やけど
やけどをしてしまった。洒落た比喩ではない。本物の火傷である。たいしたことはないと思うが、右手の甲に2か所、尖った二等辺三角形ができている。大きい方を測ってみたら、長い2辺が3センチずつで頂角15度ぐらい。これは今までに経験した小さなやけどの中では一番大きい。日曜日の夕方、中華鍋で油が熱くなっていた。ゴーヤチャンプルーの豆腐は先に焼いたほうが美味しいからと思ったのは別に間違いではないが、豆腐の水を切り足りなかったのだろう。「あつッ!」と思ったときは遅かった。大粒の油(のような気がした)が手にはねた。しばらく水をかけ続けて冷やすが、やばーい感じに赤くなってくる。ふつうの温水でもヒリヒリしみる。翌日には水ぶくれになり、今日は水ぶくれが破れてまだらになっている。剥けた部分がまたしみる。小さいやけどは何度もやっているので、こういう経過は毎度おなじみ。まあ、わざわざ病院に行くほどでもないだろう。だいいち、病院なんかに行っているヒマはない。病院に行こうが行くまいが、どっちみち跡が残りそうだな。。あーあ。まあ、手に何億も保険をかける手タレじゃあるまいし、しょうがないよ。だいたい、私は子どもの頃からそそっかしいので、あちこち傷だらけである。・5歳頃だったか、ブランコから飛び降りてしゃがみこみ、何も考えずに立ち上がったら、 戻ってきたブランコが、前からおでこを直撃した。その部分いまだに髪がない。・藪の中で、棘だらけの茨のようなもので、脛をこすり、何本もの細い切り傷から あちこち血がじわーっと染み出してきた。傷としては浅いものの見た目が派手で驚いた。・階段で転んで向こう脛を思い切り強く打ち、そこはいまだに青く、少しへこんでいる、そのほか、乳幼児の頃に、煙草を飲み込んだり(記憶なし。親からの伝聞)、甘いシロップ状の飲み薬を1瓶全部飲んでしまったり(これはかすかな記憶あり)で、いずれも胃洗浄。ずいぶん親を心配させたようだ。大人になってからも結構失敗している。・硬めのフランスパンを切ろうとして滑り、よく切れるパン切りナイフで親指を切った。・床のものを取ろうとして、低いタンスの角で額をガツンと切り、数針縫った。この最後のなんて魔がさしたような信じられない出来事で呆然としたが、幸いにも上手な形成外科の腕のおかげで、さほど目立たないようになった。まあ、これぐらいで済んでいるのはまだ幸運というものだろう。骨折など、大きな怪我はしていないが、生傷が絶えないという感じ。かすかな傷跡が残っているのを見ると、何だったかを時々思い出す。ぼーっとしていた。考えごとをしていた。すごくあわてていた。…いや、誰のせいでもない。いけないのは自分です。すみません。ケガをしたのがまだ自分でよかった。人にケガをさせてしまったら、これはまた大変だ。このやけどもきっと跡が残るだろう。その頃どのように過ごしていたかをセットで覚えていることにしよう。戒めにするために。傷跡は、失敗の多い人生の証であり、それなりの回復力も証でもある。