息子の名前)から、何か聞いてる?」 A子は愕然とした。 翌日、A子はある人に電話をかけることを決意した。その人とは、夫の先輩に当たるB氏だ。 B氏は、夫が高校時代に通っていた剣道の道場の先輩である。夫も20年くらい会っていなかったらしいが、夫が最近街を歩いていたら、たまたまばったりと出会ったということだった。 久々の再会に盛り上がって喫茶店に入り、2時間も話したらしい。B氏は、今は経営コンサルタントを仕事にしているそうだ。夫の話では、B氏は心理学にも詳しく、企業や個人の問題解決を得意としているとのこと。そこで夫が息子のことを少し話したら、「力になれると思うよ。」と言って名刺を渡してくれたそうだ。 夫は、その日、「お前の方から直接電話してみろよ。話を通しておいてやったから。」と、その名刺を渡してきた。A子「どうして私が、そんな知らない人にまで相談しなきゃいけないの。 夫 「俺が心配なのは、お前のほうだ。○○○のことで、ずっと悩み続けてるじゃないか。だから、そのことをBさんに相談したんだ。」 A子「私に問題があるっていうの?私が悩むのは当然よ!親なんだから。あなたは一日中トラックに乗ってりゃいいんだから気楽よね。実際に○○○を育ててるのは私なんだからね。あなたはいっしょに悩んでもくれない。そのBさんに相談なんてしないわ。どうせその人も子育てのことは何も分からないに決まってるわ。」 そう言ってA子は、その名刺をテーブルの上に投げた。しかし、昨日の出来事(近所の奥さんから聞いた話)があって、A子はすっかり落ち込み、わらをもすがるような気持ちになっていた。 「こんな辛い思いをするのはイヤだ。誰でもいいから、助けてほしい。」 息子が学校に行って1時間くらい経ったころ、意を決してB氏に電話をか 「もしかして△△君の奥さんですか?」「はい、そうなんです。」 A子は、自分の息子がいじめられたり、仲間はずれにされていることを簡単に話した。 その一言を聞いて、A子の目から涙があふれてきた。A子が泣き始めたのに気づいたB氏は、A子が落ち着くのを待ってから続けた。「奥さん、もしあなたが、本気でこのことを解決なさりたいなら、それはおそらく、難しいことじゃありませんよ。」 A子は、「難しいことじゃない」という言葉が信じられなかった。自分が何年も悩んで解決できないことだったからだ。だけど、B氏の言葉が本当であってほしいと願う気持ちもあった。 B氏「では、それを探りましょう。まず、はっきりしていることは、あなたが、誰か身近な人を責めているということです。」 A子「えっ?どういうことですか?」B氏「話が飛躍しすぎてますよね。まず理論的なことをじっくり説明してから話せばいいんでしょうが、それをすると何時間もかかるし、私もそこまでは時間がない。なので、結論から話します。理論的には根拠のある話なんで、後で、参考になる心理学の本など教えます。とりあえず結論から言いすと、あなたが、大事なお子さんを人から責められて悩んでいるということは、あなたが、誰か感謝すべき人に感謝せずに、その人を責めて生きているからなんです。」 A子「子どもがいじめられるということと、私の個人的なことが、なぜ関係があるんですか?何か宗教じみた話に聞こえます。」 B氏「そう思われるのも、無理もないです。われわれは学校教育で、目に見えるものを対象にした物質科学ばかりを教えられて育ちましたからね。今、私が話していることは、心理学ではずいぶん前に発見された法則なんです。昔から宗教で言われてきたことと同じようなものだと思ってもらったらわかりやすいと思います。私自身は宗教には入っていませんけどね。」 A子「その心理学の話を教えてください。」 B氏「現実に起きる出来事は、一つの『結果』です。『結果』には必ず『原因』があるのです。つまり、あなたの人生の現実は、あなたの心を映し出した鏡だと思ってもらうといいと思います。例えば、鏡を見ることで、『あっ、髪型がくずれている!』とか『あれ?今日は私、顔色が悪いな』って気づくことがありますよね。鏡がないと、自分の姿に気づくことができないですよね。人生というものが鏡だと考えてみて下さい。人生という鏡のおかげで、私たちは自分の姿に気づき、自分を変えるきっかけを得ることができるのです。人生は、どこまでも自分を成長させていけるようにできているのです。」 A子「私の悩みは、私の何が映し出されているのですか?」 B氏「あなたに起きている結果は、『自分の大切なお子さんが、人から責められて困っている』ということです。考えられる原因は、あなたが『大切にすべき人を、責めてしまっている』ということです。感謝すべき人、それも身近な人を、あなた自身が責めているのではないですか?一番身近な人といえば、ご主人に対してはどうですか?」 A子「主人には感謝しています。トラックの運転手として働いてくれているおかげで、家族が食べていけてるのですから。」B氏「それは何よりです。では、ご主人を大切にしておられますか?尊敬しておられますか?」 A子は、「尊敬」という言葉を聞いたときに、ギクッとした。A子は、日ごろから夫のことを、どこか軽蔑していたからだ。A子から見て、楽観的な性格の夫は、「思慮の浅い人」に見えた。 B氏「『人間の価値は教養や知識や思慮深さで決まる』と思っておられますか?」 A子「いえ、決してそんなふうには思いません。人それぞれ強みや持ち味があると思います」 B氏「では、なぜご主人に対して、『教養がない』ことを理由に軽蔑してしまうんでしょうね。」 A子「うーーーん・・・。私の中に矛盾があります。」 B氏「ご主人との関係は、どうなんですか?」 A子「主人の言動には、よく腹が立ちます。喧嘩になることもあります。」 B氏「息子さんの件で、ご主人とはどうですか?」 A子「息子がいじめられていることは、いつもグチっぽく主人に言っています。ただ、主人の意見やアドバイスは受け入れられないので、主人にちゃんと相談したことはありません。おそらく、私にとって主人は、一番受け入れられないタイプなんだと思います。」 B氏「なるほど。もう一つ根本的な原因がありそうですね。ご主人を受け入れるよりも前に、そっちを解決する必要があります。」 A子「根本的な原因ですか?」 B氏「はい、あなたがご主人を受け入れることができない根本的な原因を探る必要があります。ちょっと伺いますが、ご自分のお父様に感謝しておられますか?」 A子「えっ?父ですか?そりゃもちろん感謝してますが・・・。」 B氏「お父様に対して『許せない』という思いを、心のどこかに持っておられませんか?」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.05.29 03:17:25
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