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珍獣は闊歩する!

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2019年12月22日
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名作のSF小説として必ず挙がる作品。やっとこさ読めました。タイタンは土星で最も大きい衛星(火星より少し小さい)で、妖女というのはタイタンに生息する3人のSirens(サイレン、セイレーン)のことです。西洋では昔から旅先ででる妖怪として恐れられ、萌えられている動物です。鳥型と魚人型があり、この小説に出てくるのは魚人型、つまりスターバックスの人魚みたいなやつです。

登場人物
・マラカイ・コンスタント 主人公。世界一の大富豪で強運の持ち主。アンクと同一人物。
・ウィンストン・ナイルズ・ラムファード 自前の宇宙船で時間等曲率漏斗(クロノ・シンクラスティック・インファンディグラム)へ突っ込み、波動現象となった男。起点が太陽の内部、終点がベテルギウスにある螺旋を描いて宇宙を旅し、59日ごとに地球に実体化する。過去、現在、未来を見渡すことができる。
・カザック ラムファードの飼い犬。マスチス犬。
・ビアトリス・ラムファード ラムファードの夫人。長身の美人で、才能にも恵まれているが、他人とのいかなる交流も避けている潔癖な性格の持ち主。ビーと同一人物。
・ランサム・K・ファーン マラカイ・コンスタントの部下で財務に関する仕事の天才。マグナム・オパス社の社長。
・ヘルムホーツ 火星軍強制徴募隊。
・ワイリー 火星軍強制徴募隊。
・アール・モンクリーフ執事 ラムファードの部下。いろいろあって地球大臣になる。
・クロノ マラカイ・コンスタントとビアトリス・ラムファードの間にできた子ども。
・ボアズ 火星陸軍で働く23歳の黒人。下っ端の恰好をしているが指揮官の一人。
・ストーニィ・スティブンスン 火星陸軍で働く軍人で、下っ端と見せかけて指揮官の一人。アンクに心を動かされて、火星の謎を探り、アンクの親友となった。
・サロ トラルファマドール星人が作った機械で、UWTB(そうなろうとする万有意思)を持っている。
トラルファマドール星人が届けたいメッセージを届けるのが仕事。
・トラルファマドール星人 人間より優れた知的生命体で、彼ら自身の身体も機械でできている。機械である彼らを最初に作った者は誰なのか不明。地球の文明は全て、トラルファマドール星人がメッセージを交換するための手段として作られた。

あらすじ
宇宙空間に波動として存在しているラムファードの実体化の日には、彼の屋敷に大勢の人が取り囲んでいた。今日の実体化はいままでと違い、ラムファードご指名の人間が、屋敷内に招待されていた。それがマラカイ・コンスタント。運だけで億万長者になった下賤な若者である。ラムファードはマラカイに、今後の人生を予言した。タイタンに行って、ビアトリスと結ばれ、子どもを設けると。マラカイは当然のように、タイタンへ行きたくなかったので、持っていた大宇宙船「くじら号」の会社の株を全て売り、ムーンミスト・シガレット社の株にあてた。ビアトリスと結ばれるのを無意識レベルで嫌がっていたので、連日パーティを開き、ドンチャン騒ぎを行い、参加者に531の油田をタダであげて、行きずりの女と結婚をした。酔いからさめてみると、彼のいままでの幸運は全て消えており、ムーンミスト・シガレット社は健康被害で裁判を抱えており、マラカイの資産はゼロになっていた。落ち込んだマラカイに付け込んだのは火星軍強制徴募隊のヘルムホーツとワイリーで、失った自尊心を慰めるように、政府の軍で働かないかと勧誘し、火星に行く宇宙船に乗せてしまう。ビアトリスも同時期に全財産を失い、同様に騙されて同じ宇宙船に乗り込んでいた。マラカイは「あの部屋にいる女は世界一高貴だ」と周りの人に騙され、暗闇でビアトリスを襲い、ビアトリスは子どもを身ごもる。火星に到着後、マラカイは記憶を消され、アンク(おじさん)として火星陸軍で働く。相棒のボアズとともに戦闘機に乗り、地球軍と戦うが、圧倒的少数の火星軍に勝ち目は最初からなく、火星軍は壊滅。ボアズとアンクは水星に着陸し、何もない世界で自身の幸せについて考える。3年の月日が流れ、アンクは一人で地球(マサチューセッツ州ケープ・コッド…sank godのもじり)に帰還し、「宇宙のさすらい人」として民衆のオモチャになる。そこで明らかになったのはラムファードの陰謀である。ラムファードは「徹底的に無関心な神の教会」を作り、自身がその宗教の神になろうとしていた。その宗教は神に感謝するのではなく、自分自身とすべての人に起きていることすべてを「災難」とし、一体感を高めるというもので、アンクは「おれはひとつながりの災難の犠牲者だった。みんなと同じように」と言わされ、ビアトリス、クロノとともにタイタンへ送られた。タイタンへ行かなければならない理由というのもラムファードの「徹底的に無関心な神の教会がいつまでも記憶し、熟考するための厳粛な自己犠牲のドラマを持つことができるように」という身勝手な考えであった。それでも3人は自分たちの意思でタイタンへ行き、アンクとビアトリスは愛情を育み、安らかな余生を送った。
 その一方で、ラムファードの気分は悪かった。ラムファードがこれまでの計画を成功させることができたのは、サロのUWTB(そうなろうとする万有意思)の半分を使わせてもらったからに過ぎない。そしてサロはトラルファマドール星人の使者であり、手先。この今までの行動自体が、トラルファマドール星人の計画通りである可能性を薄々感じていたが、証拠として太陽黒点の調子が悪くなり、吐き気に襲われた。そして太陽面の爆発とともに、ラムファードと犬の乗っていた軌道は壊れ、宇宙空間に放り出された。サロはラムファードと友達になるために、自分の運んでいるメッセージの意味を伝えようと努力したが、遅すぎた。ラムファードは消えてしまった。自己嫌悪でサロは自分で自分を破壊した。
 バラバラになったサロに、クロノは足りていなかった部品を与え、アンクが組み立てを行った。それは長い年月がかかった。サロがまた目覚めたとき、アンクは70代になっていた。ビアトリスは静かに息を引き取り、自分の死期を察知したアンクは、最後にアメリカに帰りたいと言った。サロは、アンクが安らかに眠れるよう、催眠術をかけると、アンクの言う通り、インディアナ州インディアナポリスへ送り届けた。真冬のバス停でアンクは間もなく凍死したが、そこで見た夢は素晴らしいものだった。若い姿のストーニィがぴかぴかの金色の宇宙船で迎えに来たのだ。アンクはストーニィと、ビアトリスのいる天国へ旅立った。

