|
カテゴリ:雑考あれこれ
この間、「ハーバードで語られる世界戦略」を読み終えた。
2000年に奥さんの大門小百合さんがハーバードにビジティングスカラーでいくというので、旦那さんの田中宇さんがくっついていって、ハーバードの感想を共同で書いた本。 夫の方が、批判的で、妻の方がより肯定的。私はどちらかというと、批判的な見方をしている方に共感する。 でも、大学院に留学したときの新鮮な驚きが思い出されました。 日本みたいに、教授が棒読みして学生はいるんだかいないんだか、知ったこっちゃない、というような授業はない。できるだけ少人数にして、学生と教授との間の議論にしようと試みる。 夫の方がいう、「知のディズニーランド」という感じは、分かるような気がする。 著者たちは、別にどの授業をとっても自由だけど、学生となると、卒業のために必要な必須科目とかあって、もう少し、自由度は下がるけど。 いわば、もう少し、需給関係が生まれるというか、マーケットの原理が働くというべきか。 あまりに不人気な授業だと、打ち切られちゃう可能性もあるし、学生におもねるというわけではないが、高い授業料を出した甲斐があると思ってもらわないと困るから、学生が寝ちゃわないように努力しているのは、事実です。 (もちろん、中には媚びる人もいるけど。。。普段教授が来なくて、アシスタントにやらせておいて、最後の授業に教授の自宅でやるという形にして、ご飯だして、ちょっぴり教授のハイソな、プライベートの部分を垣間見せてもらって、すごいものを見せてもらった錯覚を起こさせて、学生の評価を全部Aにしちゃおうとする、不心得な教授もいるときいたような。。。) また、象牙の塔にずっといる人ばかりというわけではなくて、ずっと官僚をやっていて、そこそこ上の地位についたから、定年退職して学校で教えたいという人もいるし、そのもっと上の、政権に入って出てきました、という人たちも多いから、そういう人たちは、より実務的な話をする。もちろん、根っからアカデミックな人もいるし。 名前で授業をとりたくなるような人もいれば、タイトルが面白そうで取りたくなる人もいる。 授業のテーマを学術的によく知っている人もいるし、実体験を話してくれる人もいるし、学生にプレゼンばっかりさせてあまり準備してないような(モデレーターに徹する)教授もいるし、いろんな意味で工夫は見られます。 ちなみに、アメリカの大学だと、特に国際関係なんかだと、ダイバーシティ、学生の多様性を謳い文句にします。日本だとないけど。色んなバックグラウンドの学生を集められることを誇りにする。 田中さんがここを突っ込まなかったのは、ちょっと不思議だったけど、学校の教授の教えること、知っていることには限界があるから、学生と議論を交えて、互いに切磋琢磨していく、という趣旨か、と最初思っていたが、多分違う。 要は、学校だと、何ちゃらという偉い学者がこんな学説を唱えたとか、あんな学説を書いたとかしか結局教えるものはない。けど、そんな知識は死んでいるわけで、それに対してどう思うか、がはるかに意味がある。 なので、学生たちには、こういう学説、或いは初歩的な知識を本や論文を事前に読ませておいて、感想を言い合うのが授業となる。或いは、学生同士がプレゼンで教えあう形をとる。 で、これの裏を返せば、どう考えたらいいか?というのは一切教えない、ということでもある。そんなのは、自分が考えな、と突き放す。 だから、職業に就くと、各職業で教えられるような考え方、思考の癖というのは、ない。なぜないか?はまだ疑問なんだけど、そんな枠ははずして、好きなように考えなさい、ということなのか。。。 その代わり、学生や教授たちから質問攻めにあって、自分の考えを鍛えてもらう、という志向を取る。 まあ、そうすると、学者同士が互いの話を聞く、謙虚さを学ばせると書くと聞こえはいいが、後々学者になったら、ひとりでしゃべるんじゃなくて、数人呼んでしゃべろうとか、論文をちょっと書いてもらおうとか、自然と思うようになってもらうことにより、学者たちの雇用、副収入を確保する?システムがあるから、そのシステムに学生の段階から組み込もう、という下心もみえなくもない。 さて、学者の世間との係わり合いの深さに田中さんはちょっと疑問を呈しているが、うーん、それはどういう学校を選ぶかの問題じゃなかろうか。 学校の各学部によってカラーは違う。同じ大学院といっても、博士課程を想定している学部や、プロフェッショナルスクールといって、修士だけとって、いい職場に就職する人用の学校もある。 リベラルな学校とか、コンサバな学校とか、あるから、どれがいいかは、一概にはいえないので、学校を選ぶときにその辺は調べて考えてから、来い、ということのような気がする。 ちなみに、私の行った大学院は、リベラルと言われる。けど、安保をやったせいで、そこだけ、あれ、逆じゃん?とかいう、オチもある。 けど、教授なんかは、(ブッシュ政権時代の話だが)ホワイトハウスのスタッフを招いてしゃべってもらう前に、学生たちに、本気でブッシュ政権の政策(イラク戦争)を支持していても、驚くなよ、と警告してました。 実際、ブッシュのやり方が気に入らないのに、あまりにアフガンを攻め、イラクを攻めて、無辜の民をたくさん殺しているのに、滔々と自画自賛していたので、思わず、何で911が起きたと思ってんの?、と突っ込んで黙らせちゃったけど。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
July 18, 2010 02:46:55 PM
コメント(0) | コメントを書く
[雑考あれこれ] カテゴリの最新記事
|