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カテゴリ:おすすめアルバム
当初昨年秋頃の予定だったフルアルバムが今年4月ようやくリリースされた。
しかしその内容は待ちくたびれたボクらを想像以上に満足させる一枚に仕上がっていた。 2005年に電撃再結成を果たしたルーシェルは翌年というミニアルバムを発表。
そこには従来の彼らと新しい彼らが詰まっていた。 しかし本人たちも認めているがそれはまだ“リハビリ中”(もちろん謙遜である)だと言っていたように若干詰めが甘い部分があったのも事実。 【参照】ルーシェルに関する過去日記 ⇒(part1/part2/part3/part4/part5/part6/part7/part8) * * * * * * * * * * --- 『Promised Land』 ---
たっぷり時間をかけただけあって細部まで行き届いた音作りとバランスの良さに驚く。 前作のモヤモヤが完全に吹っ切れていて、彼らの目指した頂点に手が届く仕上がりとなった。 楽曲のレベルの高さ、サウンド・プロデュースの高い技術、バランスの取れたアルバムの全体像、そして何よりもLUSHELというアーティストのキャリアと実力が遺憾なく発揮された素晴らしい作品である。 それでは一曲づつポイントを紹介していきましょう。 01. Ocean[instrumental] 波の音の向こうから聞こえてくるのはこれから始まる荘厳な物語への序曲。 約束の地へ通ずる道は果てしなく長いけれどささやかな希望だけを胸に歩み続けていく。 教会の鐘が今はむなしく聞こえる…。 02. Promised Land 試聴リンクへ 幼い女の子の可愛らしいスキャットで始まるこのタイトルナンバーは若干プログレ風なアレンジを残している。 かのNOVELAファンがニヤッとするオープニングですね。 ルーシェルも1986年に残した『ACROSS THE INFANCY』で外国の親子を使っているし、子供の声ってのは何かしらグッとくるものがありますね。 オリジナルメンバーの本橋さんを思わせる強いリズムで主題を叩き出し、そこにコジローさんの奇跡の声がメロディーを紡ぎだす。 あの頃と遜色の無い透明な声である。 途中のインスト・パートは往年のプログレっぽいアレンジで心をくすぐる。 宮崎さんのベースから弦楽器のピッチカートによる主題の移行の場面は一筋縄ではいかない元プログレ・バンドのプライドが感じられる。 今回は先ほども書いたが本橋さんが参加されていないが、新メンバーの三田村さんのドラムが元々の“ルーシェルの音”を出してくれているのに驚いた。 本橋さんだったらこう叩くだろう…という予想通りでハマッているのだ。 これは彼のルーシェルへのリスペクトであり、ファンを裏切らない気持ちだととって差し支えないだろう。 それを再現できるテクニックにも脱帽だ。 03. 光の天空(そら) 試聴リンクへ 新生ルーシェルの代表曲となるであろうナンバー。 この曲のサビのメロディーは本当に素晴らしいの一言!! しかもAメロもBメロも魅力的だ。 ロマネスク的にはサビに入る直前の下降するベースラインが一番かっこいいポイントだと思っている。 そして途中のインスト・パートではハモンドオルガンの転がるようなサウンドと加藤さんのギターとのユニゾン…この必殺の緊張感は元プログレ人の真骨頂ですね。 そのままハモンドのソロ(これも涙)とギターソロが続くのだが、加藤さんのギター職人技に思わず声が漏れる。 ジェイソン・ベッカーという恐ろしく美しいギターソロを弾くギタリストがいたが(ただ今不治の病で療養中)加藤さんは彼に匹敵するほどのギタリストだとボクは思う。 なんてスムーズな運指だろう。 今これだけ弾けるギタリストはメジャーの世界でもそうそういないと断言できる。 04. セレナーデ 試聴リンクへ ミディアムテンポのリズムに乗ってザックワイルド的なギターが絡むイントロがかっこいい。 その後一転アコースティックギターと霧のようなストリングスに包まれてコジローが切々と歌い上げていく。 この曲の聴き所はしなやかにバックで歌うベースライン。 宮崎さんの男の艶っぽさがこのベースラインに顕れている。 『ACROSS THE INFANCY』の「SILENCE」を髣髴とさせる盛り上がりは楽曲の完成度の高さを物語っている。 そして相変わらずギターが隙間を見つけては自由に舞っている。 ラストの終わり方も素晴らしい!! 05. 赤いくつ 試聴リンクへ ルーシェルの代表曲に「時流のかけら」という童謡「大きな古時計」をモチーフとした名曲があるが、これはそんな流れを汲む一曲か。 淡々と歌う序盤から徐々に音数が増していき気付けばものすごく盛り上がっている…まるで魔法のようなアレンジに驚く。 しかしあらためて思うが、加藤さんのビブラートは神がかっている。 06. ささやきに揺れて 試聴リンクへ ごく個人的にだと思うがこの曲を初めて聴いた時アースシェイカーを思い出した。 シェイカーは不器用な男の哀愁を歌った曲が多いが、こちらはそれよりもやや女性的なメロディーで健気な一途さを連想させる。 この点こそ全く違えどその優しい気持ちがメロディーに乗り移った雰囲気は共通すると思う。 そういえばシェイカーのギタリストSHARAさんも一音一音を丁寧に弾くタイプで、主となるメロディーを壊さないようなギターソロを弾くところなどは加藤さんと同類だと思わせる。 しかしこの曲のサビのメロディーは秀逸!! 4分あたりのサビの怒涛の攻撃部分は気をつけないと涙がこぼれてしまうほど。 キーボードの音色やアレンジがまるで映画のサウンドトラックのように心に沁みこんでくる。 ピアノを効果的に入れているのも素晴らしい。 次回はアルバム後半をご紹介します。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年10月31日 16時11分09秒
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