う~ん、複雑な話ですなぁ~。作者が言いたいのは「人生の目的は、どこのだれがそれを操っているにしろ、手近にいて愛されるのを待っているだれかを愛することだ」という言葉につきますね。ラストの夢のシーンでおれが天国にいけるのか?と訊くマラカイにストーニィが「おれにそのわけを聞くんじゃないぜ、相棒。だがな、天にいるだれかさんはおまえが気に入ってるんだよ」と言うんですが、それが冒頭にマラカイ自身が言ったセリフと同じであるところが秀逸。マラカイの正反対の人間として、ラムファードの傲慢さは凄まじいものがありますね。カート・ヴォネガット先生はローズベルト大統領がどういった人間だったのかを表現するためにこのキャラを作ったそうです。超仕事人間だったのかな?マラカイは記憶を失ったアンクとして奮闘し、敵であるストーニィと親友になれました。利害関係を超えた絆を作ることができました。ラムファードは、サロとそのような関係にあったにも関わらず、ビジネスの関係で終わり、不満足な人生を終えました。火星戦争も、新しい宗教も思い通りにできたのに、サロに部品を運ぶ仕組みを整えたのに、彼にはなんの充実感(幸福感?)もなかったのは残念ですね。利益と自尊心が行動の原動力となっている人間は、死ぬときに悔いとか虚無感に襲われるということがいいたかったんでしょうか?ラムファードは太陽系の軌道に組み込まれて、死なないし、地球でも存在できると高をくくってたからこそ、ハチャメチャなことができたわけで。軌道から放り出されて、存在はするけど何処に行くかわからない(自分で制御できない)、しかも地球には二度と現れることはできないとわかり、そこで初めて絶望したんでしょうか。マラカイとラムファードの境遇に差がありすぎてあんまり比較する意味がないような気がしますが。ラムファードはただの自業自得でもあるのでは?「自分自身が運命の手先」とか言ってたし……。それなら納得して消えてくれよ…傲慢野郎…。ラムファードは明らかにムカつくキャラですが自滅するのでスカっとしません。

この小説は人間ドラマとして、とても面白いです。身近な愛されたがっている人と一緒になることの素晴らしさは割と誰でも知っていることで、それを実践するにはかなりハードルがあると思います。これこそ運に見放されたと思い込んだり、私生活で散々な目に合う必要があると思います。映画化されないのも、ロケーションやキャラクターのCG製作が難しいことよりも、小さな幸せの価値を共感できる人間の割合がまだ少ない、というのがありそう。冒頭で結末が予言されているのに面白いというのは、推理小説などの他のジャンルへの攻撃として充分で、この作者の筆のパワーはSF小説を知らない人を沼に引きずり込む威力があります。作中の「買っちゃった!買っちゃった!買っちゃった!テント!」というCMソングは脳内で「会いたかった!会いたかった!会いたかった!イエス!」に変換されます。もしや、秋元康はこの小説を元にしてるぅ?爆笑問題の事務所のタイタンはこの小説のタイトルからつけたそうで、いろいろな人に影響を与えてますね。





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最終更新日  2019年12月22日 17時00分19秒
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