子どもたちへのメッセージ
感染拡大が盛んに報道される昨今、先日、子どもたちが、小学校から「本校における感染防止対策の強化について」と題する一斉配布のお便りを持ち帰ってきました。内容としては、感染拡大を受けて、①これまで毎朝提出していた健康観察票に、新たに家族の健康状態を記入する欄を設けたので記入をお願いしたい、②同居家族に発熱などの風邪症状が風邪症状が見られる場合にはできるだけ登校を控えてほしい、③子ども本人や家族に風邪症状がある場合は、他の家庭との行き来も控えて欲しい、④登下校中もマスク着用させてほしい、⑤校舎が開く以前に登校すると玄関で待っていなければならずその間に「密」が発生するかもしれないので、家を出る時間を考慮して欲しい、の5点。お便りの最後は、「お子様の不安を和らげるために、『きちんとマスクをし、手洗い・うがいをしていれば感染は防げるよ』等、ご家庭でのお声掛けをお願いします」」と結ばれています。小学校では、一人でも感染者が出れば、学級閉鎖にとどまらず、学校閉鎖になってしまう可能性が高いので、念には念を入れての感染対策ということなのでしょう。ここまで・・・という思いは正直ありつつも、この①~⑤までの対応自体は、私は理解できるし、受け入れられます。ただ、非常に気になるのが、感染防止対策を取りましょう、と強いメッセージはあっても、「もし疑わしい症状が出たら、このように行動しましょう」等の「万が一」を想定したメッセージが何もないことです。「感染症」である以上、文字通り、どんなに気をつけていたとしても「感染」することはあり得るのであって、その時に、ここに連絡したら良いよ、ここで検査をまずは受けましょう、等の情報は何ら発信されないまま、ひたすらに、いわば、「絶対に感染するな」という凄まじいプレッシャーを数ヶ月間もの間、子どもたちにまでかけ続ける社会は、息苦しく不健全だと私は思います。子どもたちは、素直に、感染=悪と考えるでしょうし、風邪症状が出ただけでも不安と恐怖に襲われてしまうでしょう。この土壌の中で、感染者を差別してはいけません、と言われても響かないように思われます。これは、友人から教えて頂いたイリノイ州の保健当局がTwitterで流しているデータですが、たとえば、このように、「風邪とインフルエンザとコロナはこんな風に症状が違うよ。だから鼻詰まりや鼻水があまりないのに匂いや味を感じないとか、息切れがひどい、とかであれば、ココで検査を受けてね」というようなメッセージがセットで発信されてほしかったと私は思うのです。https://twitter.com/IDPH/status/1334582357026873346このお便りに顕著に現れているような、「万が一」の想定は共有せず、ひたすらに「絶対に万が一を起こさないようにしましょう」という呼びかけは、日本のあらゆる場所で、また過去を振り返ってもあらゆる時代で、繰り返されてきた現象だと思うので、一朝一夕でどうにかなる問題ではないのかもしれません。それでも、この時代を生きる大人の一人として、この異常事態に感性豊かな時代に遭遇してしまった子どもたちに、どのようなメッセージを送るべきなのか、私は考え続けたいし、自分の思ったことは発信していきたいと思います。