大人のノジュカーズ、保津峡へ
ああ、帰ってきた。ほんとに久しぶりの保津峡。何年ぶりになるか…以前は夏毎に訪れたものだ。 遡ること17年。1992年の9月1日。この保津峡で3人の馬鹿野郎によって「阿倍野ノジュカーズ」が結成された。隊長、H。軍師、たけちゃん。将軍、私チョリオ。ノジュカーズに関しては、あまりに思い出が多すぎるので、詳しいことはまた改めて、少しずつ書いていきたいと思っている。簡単に言えばキャンプの同好会みたいなもので、椎名誠の「あやしい探検隊」を読んだことのある人は分かると思うが、あの東ケト会に近い。若気の至りに任せてそこらでテントを張り、焚き火をし、騒ぐといった蛮行を繰り返す馬鹿の集まりである。骨折者を出して救急車を呼んだこともあるし、警察のお世話になったこともある。河原でテントを張って、増水で流されそうになったこともある。若気の至りとはいえ、結構すごい集団だった。 3人で始まったノジュカーズは当初、私の高校つながりがメンバーのほとんどであったが、大学つながりの人も加わり、一時は20人を越える大所帯になった。二軍であるブルーボトムズとかいうのも、そういえばあった。しかし、時と共に人数が減ってゆき、今活動しているのは、多分、私一人。わはは。ひょっとして隊長Hが「職業野宿人」いわゆるプロ(路上生活者ね)になっている可能性が大きいが、音信不通のため分からない。いつの間にか「謎の人物」混じってんねんけど…保津峡駅前の出張売店。まだ健在だった。 この2月に大学つながりのメンバーと久しぶりに会った。居酒屋で思い出話に花を咲かせ、そして、久しぶりにちょっと活動してみよう、ということに。野宿は無理としても、1日だけ、焚き火やハイキングを楽しもう、ということになった。子連れで参戦のまきねえ。母は強し。すっかり逞しいおかあさんに。 もともと、大学のメンバーは少しおとなしい。そこで、「聖地・保津峡」にて火をおこして焼き肉を食い、少しハイキングをする、という計画で落ち着いた。まあ、もうええオッサン・オバハンやねんから「大人のノジュカーズ」ということで。爆笑のなかさん。 4月29日、我々は久しぶりに保津峡駅に降り立った。今回集まったメンバーは、軍師たけちゃん、まきねえ、なかさん、たかちゃん、私の5人。いや懐かしい。川のそばまで下りていって早速薪を集め、かまどを作り、火をおこす。私以外、焚き火は久しぶりだろう。やっぱりコレですよ。コレ。久しぶりにしては上出来のかまど。 まだ半分凍っている肉を溶かしながら焼いていく。肉の量がハンパではない。買い出ししたのは私だ。やっぱり多かったな。空腹時の買い出しはあれほど危険だと解っていても、何度も失敗を繰り返して解っているはずなのに、でもやっぱり多すぎた。この花、ぎょうさん咲いてた。 結局余った肉は私が持って帰り、翌日以降の我が家の食卓へ。腹が満たされた後は各々好き勝手に過ごす。釣りをする者、引き続き焚き火を楽しむ者、ぐうたらする者…焚き火を楽しむ者。あやしい… お腹がこなれてきて、ハイキング行きましょう、という声が上がる。行くか。目指すは金鈴峡、前述のテントが流されそうになった現場である。突如現れたドラマーとのあやしいコンビ。銀河鉄道999の車掌さんにちょっと似ている?忌まわしい思い出の地、金鈴峡へ。 「テントぷかぷか事件」は1993年8月14日に起こった。メンバーは私とたけちゃん、なかさん、大地。保津峡には多くの人が押しかけ、テントを張っており、我々は奥へ奥へと進んでようやく狭いながらもテントを張るスペースを見つけた。雨が降っており、川のそばだったので危険極まりないのだが、当時はそんなこと分からない。夜中、大地が妙な音で目を覚まし、テントに手を当てるとタプタプと弾力のある手応えが返ってきた。まず隣のたけちゃんを起こし、それからは大騒ぎだった。テントの入り口を開けると、みんなの靴が浮いていた。まず少し高くなっている所へと全員避難し、そこから3度、私は川へと戻った。備品の回収のためである。最初の水位が足首くらい。次が膝くらい。3度目は腰の辺りまでになっていた。それ以上は川には入れなかった。この3度の往復はかなり短い時間で行ったと思うが、その短い時間であっという間に水かさが増していった。もし、あと10分、気付くのが遅れていたら…靴が片方流されてしまった、なかさんの証言。「チョリオさん、写真撮るのん忘れてた、って悔やんでましたよね」…そうやったかな?あの日のことで話が盛り上がる。笑い話で終わってよかった。 確かな場所はわからなかった。でも、この辺ちゃう?という場所で腰を下ろし、くつろぐ。あの時の暴れようが想像できない程、川は静かに流れている。軍師、たけちゃん。武力馬鹿の蛮勇揃いの中でひとり冷静。久しぶりに初期の「制服」を着てみた。 薄暗くなってきた頃、保津峡駅へ戻る。そこから京都へ。夕食の前に銭湯へと向かう。10分程歩いて着いたのは九重湯。昭和の香りがぷんぷんする。 いつも山の帰りに行くような温泉とはまた違った趣き。小さな銭湯だが、レトロな雰囲気をたっぷり味わえた。シーホープ。絶滅したと思っていたが、まだあったとは…風呂上がりはやはりコーヒー牛乳。 風呂から出て、駆けつけてきた大地と合流。近くの居酒屋になだれこみ、夕食兼打ち上げ。みんな、お疲れ。また次回。(あるのか?)