『サセックスの吸血鬼』~シャーロック・ホームズの冒険
[DVD] シャーロック・ホームズの冒険 完全版 Vol.18価格:2,717円(税込、送料別)↑ホームズと吸血鬼役のストックトン。エキセントリックなツーショット。☆☆英国グラナダテレビ制作のドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」の感想です。ネタバレがあるので未見の方はご注意ください。また、エピソードを鑑賞後の方がより楽しめるレビューになっているかと思います☆☆昔、正典を読んだものの誰が犯人だか忘れてしまった私。今回のグラナダ版は大幅にアレンジされているので未読+アレンジでまあ楽しませてもらいました。推理ものというよりはホームズが出てくるホラーものといった趣きです。冒頭、221Bでヴァンパイアのコスプレをしてワトソン君を驚かせるホームズ。牙までつけて本格的です。そりゃあ存在を信じていなくても誰だっていきなり吸血鬼が飛び掛ってきたらびっくりするって。しかも吸血鬼の格好がジェレミーさんに激似合ってます。それもそのはず、ドラマ本によればジェレミーさんはホームズが当たり役になる前はヴァンパイア役でも有名だったそうな。なるほど!ペルー帰りのストックトンなる謎の人物がやってきてからは村に不吉なことが起こりまくりで牧師さんが相談にやってきます。(法律事務所経由で。御丁寧にホームズを薦めているところがすごい)意外にも取り合わないと思ったら、ホームズは真面目に話を聞いてあげています。そして「これから行なわれる犯罪の予防」として村へ赴くことに。閉鎖的な村の雰囲気がかなり無気味です。大人から子供まで勢ぞろいしてファーガスン家の御葬を遠巻きに見つめているし。でも一杯奢ればたちまちいろんな情報を提供してくれるいい人たちなんだけど。当時は今よりも迷信や悪魔の存在が大きかっただろうしそりゃあ怖いでしょうね。おばあさんなんて「皆殺しにされちゃう」とか言っているし。わたしも今回ばかりはジャンルが違うんではと途中まで思ってしまいましたよ。でもホームズは一貫して「妖精や幽霊は存在しない」のポリシー。作者のドイルは晩年になって妖精信じるようになっていたのにも関わらず、実にクールなキャラクターです。ワトソン君は軍隊時代に霊体験済み。わたし自身、霊感はまったくありませんが軍隊みたいなところにいると、そうゆうのはあるだろうなあとは思います。しかし村全体を震撼させた事件はヴァンパイアの仕業ではなく精神を病んだ少年が起こした悲劇だったのです。15歳という微妙な年頃の少年にはストックトンの奇妙なライフスタイルや村への影響力が強烈なカリスマ性を放っていたという設定はすごくよく判ります。その頃の子供はそういういけないものをかっこいいと思って憧れるものですからね。ましてや彼の場合外国に住んでいた事もあるし、複雑な家庭環境だったからなおのことでしょう。ここで疑問がひとつ。劇中でもホームズはジャック少年を「家庭の暖かさに飢えている」的なことを言って案じています。考えてみればシャーロッキアンたちが研究しているホームズの少年時代にちょっと似ている。内気で複雑な家庭環境で周囲の大人から変わった子供だと思われていて、そしてバイオリンを弾く!どうです、そっくりじゃありませんか。なのでホームズはジャック少年と対話し、シンパシーを感じたりするシーンがまったくなかったのはちょっと違和感がありました。最後も彼を自殺から救えなかったわけだし。わたしがグラナダのプロデューサーかなんかだったら少年とホームズの対話のシーンを入れたかったかな。↑完全版DVD-BOX 20パーセントOFF