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再出発日記

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2009年07月25日
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カテゴリ:邦画(09~)
映画の終盤、山本医師が訪問看護講習会である問題を出す。
『一切質問は禁じます。いわれたことをやってみて下さい。先ず紙に真四角を書いてみてください。その上に丸を三つ、書いてみてください。そしたら、それを隣の人と見比べてみてください。』
みなさん書いて見ましたか?
私も映画を見ながらイメージをわかせてみました。
すると映画の中で講習者が書いている図を見てびっくり、私のと90%違うのです。
ちなみに私のイメージしたのはこの記事の一番最後に入れている図です。みなさんのとはどうでしたか ? 山本医師は受講者に言います。「そのうように人は全部、見方が違う。見方が違うとまったく違ったものが見えている。そのことを知った上で対応していこう」この映画はそのように我々に全く新しい視点を開いてくれる映画である。

岡山県岡山市にある、外来の精神科診療所「こらーる岡山」。カメラは、代表の山本医師を頼ってやってくる患者たちを、ありのままに捉えていく。診療所に入って来るなり、抑えきれない不安をぶちまける女性。やがて平静を取り戻した彼女は、カメラに向かって、泣き叫ぶ自分の赤ちゃんの口を思わず手で塞ぎ、殺してしまった過去を淡々と話し始める。写真を撮り、詩を書いて、自分の気持ちや世界観を表現する男性は、10代の頃に発症。その後25年間、先生の診療を受けているという。さらにカメラは、医師、スタッフ、ヘルパーなど心の病を患う人々の周辺まで写していく。(goo映画より)

撮影・録音・編集・製作・監督 : 想田和弘
出演 : 山本昌知(「こらーる岡山」代表・精神科医師)

まえ『選挙』の上映のときに岡山に来た想田和弘監督は「今岡山のある精神病棟で次のドキュメントを撮っている」と話していた。ああ、これがそうだったのか、また凄いドキュメントを撮ったものだ。映画の中で監督の義母の写真も出てくるので、どうやら岡山は監督の妻の実家らしい。その縁でこつこつと撮って来た作品なのだろう。

例によってナレーションも字幕も一切入らない。最初と最後に『精神』と題字が入って監督名が出るだけである。思うにドキュメンタリーとしてはまさに王道の撮影態度であろう。

題名も07年の撮影時の待合室の張り紙に『映画の撮影があります。メンタル(仮題)』というのがあった。最初はそんな題名を考えていたのだろう。だからこの映画は、映画に出ることを了承した人たちしか出演していない。現在、メンタルヘルスはわたしたちの周りにありふれた病気になった。けれども40年間この統合失調症に付き合っているというある男の人が言う。「健常者と我々の間にはカーテンがある。健常者が我々にカーテンを張っていることもあるけれども、我々が幕を張っている部分もある。けれども俺はあるときから自分からの幕は取り払った。」何故彼は取り払うことが出来たのか。それがこの映画の肝の部分だろう。彼の出演はその一回だけである。彼はむしろ健常者よりもしっかりしていて、知的な人間にさえ見える。そういうこと含めて映画全体が彼の言葉を裏つけている。

いくつか、びっくりする話を患者は淡々とする。「泣き叫ぶ自分の赤ちゃんの口を思わず手で塞ぎ、殺してしまった」のもその一つであるが、「お金がなくて街を歩いて身体を売った」というのもその一つであるし、薬の袋詰めをしている女性が話をしだすと(まるで事務員にしか見えなかったが)実は患者の一人だったというのもその一つである。一方で、彼らは実に誠実な態度を示すし、時々ドッキリするような哲学的に深遠なことを言って見せたりする。

コラール岡山は住宅地の真ん中にある古い住宅を改装した実に開けた精神病棟である。山本医師は『じつは給料は10万円くらいなのよ。わたしたちより低い』と事務員さんたちは言う。05年は自立支援法ができようとした年だった。コラール岡山にも喫茶や作業所、牛乳配達所などが併設されているが、このままでは立ち行かなくなる、と患者と事務員一緒になって悩んでいた。今はいったいどうなっているのだろうか。ひどく気になって、先週あったはずの監督トークショウで質問が出なかったか、映画館の支配人に聞いてみたが、『出なかった、分らない』ということだった。気になる、全国のいろんな施設がたたんだり、方針転換をしたりしているのをニュースやブログでも見ているだけに気になる。

最後のエンドロールで『追悼』という文字とともに突然3人の患者の名前と写真が出た。「えっ!?」思わず声が出た。映画の中では、全然死にそうな感じではなかった。2年の間に彼らに何があったのだろうか。特に、その中の一人の男性は、病状も過去も何も喋らずずっと寝転んでいるかタバコをくゆらせている方だったが、『スガヤさん』の話だと朝日高校三年間一番、東大に行って岡大医学部にもいったエリートだと知らされていた。映像の彼を見ると、そんな感じは一切しないのだが、岡山の人間にとってはこの一連の学歴は嘘の学歴とはちょっと思えないのである。朝日高校といえば、岡山の普通高校ではトップの高校なのである。また岡大医学部は確かに東大クラスの実力がないと入れないはずだ。そんなエリートが病気になるのは、なんかありえる話だと思えた。しかし、まさか死んでしまうとは!!

ラストのエピソードはどうしてあのようになったのか。なんか突然のぶつ切りの様に思える。さまざまな解釈が可能だろうと思う。一見彼はたちの悪い『クレーマー』のように見える。土足で上がって施設の電話を勝手に借りてえんえん市営住宅に入るための交渉をしている。役所側の対応はうんざりしているのが読み取れる。しかしここまで交渉術に長けているのだからこの人は患者ではないのではないか。とも思える。やくざっぽい人なんだろうか。けれども、彼はタバコの灰が床に落ちそうになるのを避けて外で電話をし始める。五時を過ぎて施設の職員が『帰る時間なんですが』と言うと、素直に電話をやめる。『今日もカプセルですか』職員が聞く。どうやら住宅確保は彼にとっては切実な問題のようだ。しかも決して土足で入ってきたわけでもないことが分る。ここで私は先の山本医師の言葉を思い出す。40年間ここに通い続けた男の言葉を思い出す。先ずはこちらからカーテンを閉めることはやめよう。人の『精神』はまだまだ謎が多い。だからたぶん面白い。
私のイメージ.png





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最終更新日  2009年07月25日 22時50分35秒
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