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珍獣は闊歩する!

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2018年11月02日
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筑摩書房のオムニバス短編集です。すべて悪党が主人公です。

・我とわが身を罰する者 ボードレール
・クリックとクロック カルヴィーノ
・ブッチの子守唄 デイモン・ラニアン
・マーカイム スティーブンソン
・石川五右衛門の生立 上司小剣(かみつかさしょうけん)
・破壊者 グレアム・グリーン
・絢爛(けんらん)の椅子 深沢七郎
・ジョコンダの微笑 A・ハックスリー
・ダーダーと呼ばれた女 マストゥール
・セルヴィン事件 チャペック
・殉教者製造人 マントー
・駆込み訴え 太宰治
・麒麟(きりん) 谷崎潤一郎
・死の家(「死の家の記録」第一章) ドストエフスキー

段々重い話になっていくように感じました。最後の太宰治、谷崎潤一郎、ドストエフスキーの話が重すぎて。前半の7話くらいはもう余興というか肩慣らしみたいなもんに感じました。薄すぎて忘れてしまうくらい。覚えている範囲で感想を書いていきます。
・ブッチの子守唄…結婚して子供ができて足を洗った大泥棒ブッチがいて、食い詰めた子悪党が3人、銀行強盗を持ち掛ける。ブッチは断ったが、赤ちゃんも連れて行くというブッチの要望を叶える形でなんとか計画に移し、深夜に実行した。金庫破壊用の火薬が多すぎて警官が集まってくる中、必死で逃げたが、若い警官に目をつけられて尋問されてしまう。なぜ深夜に走りまわっているのか。しかしブッチが泣いた赤子を連れていたおかげで、ベテランの警官が赤子の歯が痛くてこれから病院に連れていくんだろ?と解釈してくれたお陰で捕まらずに済む。コメディです。
・マーカイム アンティーク店の主人を殺した主人公のもとに、悪魔のような男が現れ、これから店に戻ってくる女中も殺せと誘惑してくる。悪魔のような男の話を聞いていくうちに、主人公は自首する決断をする。(結局、悪魔ではなかった?)悪魔?曰く、悪は行為で決まるものではなく、醜い過ちを繰り返すかどうかとかその人が精神的に進歩しているかどうかで決まるっていうのが面白かった。
・石川五右衛門の生立 石川五右衛門は早熟だったんだな~という話。自頭が良くて、自分なりの価値観があって頑ななんだけど、寺の師匠とか凄い人に会うとスッと態度を改めていくところが面白い。話の通じる悪党という感じ。8才にして大人たちのスキャンダル(不倫)を見抜いていくのも面白かった。
・破壊者 第二次世界大戦後、1954年ごろの話。戦後、唯一無傷な状態で残った小さな家を子供たちがよってたかって壊して、家主のじいさんを絶望させるという遊びをする。居場所を無くした子供たちの言葉にできない嫉妬なのか、動機がしっかりと語られないのが怖いし、サイコだと思う。
・絢爛の椅子 完全犯罪をして、警察に尋問されてもケロっと受け答えをするのを夢見ている主人公の話。絢爛の椅子とは警察にある板の椅子。完全犯罪だったら逮捕されることがそもそもないから、自己顕示欲を満たすことができず、警察に電話で情報提供したら探知されて逮捕されてしまうし、結局、絢爛の椅子なんてないんじゃないかな?という感じ。
・ジョコンダの微笑 金持ちのハットン氏とジャネット・スペンスというオールドミスの話。どっちも悪い人間です。ハットン氏の妻とドリスがとっても可哀そう。
・ダーダー(悪党)と呼ばれた女 インドの貧民の女性の一生を書いた話です。呼ばれた、というよりは呼ぶように周囲に命令した女性の話です。女として生きるのがつらすぎて、女の名前を捨てたかったそうです。本当に可哀そうな人生です。1954年ごろのインドの嫁姑問題がこんなにつらいとは。姑から残酷ないじめを受けて裏社会に落とされるなんて日本じゃ想像できない。
・セルヴィン事件 セルヴィンという青年を弁護した先生の独白形式の物語。セルヴィンはやっていましたが、無罪になりました。それで落ちぶれました。犯罪者は弁護されて無罪になると返って調子に乗ってしまって、まったくいいことがないということがわかる話。
・殉教者製造人 インドの金持ちが主人公。慈善事業をしたいが、施しは人間を堕落させるだけだと考える主人公が始めたのは、人為的な殉教でした。ボロボロの屋敷を買い取って、貧乏人を寝泊まりさせます。そのうち倒壊して、寝泊まりしていた貧乏人は死にます。インドでは事故死は殉教とみなされるので、みんな天国に行けたよ!よかったね!というサイコパス主人公。貧乏人は増えすぎた人間。車の5個目のタイヤ。とまで言っており、揺るぎない悪です。
・駆込み訴え キリストを銀30で売ったイスカリオテのユダの独白。なんでキリストを売ったのか、その動機が後ろめたい感じで告白されます。ユダがキリストを告発しようとした原因、商人として軽蔑されていたから、寄付金をどんどん使ってしまうから、マグダラのマリアに恋して、自分よりも女をかばったら、など。きっかけとしては飲み会(結局最後の晩餐となってしまった)のはじめにキリストが弟子の足を洗ってくれた時に、仲間意識が高まり告発する気が無くなったのに、その直後にキリストが、この中に私を告発しようとしているものがいると言ったことについての反発でやけになって駆け込んだという話だそうです。なにそれ!いま宿題やろうと思ってたところだったのに母親に宿題やれって言われてやる気なくすみたいな!駄々っ子やん。ユダはやけになってどんどん悪い方向に行って開きなおったという太宰治の解釈です。面白いです。
・麒麟 南子婦人と孔子の我慢比べ。傍若無人で絢爛豪華な生き方をする皇帝の妻、南子婦人とそれをたしなめる孔子。珍しいもの集めたり、美味しいものを食べたり、罪人を残酷に処刑することによって、人生の辛さを忘れられるのじゃ!という南子婦人と、どんなものよりも、高い道徳のほうが価値があるのじゃと説く孔子。南子婦人が「悪」サイドということになりそうですが、彼女は皇帝を愛することができないという負い目をもっています。そして皇帝が私を愛しているというアドバンテージを支えにメンツを保っているのですが、そのスタンスそのものを皇帝に見抜かれ、日々なじられています。だから多少派手な生き方になるのはしょうがないと思いました。孔子はどこにも俗さず、弟子にいろいろやってもらってストレスフリーな生活をしているから高級なものが欲しくならないのではないでしょうか。孔子、バイトしろと思いましたね。
・死の家 犯罪者の特徴。犯罪者はなぜ犯罪を犯すのか。それは自分の虚栄心を満たすためだ……。そんなやつらを集めた刑務所は本当にひどいところで、誰も反省なんてしていないぜ。刑務所なんて、意味ないね。でも世間に出しておくわけにはいかないからなぁ……。実際に逮捕された経験のあるドスさんが刑務所で見たものをそのまま小説にしました!このころはかなり庶民を下に見ている印象。1章だけでは物足りなく、全部読みたいと思いました。

ちくま文学の森は新しい発見がいっぱいなので暇な時は本当にオススメですね。





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最終更新日  2018年11月02日 00時11分46秒
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