名(迷)幹事
土曜日午後、灼熱の駒沢競技場。やはり都大会ともなると、そう簡単に勝ち進めるわけではなく、3回戦に臨んだわが一中は健闘の末、2対3で敗れた。悔し涙の少年達に、ついもらい泣きしそうだが、彼らの「サッカーに賭ける青春」を応援してきた大人としては、いつまでも敗戦の余韻に浸ってないで、早くも打ち上げのことなどを気にしだす。ここ数年、都大会に出場するようになってから恒例となった「都大会打ち上げ焼肉大会」である。現在部員数約40名という、なかなか大所帯のサッカー部であるが、どういうわけか現2年生は愚息を含めて4人しかいない。3年生の引退や世代交代の意味もある「打ち上げ」を慣例通り2年生の親が仕切るとすると、知らん顔はできないし、長男の頃から様子がわかっていて、いちおう動ける週末なので、結局幹事を引き受けることになってしまった。まったくガラにもないことだが。これが結構大変である。まず場所を押さえましょう。いつもの○○亭でいいですね。明日の夜7時から、とりあえず50人ということで。その前に、先生とOBコーチが出席できるかどうか確認。部員には連絡網を回して、出欠をとりましょう。連絡を回す前に、だいたいの会費を決めとかなきゃ。食べ放題2,980円にフリードリンク980円プラス消費税で大人は1人4,158円で中学生はドリンクがノンアルコールなのでこれより600円安い。しかし、こんな1円単位の集金は大変すぎるので、適当に切り上げるのだが、先生とコーチの分は部員で負担するとしたら、何人出席するかわからないと決められない?!もともと算数も数学も苦手で、普段はこういうことはほとんど人任せの私はここでパニくりそうになる。何人出席したらどれくらい負担額があるかという式の部分はすっ飛ばして、ええい!めんどくさい。大人4500円、中学生3600円でどうだ?人数は? 部員は原則全員出席として、大人は……たぶんこれぐらいは来るだろう。それで掛け算したら、だいたい行けそうだったから、もうこの金額で連絡を回すことにした。数時間後に連絡網が戻ってきたら、出席者数はほぼ予想通りの人数!検算してみたらわずか460円の余り。おー!バッチリじゃん!やっぱり勘はいいわーまあ、こんなにスムーズに運んだわけではなく、人数の増加を店に伝えたり、ホットペッパーのクーポンが使えるんじゃないか?もっと安くなるんじゃない?というアドバイスの電話をいただいて計算し直したり、バタバタしたけれど、当初より大人は500円お安くできた。日曜日夕刻。なにしろ2年生の保護者で動ける人が少なかったので、夫もフルに動員の上、焼き肉屋の入り口で箱を構えて、せっせと集金。宴たけなわの頃は、もう一人のお母さんと一緒に現金の札束と小銭を数える。20万円分を超える額のほとんどが千円札だから大変だ。元銀行員の人なら早いんだろうか?必死で数えて必要額があることを確かめて、先に支払いを済ませる。3年生が一人ひとことずつ思いのたけを語ったり、新キャプテンが抱負を語ったり、先生がひとしきり話をしたり、という、この打ち上げのメインの部分が滞りなく運んでようやくホッとした。乾杯の音頭から始まり、最後は三本締めという極めて日本的な宴会スタイルが果たす機能を常々不思議に思っているし、そもそも、私には、ある集団に属しているという意識が希薄なのだが、とりあえず今、息子はサッカー部員だし、その保護者達の輪というのは確かに意味はあるので、今日この場においては、私はこのサッカー部集団を構成する一員なのだろう。2次会にまで参加する保護者のみなさんを尻目に家路につきながらそんなことを思った。