大唐国際発電(0991 H 株)
大唐国際発電(0991.HK)はこのほど、2006 年6 月中間決算を発表した。売上高は前年同期比26.1%増の108 億2,888 万元、純利益は同13.9%増の12 億7,395 万元、一部の市場予想を若干上回る内容となった。拡大戦略が続く 積極的な拡大戦略により、売上原価・販管費は25.2%増加した。・新規発電所の稼動開始と同時に、既存発電ユニットの稼働率が低下・ 主な燃料である石炭の価格が高止まり、燃料コストは22.2%増・新規火力発電所の稼動開始に伴い、環境保護と水関連費用、減価償却費、設備保守修理費も増加(うち排気費は約1 億7,000 万元)・拡大戦略の継続で銀行借入が膨らみ、財務費用は51.0%増電力販売は好調 増収増益達成の最大の要因は電力販売量の増加。今年1~6 月の電力販売量(卸電)は前年同期比18.42%増の388 億9300 万kWh、売上高は25.9%増の107 億5,524 万4,000 元に上った。そのほか、熱供給の売上高も55.0%増加している。発電能力の拡大が業績をけん引売上の伸びをけん引したのは主に発電能力の拡大である。・ 発電能力は拡大・ 新規発電ユニット5 基が稼動開始、全体発電量は18.6%増・電力価格の引き上げ・ 「煤電価格連動」政策の実施、環境保護基準の達成による価格優遇などにより、卸電価格(税込み)が平均16.9 元/MWh 上昇・コスト・コントロール策が奏効・ 契約石炭価格が年率5~6%上昇したものの、単位当たり燃料コストの上昇率は2.3%にとどまった・ 1kWh 当たりの石炭消費量が5.6g 減少し、発電ユニットの平均利用時間数低下のリスクを相殺通期の業績見通しを上方修正2006 年通期の業績見通しを38.9%増収、10.6%増益に上方修正する。その前提条件は以下の通り。・ 電力需要は旺盛・ 平均利用時間数の低下は需要減少によるものではなく、送電網の建設が発電能力の拡大に追いつかない側面もある・ 電力の生産能力はさらに拡大・ 福建省の寧徳発電所をはじめ、下期は新たに300 万KW 発電能力が稼動可能となる・電力価格は上昇・ 発電所で排塵脱硫の技術改造を進めるほか、新たな「煤電価格連動」が7 月1 日から発効・ 平均1kWh で0.007 元の価格上昇が見込まれ、グループ全体で3億元前後の増益要因になる見込み・コストコントロールを継続・ 燃料価格が大幅に上昇する可能性は低いほか、電力1kWh 当たりの石炭消費量をさらに2g 減らす方針・ 会社の試算で、1kWh 当たりの石炭消費量が1g減少すれば、約3,000 万元の増益効果が見込まれる・ 財務費用は増加する見通し、金利上昇リスクもある中長期には安定成長の見通し北京では2008 年五輪の開催をにらんで、公共投資、民間商業活動、消費は活発化しつつある。経済発展が遅れていた天津市も優遇政策を後ろ盾に、急ピッチで改造プロジェクトを進めている。同社の基盤である京津唐(北京、天津、唐山)地域の電力需要は今後も安定的に伸びる見通し。水力、原子力発電所も建設、バランスの取れた成長が期待される。年内のA 株発計画が実現すれば、拡張路線ゆえの高い負債率は2007 年以降低下する見通し。安全生産、財務リスクの管理がしっかり出来れば、2008 年以降も安定的な成長が期待できよう。H 株指数のPER が14.3 倍(8 月11 日終値ベース、ブルームバーグ)であることを考えると、大唐国際発電の株価には割安感がある。中国株