私のたからもの

目を覆いたくなるような災害が起きて
１０日が過ぎました。
幸い私の住む街は被災地から遠く、
当日もほとんど揺れませんでした。

私の弟家族が被災しました。
弟の会社はむちゃくちゃに壊れてしまい
弟と直接電話がつながるよりも先に
ＴＶのニュースで弟の会社が潰れて死亡した人がいるという情報が耳に入りました。
でも、私の弟は机の下で机の脚にしがみついて
落ちてくる天井や倒れてくる壁、割れるガラスから身を守り
非常口から脱出したそうです。
そして自宅は無事、家族も全員無事でした。
それが分かるまでの丸一日は
本当に長く、胸が苦しく
遠くにいる私には何もできずつらい時間でした。

ニュース映像が世界に流れ
我が家にもたくさんのメッセージが届きました。
韓国のユンとドンは直接電話をくれました。
なかなかつながらず何十回もかけたのだそうです。
そしてドンは言いました。
「今すぐ飛行機に乗って韓国へ来て」と。

１月に結婚式を挙げたｼﾞｭﾋｮﾝもすぐにメールをくれました。
無事だと知らせてからも
「やっぱり心配だからもう一度メールください」と
確認のメールを何度もくれました。
ｼﾞｭﾋｮﾝの姉のジュヨンも
「今は部屋がたくさんあいてるからうちでしばらく過ごしてください」と
言ってくれました。

タイのパットちゃんは
「私たちに何かできる事は無い？」と言ってくれたし
モーリシャスのニルバーン、
マダガスカルの（カナダ在住）セルジュもすぐにメールをくれました。

世界中の人たちが心配をしてくれて
力になろうとしてくれているのです。
本当に涙が出ました。


先日　久しぶりに暖かい一日だったので
スンイ君とホリム君を連れていつものようにお散歩をしていました。
するとスンイ君は黒い石を集め始めました。
スンイ君は拾った石や木をしょっちゅう家に持って帰るので
今日もまたやってるわ・・・と、しばらく見ていました。
それにしてもたくさん集めています。
何をするつもりなのだろうと思って聞くと
「これをゆんゆんじのおうちに持って行こうね」と言うのです。
“ゆんゆんじ”とは被災した弟の子、スンイ君と同じ歳のいとこです。
「石を持っていくの？どうして？」
と聞くとスンイ君が言いました。
「ゆんゆんじのおうちの前の道が地震で壊れちゃったでしょう。
　この石とロードローラーがあったら直るでしょう。
　だから持って行こうね」と。

３歳なりにいとこの状況を理解し
自分が出来る事を考えたのだと思います。

弟の家では食べ物が減り、買い物に行きたくてもガソリンも無く
スーパーへ行っても物は無い・・・・
そんな状況です。
でも弟は言いました。
「こんなの、途上国と言われる国では普通のことじゃないのかな。
　ここは今は電気も水も復旧したから　充分やっていけるよ。
　水も何も無い、もっと悲惨な状況の被災地の方が心配だ」と。

遠い外国の友達は、日本の家族を想い、
３歳の子は　被災したいとこを想い、
被災した家族は　自分たちと同じように被災したもっと辛い境遇の人を想い・・・・

こんなふうに地球全体が人を思いやって
温かい気持ちでこれからも生きていけたら・・・って思います。
それが、
今　私がスンイ君とホリム君に伝えたい事です。